インスリンポンプSAP・CGM情報ファイル

インスリンポンプSAP・CGM情報ファイル

インスリンポンプ・SAP療法座談会
先輩患者さんに聞いてみよう

SAP療法のある生活ってどんな感じ? 経験者にお話しいただきました

Part1 子どもの成長とSAP療法

SAP(Sensor Augmented Pump)療法とは、CGM機能を搭載したインスリンポンプによる治療のこと。腹部などに装着したセンサーで連続的に間質液中のグルコース(センサーグルコース値)の濃度を測定し、インスリンポンプのモニタ画面に測定値を表示します。
間質液中のグルコース濃度は血糖値そのものではありませんが、血糖値とある程度相関することがわかっており、連続して測定することで、患者さんがご自身でリアルタイムに血糖変動を確認することができます。

    お話を聞いた皆さん

    高谷具純 先生
    千葉大学医学部附属病院 小児科
    1型糖尿病/8歳発症/
    SAP療法で治療中

    AYさん
    17歳(高校2年生)
    1型糖尿病/12歳発症/
    SAP療法で治療中

    いと君とご家族
    8歳(小学2年生)
    1型糖尿病/3歳発症/
    SAP療法で治療中

    mana さんのお母さん
    6歳(幼稚園年長)
    1型糖尿病/1歳発症/
    SAP療法で治療中

    はじめに

    高谷具純 先生

    私は医師でもあり1型糖尿病患者でもあります。SAP療法をおこなっており、その素晴らしさを体感しています。SAPは、特に基礎インスリンの調節が簡単なので、いろいろなパターンを試して自分に最適な設定を見つけることができます。近年、SAPの性能はどんどん向上しており、低血糖や高血糖時を予測してアラートが鳴ったり、低血糖に備えてインスリン注入が自動停止してくれたりと、血糖コントロールが楽になってきました。最近では、基礎インスリンが自動投与される新しい機器も登場しました。
    SAP療法をはじめた私の患者さんの多くが、SAPの機能を便利に使いこなし快適に過ごしておられます。この座談会を通して皆さんにもSAP療法のよさを知ってもらえればうれしいです。

    *SAP:文中では、SAP療法のために用いるCGM機能のついたインスリンポンプのことを指します

    ー「治療法と機器」編ー

    どうしてSAP療法を始めたの?

    いと君父

    息子のいとは、保育園のときに1型糖尿病と診断されました。保育園に通いながらでも治療しやすいという点で、SAP療法を選びました。例えば給食のとき、注射だといちいち親が保育園に打ちに行かないといけませんが、高谷先生があらかじめインスリンポンプの基礎レートを、お昼ご飯に合わせてインスリンが入るように設定してくれましたのですごく助かりました。SAP機能のおかげで、保育園の先生に血糖値をチェックしてもらえますしいとの体調を気にかけてもらうこともできました。

    ※SAP療法で測定するのは「センサーグルコース値(間質液中の糖濃度)」で、血糖値そのものではありませんが、座談会の文中では「血糖値」と表現されています。

    manaさん母

    うちは1歳で糖尿病を発症して入院した際に、先生にお勧めいただくままにSAPに決めました。決め手は低血糖の怖さですね。まだ小さいmanaは、気分が悪くても自分から訴えることができなかったので、「血糖値が見える」という機能は必須でした。たとえ私がmanaのそばにいなくても、対応方法を知っている方であれば、きちんと対応してもらえるというのは本当に心強かったです。

    AYさん

    私は小6だったのですが、ポンプと注射をどっちも試して自分でSAPに決めました。針を打つ回数が少ないのと、血糖値が見えること、便利な点から選びました。

    manaさん母

    うちも、入院中にインスリン注射を教えていただいて打っていたのですが、manaが嫌がって大泣きしてご飯を食べられなかったこともありました。manaが入院して糖尿病とわかったとき、私には糖尿病の知識は一切なく、調べる余裕もありませんでした。すべてがあまりに急激に進んだので呆然としていました。そんなとき、高谷先生が「実は僕も1型糖尿病でね」ってお話くださって、緊張の糸が一気にほどけましたのを覚えています。

    先生は、SAP療法のプロ! 先生から、SAP療法だと基礎インスリン(ベーサル)を何パターンも設定できて、それを使い分けできたり、血糖値が常に見えたり、さらに今のSAPは低血糖傾向になったらインスリン注入が自動で止まって、それが回避できたら再開もすると聞いて、本当にすごいと思いました。

    AYさん

    目次へもどる

    SAP療法を始めるときの不安

    いと君父

    インスリンポンプが詰まることがあると聞いていたので不安でした。実際使ってみて、やっぱり詰まりましたね(苦笑)。あと、針をどこに打ったらいいのか悩みました。お腹に打つのが怖くて、お尻に打ったりしたこともありました。

    高谷先生

    患者さんには、ポンプの詰まりが原因でケトアシドーシスになるという話を必ずしますので、それが一番皆さん心配されるところですね。

    *ケトアシドーシス:急激に起こる異常な高血糖状態のこと

    AYさん

    ポンプの詰まりは私にも経験あります。「詰まったときはチューブを交換!」で、対処できるようになりました。

    manaさん母

    うちの場合は、SAP療法をはじめた当初はもう不安を感じている余裕もなかったですね。最初からSAPのありがたさを感じるばかりでした。


    患者さんに聞いてみました ①

    Q.インスリンポンプやSAPを使い始めるとき、懸念や不安はありましたか?

    インスリンポンプやSAPを使ったことのある糖尿病患者さん69名

    出典:2021年糖尿病ネットワークアンケート
    (インスリン治療を受けている患者さん260名を対象にしたインターネット調査/2021年10月実施)

    目次へもどる

    こんなときに便利!SAP療法

    いと君父

    子どもが小さいと間食をしたいっていうときにすぐ打てるのはすごくいいです。

    manaさん母

    そうですね。子どもは「今すぐ食べたい」が急に始まるので、SAP療法は本当に便利です。外出先で間食を食べたときも、SAPに表示される血糖値を見て必要なら追加(ボーラス)インスリンを打てるし、すごく助かります。また、SAP機能のおかげで幼稚園の先生にも血糖値の異常に気づいてもらえやすいです。

    AYさん

    私の場合は人前で注射を打つのは抵抗があるし、いちいちトイレや保健室へ行くのも面倒だけど、ポンプだったら携帯をいじっているみたいな感じで気軽に追加インスリンが打てます。SAPに低血糖のときに自動でインスリン注入が止まる機能がついてからは、夜中に起きる回数が減ったのもありがたいと思っています。

    SAP機能のおかげで低血糖の心配がかなり減少し、私も夜、ゆっくり寝られるようになりました。インスリン注射の時代は、低血糖の不安から、寝る前は150mg/dLぐらいにしておかないと駄目かなと思っていましたけど、SAPだと朝起きて見ると低血糖をちゃんと回避しているので夜間のストレスが減ったと感じています。当直中も短い時間ですがきちんと眠れるのでありがたいです。

    高谷先生

    目次へもどる

    取り扱いやトラブル対処法

    いと君父

    同じ部位ばっかりに打っていると、かぶれて皮膚が硬くなってしまうことがあって、そうなるとインスリンの効きが悪くなってきます。うちでは、ときどきポンプお休み期間を設けることにしています。特に、親がそばにいてやれる週末は、インスリン注射に切り替えることが多いです。注射に慣れてほしいっていうのもありますし、本人もやっぱり何かが体についているのは煩わしいというのもあるようで。あと、センサーをとめるテープ部分がかゆくなるようで。

    今日はセンサーもはずしてるよ!

    いと君

    いと君母

    今日は、CGMもインスリンポンプもはずしていますが、CGMだけ、もしくはインスリンポンプだけという使い方もしています。インスリンポンプをお休みしてCGMで血糖値だけ見たり、CGMはお休みするけど注射をしたくないのでポンプだけつけるとか。

    高谷先生

    子どもは身体が小さいので、打つ部位も限られてしまいます。皮膚のかゆみには塗り薬もあります。CGMのセンサーやインスリンポンプの注入部を装着する際に保護膜形成剤を使ったり、下にテープを張ってその上に穿刺したり、いろいろ試してもらいます。

    AYさん

    私も、以前はセンサーを防水テープみたいなので貼って固定していたんですけど、痒くなっちゃいました。テーピングテープを使うようになって、安定してきました。

    manaさん母

    あとは、幼稚園で、石でできた滑り台を滑ったときに、後ろにポンプがきていたみたいで、スパイベルト*のポケット部分に穴があいたことがありました。その時はそれで済んだのですが、子どもが小さいだけに、ヒヤッとすることはありますね。

    *スパイベルト:インスリンポンプ専用のウエストポーチのこと

    いと君母

    うちもスパイベルトを使っているんですけど、どっかに引っかかるのではと心配です。本人はまったく気にしてないようです。機器が服から出ちゃったりしていても、ぜんぜん気にしない。それから、やっぱりSAPのエラーも心配です。ただそれ以上に、血糖値が簡単に確認できることが絶対的なメリットだと思っています。学校の先生方にも気軽に確認していただけますので。

    AYさん

    最初、「未較正」というエラーが出たときは意味が分からなくて、SAPのメーカーがやってる24時間対応してくれるサポートラインに、夜中に電話をかけて相談したことがありあす。言われた通りにしたら解決しました。

    manaさん母

    基本的な使い方やセンサーやポンプのチューブの交換などは2、3カ月で慣れた感じでしたけども、アラートやエラーなど、知らないことが起きたときは焦ります。AYちゃんと同じで、使い始めの頃はよく24時間サポートラインに電話して教えてもらって、次は聞かずに対応できるようにと必死にメモして、自分のマニュアルみたいなのを作っていましたね。今では、だいぶ経験値があがりました。

    AYさん

    どんどんメモして、自分だけのマニュアルになっていくのは私も同じです。

    manaさん母

    SAPのCGMのトランスミッタが、感度が低いことが2~3カ月続いて、先生に話したらトランスミッタの寿命かもしれないと教えていただき、取り替えたらすぐ解決しました。そういうこともあるのかって、自分では気付けないことでした。

    *トランスミッタ:センサーで感知したセンサーグルコース値のデータをCGMに送信するシステム。

    うちも、SAPには2~3カ月で慣れたとは思うのですが、最初のうちはやっぱり、マニュアルを何度も読み返しましたね。アラートが鳴るたび、マニュアルで調べていました。これから成長とともにインスリン量も変化していくでしょうし、季節によってインスリンの効きに変化があることもあります。インスリンの調整はいまだに大変です。

    いと君父

    いと君母

    せっかくなので、いとからみなさんに聞いてみたいことある?

    いと君

    ない!

    目次へもどる

    SAP療法に慣れるまで

    いと君母

    AYさんにお伺いしたいのですが、SAPもご自身でつけられますか?

    AYさん

    SAPは、お尻はちょっと届かなかったりとか、テープが綺麗に剥がせなかったりとかしちゃうので、お母さんに手伝ってもらいます。でも、腕やお腹は自分で打ちます。

    いと君父

    小学校の頃から、自分でお腹に打てたんですか?

    AYさん

    そうです。入院中に練習して1時間くらいでできるようになりました。初めはインスリンポンプの針を入れるのが怖くて怖くて、1時間かけて頑張ってひとりでできるようになりました。1、2、3と、タイミングで決めて打つようにして。結局は慣れですね。

    いと君父

    痛くはなかったですか?

    AYさん

    血糖測定で針を刺すことには慣れてました。

    いと君母

    針を刺すのは、自分でも抵抗あるじゃないですか。それを小さな子どもにするのは、最初は抵抗がありましたが、必要な治療なのでやらざるを得ない。そういうところからスタートして、親子ともども慣れてきました。今小2ですがどこかのタイミングで、例えば修学旅行とか、いとが自分で対応できるようにしないといけないなと思っています。

    manaさん母

    うちもいと君のところと全く同じで、今は親が対応しています。本人にまかせるのは、本人に覚悟ができてから。無理に自分でやらせることで喧嘩になったり、治療をいやがったりするようになるのは避けたいので。AYさんが6年生でできたと聞いたので、それくらいを目標にしたいと思います。


    患者さんに聞いてみました ②

    Q. インスリンポンプやSAPの取り扱いに慣れるのに、どれくらい時間がかかりましたか?

    インスリンポンプやSAPを使ったことのある糖尿病患者さん69名

    出典:2021年糖尿病ネットワークアンケート
    (インスリン治療を受けている患者さん260名を対象にしたインターネット調査/2021年10月実施)

    目次へもどる

    あったらいいな、こんな機能

    manaさん母

    インスリンポンプに、幼稚園や小学校にいる子どもの血糖値が遠隔で分かる機能があるといいですね。あとは基礎インスリンを自動で設定してくれたら助かります。インスリンの効きが冬は悪くなって夏は逆によくなるし、身体も成長していくので、インスリンの調整は常に試行錯誤ですが、そこを自動でやってもらえたら助かりますね。

    いと君父

    低血糖になったら補食せずに、グルコースとかを自動で入れてくれる機能かな。

    いと君母

    遠隔で、ボーラスができる機能があると小さい子どもにはいいと思いますね。あと、AIがポンプのトラブルのときにエラーメッセージだけじゃなくてアドバイスをくれたり、あと何日でインスリンが切れますといったお知らせをしてくれるといいかな。アラートが鳴るとドキドキしちゃうから、その直前に察知してやさしく教えてくれると嬉しいですね。

    AYさん

    低血糖のときに自動で血糖値を上げてくれる薬を入れてくれたり、高血糖のときは自動でインスリンを入れてくれたりしたら便利だと思います。あと遠隔もいいですね!夜中にお母さんが見回りに来なくても、スマートフォン操作ができたらお母さんも楽ですね。

    高谷先生

    先日、新しいSAPが登場しました。トランスミッタが刷新されてスマートフォンと連動するようになり、なによりベーサル(基礎インスリン)を自動で変更してくれます。特に夜間の血糖値が安定するというデータが報告されています。アメリカでは、自動でボーラス(追加インスリン)が入るさらに新しいタイプも登場しています。ほかには、低血糖時にグルカゴンを注入してくれる「グルカゴンポンプ」を併用するポンプがあり、すでに欧米で試験が行われています。試験の時は、インスリンポンプとグルカゴンポンプの2つを着けていましたが、それが一体化して一つのポンプにインスリンとグルカゴンの両方を搭載するタイプが開発中です。このように、糖尿病の医療機器は様々な進歩を続けていますので、どうぞ皆さん楽しみにしていてください。


    患者さんに聞いてみました!③

    Q. SAPを使ってよかったことは?

    小児・思春期(18歳未満)でSAPを使ったことのある糖尿病患者さん8名

    • 「低血糖を予防できることが一番大きい。 ボーラスの際、煩わしい計算をしなくてよいのも便利」
    • 「スマートガード機能で基礎インスリンが止まるのがよい」
    • 「どこでもインスリンの追加打ちができるのでカーボカウントが適当になってしまっても安心して間食ができること」
    • 「基礎インスリンの細かな調整、低血糖前自動停止、手軽にボーラスが打てるなど、体の一部として便利に使っている」
    • 「基礎レートのパターンを何個もつくると便利」
    • 「睡眠時の低血糖症状を改善することができた。常時血糖値が分かるので対処しやすい」
    • 「夜間の血糖値が見られること」

    出典:2021年糖尿病ネットワークアンケート
    (インスリン治療を受けている患者さん260名を対象にしたインターネット調査/2021年10月実施)

    目次へもどる

    ー「通学・通園」編ー

    幼稚園・保育園での過ごし方

    いと君母

    うちは保育園の途中で糖尿病を発症して、保育園を続けられるか不安がありましたが、保育園の先生たちが受け入れてくださったおかげで無事に過ごすことができました。小学校に入る3カ月くらい前から、練習のために保育園でも自分で血糖値を測らせてほしいとお願いしたときも、対応していただけました。

    manaさん母

    manaの幼稚園には上の子がすでに通っていたのですが、manaの事情を説明したら、過去に同じ1型糖尿病のお子さんが通っていた経験があるといわれ、一安心しました。低血糖の対応についてはもちろん、この時間になったらこれぐらい補食をしてほしいとか、補食を取りすぎて高血糖から給食が始まってしまわないようにとか、細かく先生たちにお願いをしました。先生方には、本当に丁寧に対応していただいています。先日も、「もうすぐ給食なのに、血糖値がちょっと高めなんですが大丈夫ですか?」と電話をもらって、あわててインスリンペンを持って幼稚園に走りました。先生方もきっと不安だと思いますが、対応に慣れてきてくださっている印象です。

    保育園や小学校には、あれもこれもお願いするのではなく、ここだけはどうしてもお願いしたいという譲れないポイントを絞って、先生方の心配や事情もお聞きしながら相談していくといいと思います。案外「それだったらできますよ」と言っていただけることがあるんじゃないかなと思います。うちの場合は、低血糖時の対応だけは譲れないので、話しかけても反応がにぶいとか、注意すべき具体的な状況と対応方法についてお話をしました。

    いと君母


    患者さんに聞いてみました ④

    Q. 幼稚園や保育園・学校、地域など、教育関係者や友人などからインスリンポンプやSAPで治療を行うことへの理解やサポートは得られましたか?

    小児・思春期(18歳未満)でSAPを使ったことのある糖尿病患者さん9名

    出典:2021年糖尿病ネットワークアンケート
    (インスリン治療を受けている患者さん260名を対象にしたインターネット調査/2021年10月実施)

    目次へもどる

    小学校での過ごし方

    AYさん

    私の小学校には1型糖尿病の生徒はいなかったです。給食前に血糖測定をしようとすると「何やっているの?」とか聞かれたりするのが面倒で。血糖測定や補食を保健室でするのが、ちょっと悩みでしたね。

    いと君

    僕も、補食は保健室とかほかの部屋で食べてるよ。

    いと君母

    小学校に上がるときに、体育でボールが当たったりしてポンプが壊れてしまうのが心配だと先生にいわれました。もちろん壊れたら困りますが、それはそれでしょうがないと思っています。「壊れたら困るので球技はさせないでください」とは言いたくないです。1型糖尿病だからできないことはない、なるべくいとの日常生活を制限したくないと思っています。

    目次へもどる

    入園前・進学前の準備

    manaは来年小学1年生になるんですが、進級して担任の先生が変わるたびに、学校の先生とはお話をした方がいいんでしょうか? 先生との日々の連絡はどんな風にするといいんでしょう?

    manaさん母

    いと君母

    うちは、新学期が始まるときに担任の先生と栄養士の先生と面談をしています。 保育園のときも同じでしたが、先生には、こういうときにはこういう補食をしますといった緊急時のマニュアルを作って渡してあるので、進級時にすり合わせをしています。SAPのエラーについては、先生にすべてを把握してもらうことはできないので、基本的にはエラーが出た場合はお電話をいただくことにしています。

    いと君父

    緊急時マニュアルも連絡ファイルも苦労して作りました。なるべく学校の先生の負担にならないようにと思って。

    いと君母

    日常生活では、連絡ファイルを作って活用してます。連絡ファイルには、朝の血糖値や保護者からの連絡事項、学校からの連絡事項の枠を作ってあるので、先生には例えば低血糖になった時間、そのときの血糖値と補食についてなどを記入してもらっています。たとえば、うちは補食用にゼリーを本人に持たせてるんですが、保健室にも置かせてもらっていて、それが少なくなると「補充してください」といった連絡をファイルでやりとりしています。

    manaさん母

    すごい!ありがとうございます。参考になりました。

    いと君母

    最初に連絡ファイルをご提案いただいたのは、1年生のときの担任の先生なのですが、前年に同じ1型の子がクラスにいたそうで、その時に連絡ノートを使っていたと教えていただきました。うちでは先生のアドバイスを参考に、ファイルという形にしました。先輩がいたのはありがたかったですね。

    manaさん母

    同じ学校にいらっしゃるってことですよね。

    いと君母

    そうなんです。学校内に実はあと2人、1型糖尿病の生徒がいるので、ちょっと珍しいと思うのですが、おかげで学校側もうちの子を受け入れることに対して抵抗はなかったんじゃないのかなと思っています。

    manaさん母

    なるほど。ありがとうございます。
    先日、就学児健診で小学校の教頭先生とお話をしました。1型糖尿病の野球選手やサッカー選手が活躍されていることをご存じだったので、「一番、大切なのは低血糖の対応で、なにか食べれば大丈夫なのね? 入学後に徐々にやっていきましょう」と、とても自然な感じで受け入れてくださった印象です。

    目次へもどる

    中学・高校での過ごし方

    AYさん

    中学のときは保健室が階下にあり、面倒なのと途中で倒れてしまうのが怖かったから、トイレで補食したりしていました。小学校のころから自分で管理できていた方なので、先生に頼ったことはあまりなかったです。
    私の高校はお菓子持参OKだから、もういくらでも補食できます!もちろん授業中は食べられないので、低血糖を感じたら「トイレ行ってきます」って言って、トイレで補食したりしています。
    私はこれから大学生とか社会人になることを考えても、不安は特にないです。SAPなら低血糖や高血糖も教えてくれるし、インスリン注入もできるから大丈夫だと思っています。

    いと君父

    これから大きくなるにつれ、活動が増えてくるのが少し心配です。

    AYさん

    中学ではテニス部だったのですが、やっぱりポンプを外せないので、ベルトでがっちり固定してそのまま普通に部活をしていました。
    高校受験では、試験の最中に補食が必要になったときに普通の教室で取るのは怖かったので、別室で受験をしました。受験する高校や中学の先生と相談して配慮していただけることになりました。
    最近、インスリンが出なくなってきているからかもしれないんですが、血糖コントロールが難しくてグラグラ不安定です。でも、SAPのおかげで補食や追加打ちのタイミングもつかみやすいです。

    高谷先生

    私が子どものときは、SAPはなかったので、注射で頑張っていまして、時代は変わったなぁと思いますね。私は受験のときはやや高血糖気味に調整していました。
    私は高校受験の面談で、自分が1型糖尿病であることを話したんですが、すぐに言わなきゃよかったと後悔しました。でも帰りには、これで落とされたらそんな高校行ってもしょうがないなと、心を決めたことを今でも覚えています。結局そこに合格して進学しましたので、話してよかったのかもしれません。
    患者さんから、就職の際には1型糖尿病を隠していると聞くことがありますが、1型糖尿病だから駄目っていう会社だったら、入社できても後でいろいろ問題が生じるのではないかとも思います。自分が会社を選ぶ選択権を持てるよう、自分を高めておくのも大事です。私自身は1型糖尿病という病気に負けたくないというのが、頑張る動機付けとなっています。

    目次へもどる

    お友だちについて

    いと君母

    うちは保育園のときは、クラスのお友達に入院中にいただいた絵本を使って、先生から病気のことを話してもらいました。今、小2ですが、1年生、2年生ともに、やはり先生から新年度の始まりのときにクラスのお友達に話してもらっています。保育園でも小学校でも、いと本人の同意の上です。これから、中学校とか高校ではどうなるのかまだ分かりません。AYさんは、お友達に話していますか。

    AYさん

    小学校のときは、担任の先生から病名は言わないで「血のコントロールができなくなる病気」みたいな感じで話してもらいました。どうしても「糖尿病」っていうとあまりいいイメージがないというか。
    中学のときは、親しい友達だけに、やっぱり糖尿病とは言わずに「血のコントロールが・・・」みたいな感じで伝えています。その他の友達には、聞かれたら答えるようにしています。高校でも同じようにしています。

    manaさん母

    話は変わるのですが...、AYちゃん、もしかしてmanaが入院したとき、病院でお会いしていませんか?

    AYさん

    やっぱり! 私もそう思ってたんです!

    manaさん母

    AYちゃんがポンプをつけていると聞いて、「どう?」って質問させてもらいましたよね?

    AYさん

    そうですね!懐かしい。

    高谷先生

    AYさんとmanaちゃんは同じ時期に入院されたので、お二人でお話をしてもらったことがありましたね。皆さん、1型の患者さんの友達はいますか?いと君はお友だちいる?

    うん、お友だちいるよ♪

    いと君

    いと君母

    同じ小学校に、1型糖尿病の男の子が2人、6年生と5年生にいるので、入学前も一度遊ばせていただいたりして交流を持っています。学校に同じ病気を持っている子がいることは、本人も心強いのではと思っています。保護者同士で情報交換もできるので助かります。そして主治医の高谷先生がお元気で活躍されている姿を見るのも安心材料です。

    AYさん

    私はキャンプに何回か行って、そこで友達ができました。キャンプはすごく楽しかったです。同じ病気の人には親近感がわいて、自分だけじゃないのだとパワーをもらいました。

    *キャンプ:糖尿病を持つ子ども達を対象に全国で実施されるイベントのこと。日本糖尿病協会が主催する「小児糖尿病サマーキャンプ」などがあります。

    いと君母

    うちも発症してすぐのころに1回だけキャンプに参加しました。同じ病気の友だちを見つけるのにキャンプはいいと思います。

    高谷先生

    コロナ禍が収束して、早くキャンプを実施できるようになってほしいですね。

    manaさん母

    うちは同じ病気の友達はいませんね。この前、病院で待っている間に、ちょっとmanaより上のお姉ちゃんかなっていう女の子に話しかけて、どんな状態なのかを聞いたりしました。
    あと、病院の待合室で、たぶんオリジナルに作られたんだと思うスパイベルトが見えて気になったので、話しかけて、ベルトを見せてもらいました。いちいちファスナーを開けなくても血糖値が見えるように、部分的に透明のフィルムで作られていて参考になりました。

    高谷先生

    なるほど、そういう交流もいいですね。みなさん、病院の待合室で他の患者さんに話しかけられたらどう思いますか。

    いと君母

    全然嫌じゃないです!

    AYさん

    私ももし何か聞いてくれたりしたら、むしろ、なんか頼ってくれる感じが嬉しいです。

    目次へもどる

    周りのサポートについて

    AYさん

    低血糖でまだ倒れたことはないのですけど、血糖値30mg/dL台くらいになっちゃったときにお母さんに補食を取ってきてもらったりしました。
    いまだに夜中の低血糖のアラームで起きるのが得意じゃないので、お母さんが夜中に見回りに来てくれて、鳴っていたら起こしてくれます。

    低血糖のアラートが授業中に鳴ったときなんかは、周りの友だちが「低血糖じゃないの?」って教えてくれるようです。周りが理解してくれているので、いとも補食しやすいのではないかと思います。

    いと君父

    いと君母

    学校の先生から、教室はどうしてもがやがやしていることがあるので、アラート音は最大に設定してくださいとご指示をいただいています。保育園でも同様でしたね。保育園では先生がたまたま近くにいないときにアラートが鳴ると、周りのお友だちが教えてくれたそうです。お迎えのときに、お友達が「今日いと君ポンプ鳴ったよ」と教えてくれていました。子どもたちが普通に受け入れてくれていてうれしかったです。

    manaさん母

    いとくんと同じですね。やっぱりお友達が、「アラート、鳴っているよ」って先生に教えてくれたり、私が血糖値を測りに園に行くと、お友達が「manaちゃんあっちだよ」と教えてくれたりします。小さな子ども達ですが、すごく頼もしいですね。

    目次へもどる

    小児慢性特定疾病対策補助について

    高谷先生

    1型糖尿病は20歳までは小児慢性特定疾病対策補助の対象となります。しかし20歳以上は補助の対象ではなくなりますので、1カ月分の目安としてSAPだと約3万円、ポンプだけだと約1万5千円程度の自己負担となります。
    1型糖尿病を難病指定してほしいという要望を学会から出していますが、なかなか実現しない状況です。SAPの1カ月3万円というのは重い負担ですので、その点も将来は考慮しないといけないと思います。

    目次へもどる

    最後に一言

    AYさん

    ポンプは、本当にインスリン注射とは比べ物にならないくらい便利な面がたくさんあります。特に、血糖値がずっと見られるのはすごくありがたいことなので、本当にお勧めします。

    いと君父

    うちはもう、これが「当たり前」になってます!

    いと君母

    その人のライフスタイルによって、例えば子どもだったら習い事なんかでSAPが煩わしいこともあるとは思いますが、もしも迷っているなら、一度試してそこから判断してもいいと思います。状況に応じて、注射と使い分けしたり、一定期間だけ使ったりすることもいいと思います。

    manaさん母

    うちもSAPありきの生活になっていますが、やはりSAPは血糖値が見えるということが安心につながります。特に小さいお子様だったらまず、試してみてほしいです。

    SAPは私自身も使っていて、非常に便利ですし、今後もどんどん進化していくと思います。怖がらずに、一度トライして、そのメリットデメリットを体感していただきたいですね。

    高谷先生

    目次へもどる

    番外編 補食に何を食べてる?

    AYさん

    小学校では、お菓子だと周りの友だちに何か言われそうなので、薬っぽいグルコースを保健室で取っていました。中学はグルコースとスポーツドリンクです。スポーツドリンクは取りやすいのでテニスの部活中に低血糖気味なときは一気に飲んだりしていました。高校はもうお菓子OKなので、チョコレートとか飴とかいろいろです♪

    いと君母

    保育園のときは、薬っぽく見えるグルコースでした。おやつだと周りのお友だちに「いいなぁ」と言われてしまうのではと心配だったので。最近のお勧めは、お菓子売り場で売っているスティックゼリーです。かさばらないので持ち運びに便利な上、いろいろな味があるので飽きにくい。また、例えばクッキーだと飲み物も必要ですが、ゼリーだと喉越しがよくて食べやすいです。

    manaさん母

    うちは、幼稚園ではリンゴの乳酸菌です。あとはラムネですね。自宅では、低血糖のときは「好きなおやつが食べられる」ことにしているのでアラートが鳴ると喜んでいます。低血糖はよくないことですが、補食も楽しい雰囲気でと心がけています。外出の際は、ラムネなどを必ず携帯するようにしています。

    目次へもどる

    この記事は2022年2月に制作しました。

インスリンポンプ情報.jp
1型ライフ
糖尿病リソースガイド

取り扱い病院検索