投稿者 | 石塚 威さん |
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主治医 | 佐々木 いづみ 先生 秋田赤十字病院内科 |
2010年5月 更新
プロフィール
年 齢 | 63歳 |
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性 別 | 男性 |
病 態 | 劇症1型糖尿病 |
糖尿病歴 | 3年 |
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ポンプ療法歴 | 2年 |
平成18年3月に定年退職し、好きな農業を規模拡大して本格的に始め、収穫も終わった11月。風邪を引いたような症状となり、熱もないので市販薬を飲んだが良くならない。そのうち口が渇くので水分をとったが、すぐ嘔吐する。体もふらふらになったので近くの開業医を受診しました。2日も食事をとっていなかったので点滴をして薬をもらって帰宅したけれど、嘔吐は止まりませんでした。とうとう、意識もうろうとなり、秋田赤十字病院の救急外来を受診したところ、血糖値が900mg/dLあり、劇症1型糖尿病で、膵臓もほとんど機能していないと言われました。それ以来、注射によるインスリン投与が
農業は力仕事が多いため、低血糖になります。インスリンを少なくすると高血糖になり、多くすると低血糖になるので、コントロールがうまくいかず、常に甘い物をとりながら仕事をしていました。農業は無理ではないかと言われ、悩んでいたところ、膵島移植の話があり、秋田大学附属病院を紹介していただきました。お話を聞いたところ、移植するためには、過去5年間のデータがないとできないので(当時、私は糖尿病歴1年目)、5年後にもう一度考えましょうとのことでした。
しかし、秋田赤十字病院から、病院としても初めての試みだが、仕事の量によってインスリンをコントロールできるインスリンポンプを使ってみないかとの提案がありました。
早速、インスリンポンプに切り替えてみると、とても手軽で、食事前の注射は肌を出すことなくボタン操作で済み、特に外食の場合、その場でボタン操作していると周りには携帯電話を使用しているみたいだと言われます。
また、農作業のなかで、力仕事になる時間帯だけ基礎インスリンを少なくすることもできるので、低血糖が解消され、今はポンプのお陰で普通の人と変わりなく農業に励んでおります。旅行に行く時などは、不測の事態に備え、インスリンペンを持参しております。
主治医より
佐々木 いづみ 先生 秋田赤十字病院内科
当院では、現在約10人程度の患者様がCSIIを行っており、その症例は年々増加しております。これも、当院第1例である石塚さんが、CSIIに対して当初不安を持ちながらも、ポンプの使い方などを積極的に勉強し、治療に前向きに取り組んだ結果、CSIIに対して好意的な意見を持って頂けたからと思っております。CSIIは残念ながらまだ世間的には認知度が低い治療法ですから、石塚さんに自らのCSII体験を他の患者様に直接会ってお話頂き、導入への不安を軽減して頂いたこともあります。
いつも外来で、「もう少しで田植えなんですよ」「今は朝4時に起きて農作業やってますよ」などと笑顔でお話して下さる石塚さんが、これからも元気に大好きな農作業が続けられるますように、より良い管理を目指して、一緒に治療を行っていきたいと思っております。