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2.発表者インタビュー
尿糖測定に関する研究
 2010年、岡山市で開催された第53回日本糖尿病学会年次学術集会で、尿糖測定値とHbA1cの相関についての発表が行われました。ここでは、その抄録から、概要をご紹介いたします。

糖尿病患者の在宅尿糖自己測定(SMUG)における
尿糖値とHbA1cの関係  
目 的
 近年、糖尿病合併症の予防に食前のみならず食後血糖管理の重要性が指摘されており、糖尿病患者の自己管理がますます重要とされている。

 患者にとって、通院時のHbA1cの結果は非常に気になるものであり、日常的にHbA1cの予測ができれば自己管理に対するモチベーションを高めることができる。自己管理法として簡易血糖測定器による血糖自己測定が広く普及しており、現在の血糖値を知るには良い方法である。しかし、血糖値は瞬間的な値であるため食後の急峻な高血糖の把握などは困難である。また、時に痛みを伴い、侵襲性や感染の恐れがあるため、継続が困難な場合も少なくないうえ、数回の血糖測定ではHbA1cの推定は容易ではない。

一方、尿糖測定は無痛・無侵襲で排尿から排尿までの高血糖を確認でき、自己管理ツールとしての継続に抵抗が少ない。しかし、尿糖には個人差があり、発汗や飲水などの影響により正確ではないとの指摘がある。今回、日常の尿糖値と通院時のHbA1cの相関を求め、日常における在宅尿糖自己測定(SMUG)の糖尿病コントロールにおける有用性を検討した。

方 法
 対象は当院に通院中の2型糖尿病患者10名(男性6名、女性4名、年齢63.4±10.7歳、HbA1c8.5±0.9%)。日常生活において携帯型デジタル尿糖計(タニタ社製)による尿糖自己測定(SMUG)を実施し、ノートに記録した(平均5.6±2.3回/日)。患者の食前食後の尿糖値から、尿糖月平均値(HbA1c測定日から遡って28日間(1ヶ月)の尿糖平均値)を算出し、HbA1cとの相関を求めた。

結 果
 尿糖月平均値とHbA1cの相関は、r=0.91と良好であった。また、男女を比較すると、男性r=0.91、女性r=0.61と男性でより良好な相関を得た。男女により尿糖排泄閾値が異なり、同じHbA1cでは女性と比し男性で尿糖値や尿糖月平均地値は高い値を示した。尿糖月平均値が500mg/dLのときHbA1cは男性で7.9%、女性で7.6%と推定された。

尿糖月平均値(食後)とHbA1cの相関(食後のみ) >>クリックして拡大

結 論
 尿糖測定は穿刺などの負担なく簡便に実施可能である。今回の研究により、日常の尿糖月平均値からHbA1cが推定されることが示唆された。患者にとって、通院時のHbA1cの結果は非常に気になるものであり、日常的にHbA1cの予測ができれば意欲的な自己管理に取り組むきっかけや通院を継続する励みになるものと期待できる。尿糖月平均値とHbA1cが相関することにより、在宅尿糖自己測定(SMUG)は、日常の自己管理に対するモチベーションを高め、糖尿病コントロール改善に有用であることが示唆された。

安部 純 1)、 小野沢しのぶ 1)、 清水美津夫 1)、 根岸充子 1)、 阪本要一 2)
山口いずみ 2)、 宮下真理子 3)、 池田義雄 3)

1)医療法人社団清水内科、 2)東京慈恵会医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科、
3)タニタ体重科学研究所

2011年07月 

CONTENTS


※2012年4月からヘモグロビンA1c(HbA1c)は以前の「JDS値」に0.4を足した「NGSP値」で表わされるようになりました。過去のコンテンツの一部にはこの変更に未対応の部分があります。

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