魚を週に2回以上食べると心臓病の発症が減り、寿命を延ばせるという研究が発表された。魚に含まれるDHA(ドコサヘキサ塩酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)には、心筋梗塞の予防効果がある。
脂肪酸はその組成により「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」の2つに分類される。「不飽和脂肪酸」は、さらに「一価不飽和脂肪酸」と「多価不飽和脂肪酸」に分類される。「オメガ3脂肪酸(n-3系脂肪酸)」は、多価不飽和脂肪酸の系統のひとつで、DHA(ドコサヘキサ塩酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)、DPA(ドコサペンタエン酸)が代表的だ。
DHAやEPAなどのオメガ3脂肪酸は、マグロ、サバ、イワシ、サンマ、ブリなどの青魚に多く含まれる。これらの魚を多く食べる人では、血中のオメガ3脂肪酸が高くなっており、心筋梗塞などの心臓病の発症が減り、まったく食べない人に比べ平均2.2年長生きするという調査結果が発表された。
長年、魚を食べる食事の習慣は健康的と考えられてきた。これまでの研究でも、心臓に良い脂肪酸やタンパク質が豊富な魚を食べると、心臓病による死亡リスクが下がることが確かめられている。しかし、実際に血中のオメガ3脂肪酸のレベルをはかり、死亡リスクにどれだけ影響するかを調べた研究は少ない。
発表された研究は、ハーバード大学公衆衛生大学院(HSPH)とワシントン大学が共同で行ったものだ。「高齢者を対象に血中のオメガ3系脂肪酸レベルと死亡率との関係について調べたはじめての研究です」と、HSPHのダーリューシュ モザフィリアン氏は述べている。
研究チームは、65歳以上の健康な高齢者約2,700人を対象に、16年間にわたり追跡調査を行った。研究開始時と期間中に、定期的に採血や身体検査、診察、さらに健康状態や既往歴、生活習慣についての質問を行った。
循環器や生活習慣、食事などの因子を調整し、オメガ3系脂肪酸と各疾病による死亡率について分析したところ、血中DHAが高いと冠動脈疾患による死亡リスクが40%低く、中でも不整脈によるものは45%も低くなっていることがわかった。
その他、DPAは脳卒中による死亡リスクを、EPAは非致死性の心臓発作リスクを下げることが確かめられた。さらに、これらのオメガ3系脂肪酸レベルの高い人は、あらゆる原因による死亡率が27%低下し、平均で2.2年長生きすることが示された。
「魚をよく食べて、オメガ3系脂肪酸を高めることが、心臓血管を健康にし、高齢者にとっては長生きにつながることが確かめられました」と、モザフィリアン氏は話す。
食事によるオメガ3系脂肪酸の摂取量と血中レベルとの関係をみると、1日あたりの摂取量が400mgを超えると、血中レベルが上昇し、それ以上の摂取量の人になるとゆるやかに上昇していくという傾向がみられた。魚を週に2回以上食べると、この量をほぼ満たすことができるという。
オメガ3系脂肪酸は、マグロ、サバ、イワシ、サンマ、ブリなどの脂肪の多い魚に含まれる。これらの魚を、食事1回あたり140〜170g食べることを、研究者は勧めている。
Higher blood omega-3s associated with lower risk of premature death among older adults(ハーバード大学公衆衛生大学院 2013年4月16日)
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[ Terahata ]