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2014年06月16日

SGLT2阻害薬の副作用を公表 低血糖に注意 糖尿病学会委員会

 日本糖尿病学会「SGLT2阻害薬の適正使用に関する委員会」は、SGLT2阻害薬が発売されてから約1ヵ月が経過し、副作用が報告されたのを受け、SGLT2阻害薬の適正使用を呼びかけるRecommendationを公表した。

 報告されたSGLT2阻害薬の副作用は、予想されていた尿路・性器感染症に加え、重症低血糖、ケトアシドーシス、脳梗塞、全身性皮疹などがある。このうち低血糖は24例が報告され、うち4例は重症低血糖だった。

 同委員会は、「この中には、現時点では必ずしも因果関係が明らかでないものも含まれているが、多くが当初より懸念された副作用である」として、「今の時点でこれらの副作用情報を広く共有することにより、今後、副作用のさらなる拡大を未然に防止することが必要」としている。

Recommendation
1. SU 薬等インスリン分泌促進薬やインスリンと併用する場合には、低血糖に十分留意して、それらの用量を減じる(方法については下記参照)。患者にも低血糖に関する教育を十分行うこと。
2. 高齢者への投与は、慎重に適応を考えたうえで開始する。発売から3ヶ月間に65歳以上の患者に投与する場合には、全例登録すること。
3. 脱水防止について患者への説明も含めて十分に対策を講じること。利尿薬との併用は推奨されない。
4. 発熱・下痢・嘔吐などがあるときないしは食思不振で食事が十分摂れないような場合(シックデイ)には休薬する。
5. 本剤投与後、皮疹・紅斑などが認められた場合には速やかに投与を中止し、副作用報告を行うこと。
6. 尿路感染・性器感染については、適宜問診・検査を行って、発見に努めること。問診では質問紙の活用も推奨される。
7. 原則として、本剤は他に2剤程度までの併用が当面推奨される。

 SGLT2阻害薬の添付文書には、他の血糖降下薬(特に、SU薬、速効型インスリン分泌促進剤、インスリン製剤)を投与中の患者へのSGLT2阻害薬の追加は低血糖を起こすおそれがあると記されている。

 報告された低血糖は、多数の血糖降下薬を使用している患者にさらに追加されている場合が多く、併用薬はSU薬、インスリンに加えて、他の作用機序の薬剤も含まれている。

 Recommendationでは、「これらの製剤とSGLT2阻害薬を併用する場合には、低血糖のリスクを軽減するため、あらかじめSU薬、速効型インスリン分泌促進剤またはインスリン製剤の減量を検討することが必要である。特に、SU薬にSGLT2阻害薬を併用する場合には、DPP-4阻害薬の場合に準じて、以下の通りSU薬の減量を検討することが必要である」としている。

・グリメピリド2mg/日を超えて使用している患者は2mg/日以下に減じる
・グリベンクラミド1.25mg/日を超えて使用している患者は1.25mg/日以下に減じる
・グリクラジド40mg/日を超えて使用している患者は40mg/日以下に減じる

 さらに脳梗塞が3例報告された。2例は重篤で、年齢は50〜80歳代であることが明らかになった。SGLT2阻害薬の添付文書には、「体液量減少を起こしやすい患者(高齢者や利尿剤併用患者等)においては、脱水や糖尿病性ケトアシドーシス、高浸透圧高血糖症候群、脳梗塞を含む血栓・塞栓症等の発現に注意すること」と記されている。

 同委員会は「高齢者や利尿剤併用患者等の体液量減少を起こしやすい患者に対するSGLT2阻害薬投与は、十分な理由がある場合のみとし、特に投与の初期には体液量減少に対する十分な観察と適切な水分補給を必ず行い、投与中はその注意を継続する」と強調している。

 また、脱水がビグアナイド薬による乳酸アシドーシスの重大な危険因子であることから、ビグアナイド薬使用患者にSGLT2阻害薬を併用する場合には、脱水と乳酸アシドーシスに対する十分な注意が必要がとしている。

一般社団法人日本糖尿病学会
公益社団法人日本糖尿病協会

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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