ニュース
2020年06月03日
熱中症を予防するための8ヵ条 マスク着用で熱中症リスクが高まる
今年の夏は厳しい暑さが予測されている。気温の高い日が続くこれからの時期に、新型コロナウイルス感染症への対策を行うと同時に、熱中症の予防も行う必要がある。
厚生労働省と環境省は、感染症と熱中症に対策するための行動の周知を呼びかけている。
厚生労働省と環境省は、感染症と熱中症に対策するための行動の周知を呼びかけている。
気温・湿度が高い中でのマスク着用には注意が必要
今年の夏は厳しい暑さが予測されている。近年、熱中症による健康被害が数多く報告されており、気温の高い日が続くこれからの時期に備えて、熱中症に対策しておくことは大切だ。
とくに今年は、新型コロナウイルスへの対策を行う必要もあり、例年以上に注意が必要となる。夏期の気温・湿度が高い中でマスクを着用すると、熱中症のリスクが高くなるおそれがあるからだ。
また、熱中症により救急搬送者や医療機関を受診する人が増加すると、新型コロナウイルス感染症の対応を行っている医療機関に負荷がかかってしまうため、個々で熱中症予防を行うことは重要となる。
熱中症のリスクが高い時にはマスクをはずす
政府の専門家会議は5月4日に、新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」を公表した。新型コロナウイルスの感染を防止するために、(1)身体的距離(できるだけ2m、最低1m)の確保、(2)マスクの着用、(3)手洗い、(4)3密(密集、密接、密閉)を避けるなどの、基本的な対策を取り入れた生活様式を実践することを求めている。
外出時や屋内にいるとき、会話をするときに、症状がなくともマスクを着用することを求めているが、マスクをしていると自分の呼吸により温かい空気しか入ってこなくなり、呼吸で身体を冷やすことができず、体温が上昇しやすくなる。
そのため厚生労働省や環境省は、「屋外で人と十分な距離(2m以上)が確保できる場合には、熱中症のリスクを考慮し、マスクをはずすようにすること」を求めている。
「マスクを着用している場合には、強い負荷の作業や運動は避け、のどが渇いていなくてもこまめな水分補給をこころがけてください。また、周囲の人との距離を十分にとれる場所で、適宜、マスクをはずして休憩することも必要です」と強調している。
冷房時でも換気を エアコンの温度設定の調整が必要
また、新型コロナウイルス感染症を予防するためには、冷房時でも換気扇や窓開放によって換気を確保する必要がある。そうすると室内温度が高くなるので、「熱中症予防のためにエアコンの温度設定をこまめに調整する」ことを呼びかけている。
さらに、屋内運動施設などでの運動は、感染症のクラスター(集団感染)が発生するリスクが高いので、自治体の情報にしたがうよう求めている。
熱中症を予防するための8ヵ条
■ 暑いときや体調不良のときは無理をしない |
■ 水分を補給 塩分(ナトリウム)を入れると効率的 |
■ スポーツドリンクに注意 |
■ 体を熱さに慣れさせる |
■ 運動する時間帯に注意 |
■ 準備は十分に 服装に注意 |
■ アルコールを避ける |
■ 薬を飲んでいる人は要注意 |
暑さ指数を意識した熱中症対策が必要
外出時は、天気予報や「暑さ指数(WBGT)」を参考に、暑い日や時間帯を避け、無理のない範囲で活動することが役に立つ。
WBGTとは、熱中症が起きやすい外的環境を知るための指標で、気温だけでなく、湿度や輻射熱を考慮した判断が可能になる。その内訳は気温:湿度:輻射熱が1:7:2であることから、気温だけでなく、湿度や輻射熱をも考慮した判断が可能になる。
気温だけでなく、この暑さ指数(WBGT)を意識した生活指導が必須であり、これを用いた屋外活動の可否判断が重要だ。
WBGTが21度以上では熱中症による死亡事故が発生する可能性があり、運動の合間に積極的に水分補給が必要。28度以上では、激しい運動や持久走などの体温が上昇しやすい運動は避け、31度以上では、運動は原則中止するのが望ましいとしている。小児の場合は、さらに厳格な対応が必要となる。
熱中症になりやすい人には声掛けを
また、小児や高齢者、持病のある人は体温調節機能が弱い「熱中症弱者」として認識する必要がある。これらの人々は熱中症にかかりやすい。周囲にいる者同士が、お互いに注意をし合い、少しでも異常がみてとれたら、熱中症を疑い適切に対処することが重要だ。
・ 高齢者では全身に占める水分の割合が低く、容易に脱水になりやすい。脱水になると発汗の機能が低下し、体温調整が困難となる。・ 小児では汗腺の発達や自律神経が未熟で、高齢者や持病のある方は自律神経の機能が低下しており、体温調節機能が弱い。
・ 身長が低い人は、地面からの輻射熱の影響を受けやすい。
・ 自分で予防する能力が乏しい。
熱中症予防×コロナ感染防止 厚生労働省と環境省が公開しているポスター
環境省 熱中症予防情報サイト 熱中症のかかりやすさを示す「暑さ指数(WBGT)」を公表している。 |
厚生労働省 熱中症関連情報 熱中症予防に対する取組みや、職場における労働衛生対策などを公開している。 |
スポーツ庁 自宅や屋外で安全に運動をするポイント 新型コロナウイルス感染症の拡大防止と運動・スポーツの実施における留意点などについて情報を提供 |
熱中症予防 厚生労働省と環境省が公開しているポスター
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
ライフスタイルの関連記事
- 【座談会】先生たちのSAP体験談2 インスリンポンプの新機能を使って
- 年齢を重ねることに前向きな人は糖尿病リスクが減少 こうすれば加齢に対してポジティブになれる
- タバコは糖尿病リスクを高める 禁煙すれば2型糖尿病のリスクが30~40%減少
- 「ノンアルコール飲料」を利用すると飲酒量が減少 お酒を減らすきっかけに 糖尿病の人は飲みすぎにご注意
- 生活を楽しめている人は認知症リスクが低い 糖尿病の人は認知症リスクが高い ストレスに負けず「楽しむ意識」を
- 年末年始は宴席やイベントの誘いが増える 実は誘いを断っても人間関係への影響は少ない
- 冬のお風呂は危険? 寒いと増える「ヒートショック」 糖尿病の人もご注意 7つの方法で予防
- 野菜や大豆などの「植物性食品」が糖尿病リスクを低下 植物性タンパク質をバランス良く食べると効果
- 糖質量からお店や商品が探せるアプリ「ドコカボ」〜開発者の赤坂さん夫妻に聞く[PR]
- 減塩は難しくない 糖尿病の人も減塩は必須 減塩の新しい考え方「かるしお」を提唱