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2026年09月09日
太ももで2型糖尿病の発症リスクがわかる!? 筋肉は「質」も大事
筋肉は「量」だけでなく「質」も重要であることを示すデータが報告された。盆唐ソウル大学病院(韓国)の研究グループは、糖尿病はないが、心血管代謝リスクを1つ以上持つ東アジア人2,100人超を対象に、太ももの筋肉に混じった脂肪の量と2型糖尿病の発症との関連を検討し、結果を「Diabetes & Metabolism Journal」に報告した。太ももに脂肪が多く混じっている人ほど、将来的に2型糖尿病を発症しやすいという。
東アジア人2,100人超を中央値7.4年追跡
筋肉のなかに脂肪が入り込む状態は「異所性脂肪(筋肉内脂肪)」などといわれ、筋肉の働きを妨げ、代謝の異常につながると考えられている。ただし、こうした筋肉の「質」の低下が、将来的な2型糖尿病の発症にどのような影響を及ぼすかについては、これまで十分に検討されてこなかった。
そこで研究グループは、筋肉の「質」の低下が、将来の2型糖尿病の発症をどれだけ予測できるかを検討するため、前向きコホート研究を実施した。
筋肉の「質」、すなわち筋肉にどれだけ脂肪が混じっているかの指標には、低密度筋肉(LDM)の面積を用いた。造影剤を使わないCT(単純CT)で太ももを撮影すると、脂肪が入り込んだ霜降り肉のような筋肉は画像上の濃度(CT値)が低くなる。CT値が0〜30ハウンスフィールド単位(HU)の範囲にある場合を低密度筋肉、31~100 HUを正常密度筋肉と定義。低密度筋肉の面積を測ることで、筋肉にどれだけ脂肪が混じっているかを評価した。
対象となったのは、糖尿病はないものの、心血管代謝に関わるリスク因子を1つ以上持つ東アジア人の成人2,129人(平均年齢57.4歳、平均BMI 25.0kg/m²、男性48.5%)。単純CTで太ももの中央部を撮影して低密度筋肉の面積を測定し、中央値で7.4年間追跡した。
低密度筋肉の面積が大きいグループで、糖尿病の発症リスクが2倍超に
追跡期間中に2型糖尿病を発症したのは、男性201人(19.5%)、女性156人(14.1%)だった。発症した人は、発症しなかった人と比べて、開始時のHbA1c値が高く(6.1±0.3%対5.7±0.4%)、低密度筋肉の面積も大きかった(48.8±14.2cm²対38.1±13.2cm²、いずれもP<0.05)。
年齢やHbA1c値などの影響を調整した解析でも、低密度筋肉の面積が大きいことと2型糖尿病の発症には強い関連が見られた。研究グループが算出した発症リスクを最も精度よく分ける基準値を用いたところ、低密度筋肉の面積が44.7cm²以上の男性では、それ未満の男性に比べて2型糖尿病の発症リスクが2.36倍〔ハザード比(HR)2.36、95%信頼区間(CI)1.52〜3.67、P<0.001〕と高かった。女性でも、低密度筋肉の面積が38.3cm²以上になると、それ未満の人に比べて2型糖尿病の発症リスクが2.15倍となった(HR 2.15、95%CI 1.28〜3.61)。
さらに、従来の危険因子による予測モデルに低密度筋肉の面積を加えると、発症の予測精度を示すAUC(曲線下面積;1に近いほど予測が正確であることを示す)は、男性で0.810から0.838へ、女性で0.893から0.908へと上昇した。
「痩せているから大丈夫」とは限らない
以上から、研究グループは「太ももの筋肉の質を表す低密度筋肉の面積は、それ自体が糖尿病の発症を予測する有用な指標になりうる」と結論している。
ただし、今回の研究は観察研究であり、「筋肉の質を高めれば2型糖尿病を防げる」という因果関係まで示したものではない点には注意が必要だ。また、低密度筋肉の面積を測る単純CTは、健診などで誰もが受けられる検査ではない。
それでも、たとえ体重やBMIが同じであっても筋肉の状態には差がありうるという視点は、私たちの受け止め方を変えてくれる。つまり、「痩せているから大丈夫」「体重が変わっていないから問題ない」とは限らないということだ。
下半身の筋肉への脂肪の蓄積は、改善可能なリスク因子。本研究から直接導かれるものではないが、体重計の数字だけを見るのではなく、太ももを含む下半身の筋肉をしっかり使う運動を生活のなかに少しずつ取り入れてみることは、試す価値がありそうだ。ただし、運動の内容や強度は、持病や合併症の状態によって変わる。始める前に、かかりつけの医師や医療スタッフに相談することも忘れてはいけない点だろう。
■参考
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