11月14日は世界糖尿病デー
2型糖尿病の患者さん349人に聞く、糖尿病治療に関する実態調査

糖尿病の患者さんが治療で難しいと感じるのは「運動習慣の継続」「食事管理」
毎日の血糖トレンドを"見える化"する持続グルコース測定(CGM)経験者の約8割は健康的な生活を送れていると実感

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 糖尿病ネットワークは、グローバルヘルスケア企業のアボットジャパン合同会社(本社:東京都港区)の協力のもと、2型糖尿病の患者さん349人を対象に、糖尿病治療に関する調査を行いました。
 その結果、糖尿病の患者さんが治療において難しいと感じるのが「運動習慣の継続」と「食事管理」でした。この2つは糖尿病治療の基本となる三本柱(食事療法・運動療法・薬物療法)のうちの二つですが、血糖管理を適切に行うことで糖尿病の進行を抑え、健康な状態を保ちQOL(生活の質)の維持を図ります。血糖管理のために、血糖トレンド(血糖の変動の傾向)を把握する方法が持続グルコース測定(CGM)です。今回の調査ではCGM経験者と未経験者に分けると、CGM経験者の85%は「血糖管理が以前より上手くなったと思う」、79%が「糖尿病治療に限らず健康的な生活を送ることができている」と答え、79%が「持続的にグルコースの測定をすることの良さを他の糖尿病の患者さんにも知ってもらいたい」と推奨しています。
 本調査結果について、調査の監修をしていただいた順天堂大学大学院医学研究科代謝内分泌内科学教授の綿田裕孝先生にコメントをいただきました。

綿田先生の調査結果を受けてのコメント

患者さんの悩みの「理由」に対する先生の解説

  • 今回の調査は、2型糖尿病治療において患者さんが直面する現実的な課題を、改めて見える化したものになっています。
  • 「運動習慣の継続」や「食事管理」は多くの患者さんが頭では理解していても、患者さんは日々継続することを難しいと感じる人が多いのが実態です。

CGMに関する先生の解説

  • そこで有効な手段となるのが、持続グルコース測定(CGM)です。CGMによって日々の血糖変動が"見える化"されることで、自分の生活習慣と血糖の関係を客観的に理解でき、行動変容のきっかけ、基準になります。
  • 調査結果でも明らかになりましたが、自身の状態が数値化され見えるようになることで、患者さんご自身の継続的な治療のモチベーションになることが期待されます。
  • 患者さんがご自身の状態を理解し、主体的に治療に取り組むことは、一人ひとりにあった適切な治療法の発見はもちろん、合併症予防や患者さんのより良い生活の実現に貢献すると考えます。
  • 今後さらに糖尿病の診療にCGMが広く活用され、治療の継続と生活改善の両立が進むことを期待します。
綿田裕孝(わただ・ひろたか)先生
綿田裕孝(わただ・ひろたか)先生
順天堂大学大学院医学研究科代謝内分泌内科学 教授
糖尿病学、内分泌学を専門とし、1)膵β細胞障害の分子機構 2)膵β細胞分化機構の解明と再生療法の確立 3)糖尿病における動脈硬化症発症機構の解明と治療法の確立 4)アジア人のインスリン抵抗性の病態解明 5)臨床糖尿病学の研究を行っている。大阪大学医学部卒業、2010年6月より順天堂大学大学院医学研究科代謝内分泌内科学教授。

「2型糖尿病の患者さん349人に聞く、糖尿病治療に関する実態調査」調査概要

  • 調査時期2025年9月5日(金)〜9月9日(火)
  • 調査対象全国の2型糖尿病の治療中の患者さん:349名(CGM経験者:159名/CGM未経験:190名)
    糖尿病ネットワーク メールマガジン会員およびマクロミルケアネット社調査パネル
  • 調査方法インターネット調査
  • 協力アボットジャパン合同会社
  • 留意点小数点一位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。
    CGM経験者/CGM未経験者のそれぞれの意識を把握するため、CGM経験者:159名/CGM未経験:190名を対象に調査を実施しました。

調査対象者の属性

  • 男女比:男性237人(78%)、女性75人(22%)、合計349人
  • 年代別:〜20代1%、30代2%、40代10%、50代23%、60代以上65%(全体の65%が60代以上)
  • 2型糖尿病歴(初めて診断されてからの期間):1年未満3%、1年以上3年未満7%、3年以上5年未満10%、5年以上10年未満17%、10年以上15年未満14%、15年以上20年未満17%、20年以上32%(全体の80%が診断されて「5年以上」)

男女比

対象:全体(n=349)

男女比

年代別

対象:全体(n=349)

年代別

2型糖尿病の病歴
Q.2型糖尿病と診断されてから何年?

対象:全体(n=349)

2型糖尿病の病歴 2型糖尿病の病歴 詳細

持続グルコース測定(CGM)の経験

 CGMとは、皮下に刺した細いセンサーにより体内のグルコース値*を持続的に測定することで、食事、睡眠、運動などの日々の生活や治療への取り組みがその方の血糖変動にどのように影響しているのかを把握するのに役立ちます。
*CGMでは皮下の間質液中のグルコース濃度(グルコース値)を測定しますが、グルコース値は血液中のグルコース(ブドウ糖)の濃度を示す「血糖値」と相関関係があるため、血糖変動を把握することができます。

  • CGM経験:経験あり46%、経験なし54%
    CGMを始めてからの期間:1年未満28%、1年以上3年未満28%、3年以上5年未満12%、5年以上10年未満18%、10年以上15年未満5%、15年以上20年未満4%、20年以上5%
    全体の69%がCGMを始めて「5年未満」)

CGM経験
Q.CGMの経験は?

対象:全体(n=349)

CGM経験

CGM使用期間
Q.CGM始めてからの期間は?

対象:CGM経験者(n=159)

CGM使用期間 CGM使用期間 詳細

「2型糖尿病の患者さん349人に聞く、糖尿病治療に関する実態調査」調査結果

2型糖尿病の患者さん悩み 治療で難しいと感じるのは「運動習慣の継続」と「食事管理」

 2型糖尿病の治療において難しいと感じることを聞くと、「運動習慣を継続しないといけない」(75%)、「食べる量を減らさないといけない」(72%)、「暑い寒い関係なく体を動かさないといけない」(71%)の順となりました。「運動習慣の継続」「体を動かす」に加え、「運動が苦手なのに、しないといけない」(58%)、「仕事・学校の都合で運動時間が不規則・あと回しになりがち」(57%)といった運動に関すること、「食べる量を減らす」に加え、「好きなものを我慢しないといけない」(70%)、「料理の内容に継続して気を使い続けることが難しい」(56%)といった食事に関することが、糖尿病治療において難しいと感じる人が多いようです[図1]。

[図1]糖尿病治療で難しいと感じること(上位10項目)

全体(n=349)
(スコアは「そう思う」「ややそう思う」の合計値)

運動習慣を継続しないといけない
75%
食べる量を減らさないといけない
72%
暑い寒い関係なく体を動かさないといけない
71%
好きなものを我慢しないといけない
70%
通院や検査などの費用負担が大きい
69%
毎日測定しないといけない
59%
運動が苦手なのに、しないといけない
58%
仕事・学校の都合で運動時間が不規則・あと回しになりがち
57%
料理の内容に継続して気を使い続けることが難しい
56%
外で測定すると機材の持ち運びがわずらわしい
56%

治療の継続で難しいと感じるのは、「運動習慣」「注射」「通院」の継続

 また、治療の継続において難しいと感じることは、「運動習慣を継続しないといけないこと」(74%)、「注射を打ち続けないといけない可能性があること」(74%)、「通院を続けないといけないこと」(71%)の順となりました。また、治療を継続する上で、「食事や運動の血糖値管理の影響が分かりにくい」と感じる患者さんは56%と6割近くもいます[図2]。

[図2]糖尿病治療の継続で難しいと感じること(上位10項目)

全体(n=349)
(スコアは「そう思う」「ややそう思う」の合計値)

運動習慣を継続しないといけないこと
74%
注射を打ち続けないといけない可能性があること
74%
通院を続けないといけないこと
71%
薬を服用し続けないといけない可能性があること
71%
バランスの良い食事、健康的な食事を継続して用意しないといけないこと
68%
運動する時間を確保し続けないといけないこと
68%
通院や検査などの費用負担が大きいこと
67%
極力規則的な食生活を送る必要があること
65%
この先もっと食事や運動に厳しく取り組まないといけない可能性があること
60%
好きなものを我慢し続ける必要があること
60%
食事や運動の血糖管理への影響が分かりにくいこと
56%

治療モチベーションTOP3、「測定した数値がよい」「規則正しい生活ができている」「医療従事者から褒められる」

 2型糖尿病の治療に対する意欲、モチベーションとなることを聞くと、「測定した数値がよい」(82%)、「規則正しい生活ができている」(73%)、「医師など医療従事者にほめられる」(72%)が上位に挙げられました。また、「食事や運動の血糖管理への影響が分かりにくさ」が治療意欲に影響するかと聞くと、58%と約6割の方が影響すると感じています[図3]。

[図3]糖尿病治療のモチベーション(上位10 項目)

全体(n=349)
(スコアは「そう思う」「ややそう思う」の合計値)

測定した数値がよい
82%
規則正しい生活ができている
73%
医師など医療従事者にほめられる
72%
バランスのいい、健康的な食事が続けられている
70%
家族が協力してくれる
70%
食事や運動の生活改善が数値に反映されない
64%
食事や運動の血糖管理への影響が分かりにくい
58%
体重が減る
58%
運動が続けられている
56%
家族が食事や運動など生活習慣を改善する様子をほめてくれる
54%

  血糖管理とは、糖尿病の治療における目標で、血糖値を健康な状態に近づけ、糖尿病の進行や合併症を防ぐことです。血糖値を良好にコントロールすることで、糖尿病に起因するさまざまな合併症の発症や進行を防ぎます。病気の進行を抑え、健康な状態を保つことで QOLの維持に役立ちます。
 ここからは、血糖管理に役立つ血糖トレンドを把握するためのCGM経験者(159人/全体の45%)と未経験者(190人/全体の54%)それぞれの傾向を把握し、CGM経験者の実感からそのメリットを探ります。
 ※血糖トレンド=1日のうちで血糖値がどのように変動しているかの傾向

CGM経験者の約8割が自身の血糖管理ができていると回答
約半数が血糖管理できている理由は「CGMのおかげ」と実感

 血糖管理ができているかを4段階で聞くと、血糖管理ができている(管理ができている+まあ管理ができている)と答えたのは全体の74%でした。CGM経験者は79%と約8割が血糖管理ができているのに対し、CGM未経験者は70%となり、CGM経験者の方が9ポイント血糖管理ができていると答えた割合が高くなっています[図4]。

[図4]自身の血糖管理

管理ができている まあ管理ができている あまり管理ができていない 管理ができていない
全体(n=349)
16%
59%
22%
4%
CGM経験者(n=159)
18%
61%
18%
3%
CGM未経験者(n=190)
14%
56%
25%
5%

 血糖管理ができていると答えたCGM経験者にその理由を聞くと、「飲み薬のおかげ」(67%)、「インスリン注射のおかげ」(56%)などの薬物療法、「食事療法のおかげ」(48%)に次いで、「持続グルコース測定(CGM)での血糖トレンド測定のおかげ」(46%)と約半数の人が答えています[図5]。

[図5]血糖管理ができていると思う理由

「自身で血糖管理ができている」と回答したCGM経験者(n=126)

飲み薬のおかげ
67%
インスリン注射のおかげ
56%
食事療法のおかげ
48%
持続グルコース測定(CGM)での血糖トレンド測定のおかげ
46%
運動療法のおかげ
35%
血糖自己測定(SMBG)での血糖値測定のおかげ
28%
インスリン以外の注射のおかげ
18%

CGM経験者の方が未経験者に比べ血糖管理に関して理解度が高く、実践的な知識がある

 血糖トレンドに関する10項目について「知っている」か「知らない」で回答いただいたところ、「血糖値を急上昇させない食べる順番を知っている」(76%)、「血糖管理のための、よりよい食事タイミングを知っている」(57%)など食事に関する項目で高い認知度が示されました[図6-1]。

[図6-1]「血糖トレンド」の認知(全体)

全体(n=349)

  • 血糖値を急上昇させない食べる順番を知っている76%
  • 血糖管理のための、よりよい食事タイミングを知っている57%
  • 血糖トレンドは一日の血糖の変化を、「点」ではなく「線」で見ることができる54%
  • 血糖トレンドを見ることで食事と血糖の関係がわかる53%
  • 血糖トレンドを見ることで血糖管理の質がわかる51%
  • 血糖トレンドを見ることで一日の活動と血糖の関係がわかる49%
  • 自分が低血糖になりやすいタイミングを知っている(早朝等)48%
  • 血糖管理のための、よりよい運動方法を知っている45%
  • 血糖管理のための、よりよい運動タイミングを知っている44%
  • 血糖トレンドを見ることで睡眠中の血糖の変化がわかる43%

 CGM経験の有無で比較すると、ご自身の血糖トレンドに対する理解は全ての項目でCGM経験者の認知が高い結果となりました[図6-2]。

[図6-2]「血糖トレンド」の認知(CGM経験者・未経験者それぞれの結果)

糖値を急上昇させない食べる順番を知っている
86%
68%
血糖トレンドを見ることで食事と血糖の関係がわかる
78%
32%
食事と血糖の関係がわかる血糖トレンドは一日の血糖の変化を「点」ではなく「線」で見ることができる
75%
37%
血糖トレンドを見ることで血糖管理の質がわかる
72%
33%
血糖トレンドを見ることで一日の活動と血糖の関係がわかる
71%
31%
血糖管理のための、よりよい食事タイミングを知っている
70%
45%
自分が低血糖になりやすいタイミングを知っている(早朝等)
70%
30%
血糖トレンドを見ることで睡眠中の血糖の変化がわかる
66%
24%
血糖管理のための、よりよい運動方法を知っている
56%
36%
血糖管理のための、よりよい運動タイミングを知っている
55%
35%
CGM経験者(n=159) CGM未経験者(n=190)

CGM経験者は血糖の継続的な測定により、「食事」「運動」「睡眠」といったQOLの向上を実感しており、低血糖予防にとどまらないCGMの価値を感じている

 CGM経験者に、血糖の持続的な測定を行うメリットをと聞くと、CGMの保険適用の起点となった「低血糖を防ぎやすい」(74%)に対し、「血糖値の変動と食事の内容の関係が分かりやすい」(87%)、「食事や運動などどういう行動を取った時に血糖値が変動するのかが分かりやすい」(82%)、「食事療法継続の励みになる」(82%)など食事管理に対するメリットを感じる人が多く低血糖の予防というリスク管理を越えたところにCGMの価値を見出す方が多くいることがわかりました。[図7]
 血糖の持続的な測定を行うことで、食事の管理だけでなく、運動や睡眠など日常生活に直結する役立つメリットを感じているようです。

[図7]CGM経験者が実感する、血糖の持続的な測定のメリット

(スコアは「そう思う」「ややそう思う」の合計値) 対象はCGM経験者(n=159)
CGM経験者(n=159)

血糖値の変動と食事の内容の関係が分かりやすい
87%
食事や運動などどういう行動を取った時に血糖値が変動するのかが分かりやすい
82%
食事療法継続の励みになる
82%
血糖値の変動と運動の関係が分かりやすい
78%
睡眠時の血糖値の変動が分かりやすい
76%
低血糖を防ぎやすい
74%
運動療法継続の励みになる
74%

CGM経験者はQOLが高め
 「血糖管理がうまくでき」「健康的な生活を実践」し、「日々前向きな生活」を享受している

 全員に自身の健康管理について、AまたはBのどちらに近いか答えてもらいました。まず、血糖管理について聞くと、「A.以前より上手くなったと思う」と答えた人はCGM経験者では85%と高い値でした。また、糖尿病治療に限らず健康的な生活について聞くと、CGM経験者では79%と約8割が「A.健康的生活を送ることができる」と自負しています。血糖管理ができ健康的な生活を実践しているからか、CGM経験者の74%は「A.日々を前向きに過すことができている」と答えており、CGM経験者はQOLも保たれているようです[図8]。

[図8]自身の健康管理

血糖管理
以前より上手くなったと思う 以前より上手くいかなくなったと思う
全体(n=349)
79%
21%
CGM経験者(n=159)
85%
15%
CGM未経験者(n=190)
74%
26%
健康的な生活 糖尿病治療に限らず
健康的な生活を送ることができる 健康的な生活を送ることができない
全体(n=349)
75%
25%
CGM経験者(n=159)
79%
21%
CGM未経験者(n=190)
72%
28%
日々の向き合い方
日々を前向きに過ごすことができる 日々に不安を感じる
全体(n=349)
70%
30%
CGM経験者(n=159)
74%
26%
CGM未経験者(n=190)
66%
34%

CGM経験者の約8割が「持続的な血糖測定」を他の糖尿病の患者さんに知ってもらいたいと回答

  血糖トレンドの測定習慣があるCGM経験者に、持続的に血糖の測定をすることの良さを他の糖尿病の患者さんにも知ってもらいたいかと聞きました。すると79%と約8割の人が「知ってもらいたいと思う」と答えました[図9]。
 持続的なグルコース測定で血糖トレンドを把握することが、健康管理にもQOLの向上にも役立つことを実感しているCGM経験者からの、実感に基づく推奨といえそうです。

[図9]持続的な血糖測定の推奨

持続的な血糖測定の推奨 持続的な血糖測定の推奨
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