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2026年09月14日
高齢者の糖尿病治療、鍵は「低血糖防止」 CGM活用の個別化医療へ
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- 1型糖尿病 2型糖尿病 インスリンポンプ/CGM 高齢者
血糖管理というと高血糖の改善に意識が向きがちだが、とくに高齢の糖尿病患者さんでは低血糖を防ぐことも極めて重要だ。アボットジャパン合同会社が9月3日、「敬老の日」(9月21日)にちなんで開催したメディアセミナーで、おばな内科クリニック(神奈川県)院長の川名部 新氏は、高齢者の糖尿病の特徴や無自覚低血糖のリスク、CGM(持続グルコースモニタリング)を活用した個別化医療や多職種連携の実際について、具体的な症例を交えて解説した。
高齢患者さんで注意したい「無自覚低血糖」
加齢に伴いインスリンを分泌する能力が低下するため、高齢になると糖尿病を発症しやすくなる。高齢者の糖尿病では、食後高血糖が起こりやすい一方で、冷や汗や手足の震えといった低血糖の警告症状が出にくい「無自覚低血糖」を来しやすいという特徴がある。
低血糖は、ふらつきによる転倒や骨折に直結するだけでなく、心血管イベントや認知機能悪化のリスクも高める。そのため、高齢患者さんの糖尿病治療においては、認知機能や日常生活動作(ADL)、低血糖リスクのある薬剤(インスリンやSU薬など)の使用状況に応じて、「血糖コントロール目標値の下限(下げすぎない基準)」を設定する個別化医療が推奨されている。
CGMは車のナビ的存在
血糖コントロールにおいて、従来の指先穿刺による血糖自己測定(SMBG)は、測定時点の血糖値しか分からない。しかし、皮膚にセンサーを貼り付けて連続的に血糖変動を記録するCGMを使うことで、睡眠中や食後を含め連続した血糖トレンド(推移)が把握できるようになった。
川名部氏は、CGMを「いわば『車のナビゲーション(ナビ)』のような存在だ」と表現する。現在の血糖値だけでなく、これから上がるのか、下がるのかという変動傾向が視覚的に把握できるため、早めの補食(糖分補給)や運動、処方薬の調整など、患者さん本人やご家族、医療スタッフが適切なアクションを起こしやすくなるという。
症例から見る在宅・施設でのCGM活用と多職種連携
続いて川名部氏は、CGMの活用と周囲のサポートを駆使して生活の質(QOL)と安全性を高めることができた3症例を紹介した。
症例1:独居で認知機能が低下した88歳男性
服薬管理が途絶えてHbA1cが11%まで悪化したが、在宅での訪問看護や介護サービスを導入。CGMにより夜間の無自覚低血糖が判明したため、本人の好物を夜の補食に取り入れるなど、生活スタイルに合わせたきめ細かな調整が実現した。
症例2:膵臓手術後で血糖変動が激しい施設入所の82歳女性
血糖値の乱高下で入退院を繰り返していたが、CGMのデータを本人・ご家族・医療者で遠隔共有。低血糖アラートにより迅速な対応が可能となり、救急搬送や再入院のリスクが大幅に減少、ご家族や施設スタッフの安心感につながった。
症例3:デジタル機器に習熟した84歳男性
スマートフォンで自らの血糖トレンドを楽しみながら確認・振り返ることで主体的な行動変容が生まれ、薬を増やすことなく血糖コントロールが劇的に改善した。
家族で血糖管理や健康について考えるきっかけに
高齢患者さんにCGMを導入するにあたっては、スマートフォンの携帯忘れや機器装着への抵抗感といった課題が生じることがある。しかし、首からスマートフォンを下げる工夫や、ご家族・訪問看護師・薬剤師・施設スタッフなど周囲が見守り、データを共有する体制を整えることで克服できるケースは少なくない。もちろん、自身で日々の血糖トレンドを確認・管理できるケースもある。
高齢患者さんの糖尿病治療におけるゴールは、一律に血糖値を下げることではなく、低血糖や転倒を防ぎ、住み慣れた場所で安心して自分らしく暮らし続けることである。最後に川名部氏は、「CGMを活用することで、血糖トレンドが見える化でき、患者さん本人はもちろん、見守るご家族の安心にもつながる。敬老の日が、ご家族で血糖管理や健康について考える好機となればよいだろう」と話し、講演を締めくくった。
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