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2026年07月08日

薬は影響する⁉ GLP-1受容体作動薬の使用者に生じる嗅覚/味覚障害

キーワード
2型糖尿病 薬物療法

 2型糖尿病の治療薬として広く普及している「GLP-1受容体作動薬」は、嗅覚や味覚の障害と関連する可能性が指摘されている。このほどイスラエルの研究グループは、世界規模の電子健康記録データベースを活用した大規模コホート研究を実施。GLP-1受容体作動薬を使用する2型糖尿病患者は、他の糖尿病治療薬を使用する患者と比べ、嗅覚/味覚の障害を経験するリスクが48%高いことが明らかになったと、JAMA Otolaryngol Head Neck Surg(2026年6月25日オンライン版)に報告した。本研究は、両者の因果関係を示すものではないが、医療者と患者の双方が嗅覚/味覚障害のリスクに対する認識を高める必要性が浮き彫りになった。

170超の医療機関の電子健康記録を利用

 近年、GLP-1受容体作動薬は、優れた血糖コントロール、体重減少だけでなく、心血管や腎の保護作用が期待できる薬剤として、2型糖尿病治療において重要度が増している。その一方で、眼疾患や片頭痛などさまざまな副作用が報告されており、最近では味覚障害や嗅覚障害との関連も指摘されている。しかし、GLP-1受容体作動薬の嗅覚や味覚への影響については、殆ど研究が進んでいない。

 そこで研究グループは、2017年12月5日~2026年4月20日に170を超える医療機関で蓄積された電子健康記録データベースを用いて、傾向スコアマッチングという手法による後ろ向きコホート研究を実施。2型糖尿病患者におけるGLP-1受容体作動薬の使用が及ぼす味覚や嗅覚への影響を検討した。

対象は2型糖尿病患者、各群とも43万8,000人超

 対象は、2017年12月5日以降に2型糖尿病と診断され、嗅覚障害および味覚障害の既往がない18歳以上の患者。GLP-1受容体作動薬を処方された43万8,474人(平均年齢57.7歳、女性54.9%)を「GLP-1受容体作動薬群」とし、「対照群」には背景因子をマッチングしたGLP-1受容体作動薬の処方歴がなく、他の糖尿病治療薬を処方されている同数の患者(43万8,474人、平均年齢57.6歳、女性56.0%)を組み入れた。

 対照群が処方されていた糖尿病治療薬は、SGLT2阻害薬、DPP-4阻害薬、SU薬、チアゾリジンジオン系薬剤、メトホルミン、インスリン製剤、α-グルコシダーゼ阻害薬だった。

 主要評価項目は嗅覚/味覚障害の新規発生とし、全体と各項目で評価した。嗅覚/味覚障害の新規発生リスクは、Cox回帰分析を用いて解析した。

 追跡期間の中央値は両群とも730日だった。

嗅覚/味覚障害のリスクが48%上昇

 検討の結果、嗅覚/味覚障害の発生率は、対照群の0.22%に対し、GLP-1受容体作動薬群では0.37%。嗅覚/味覚障害の発生リスクは、対照群に比べGLP-1受容体作動薬群で48%高かった〔ハザード比(HR)1.48、95%信頼区間(CI)1.37~1.61〕。

 項目別に見ると、嗅覚障害の発生率は、対照群の0.07%に対し、GLP-1受容体作動薬群では0.15%。嗅覚障害の発生リスクは、対照群に比べGLP-1受容体作動薬群で81%高かった(HR 1.81、95%CI 1.58~2.07)。

 味覚障害の発生率は、対照群の0.10%に対し、GLP-1受容体作動薬群では0.18%。味覚障害の発生リスクは、対照群に比べGLP-1受容体作動薬群で52%高かった(HR 1.52、95%CI 1.35~1.71)。

 これらの結果は、追跡期間を通じて一貫していた。

 以上から、研究グループは「2型糖尿病患者において、GLP-1受容体作動薬の使用が嗅覚/味覚障害の発生リスク上昇と関連していることが示唆された」と結論。「ただし、今回の研究は観察研究であり、GLP-1受容体作動薬の使用と嗅覚/味覚障害リスクの因果関係を証明するものではない」と研究の限界を説明した上で、今後の課題について「今回得られた結果を検証し、根底にあるメカニズムを解明するには、さらなる研究が必要だ」としている。

■参考

[ DM-NET ]
日本医療・健康情報研究所

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