投稿者 | A. Y. さん |
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主治医 | 清水 一紀 先生 愛媛県立中央病院糖尿病内科/現・県立今治病院内科 |
2010年06月 更新
プロフィール
年 齢 | 52歳 |
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性 別 | 男性 |
病 態 | 1型糖尿病 |
糖尿病歴 | 20年 |
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ポンプ療法歴 | 17年 |
私は現在52歳、32歳で1型糖尿病を発病し、ポンプを使い始めたのは35歳の時からです。発病当初はインスリンの種類も少なく、また混注の2回打ちだったため、どうしても職場で低血糖になる時間帯がありました。しかし、まだ自己血糖測定器も普及していない時代でしたので、インスリン量の決め方や低血糖の予防にも苦慮しており、宿泊を要する出張などは、低血糖が怖くてとても行けない状態でした。自分の生き方や仕事についての自信を失ってしまったのも、
そんな時、糖尿病関係の本でインスリンポンプを見つけ、現状の打開策はこれしかないと思うようになりました。しかし、実物は見るすべもなく、インターネットも普及していなかった当時、実際に使っている人の話も聞ける訳でもありません。いろいろな不安のあるなか、当時の主治医に相談すると、「じゃあ、使ってみますか。(インスリンポンプ導入のため)いつ入院する?」と、いとも簡単に言われてしまい、慌てたのを覚えています。
その後すぐに入院、混注の2回打ちからインスリンポンプに変更することで、低血糖になる決まった時間帯の発生も基本的になくなり、やがて血糖測定も自分で簡単にできる環境になってきたため、遠方への出張なども心配なく行けるようになりました。私にとって、インスリンポンプに変更したことは、1型糖尿病を発病したときに失ってしまった自信を取り戻すきっかけになったように思います。
また、私たち1型糖尿病患者は、インスリンの使用により普通に生きるための「努力」が必要です。その「努力」の度合いを少しでも楽になるよう助けてくれるのが、現在のインスリンポンプではないかと思っています。
主治医より
清水 一紀 先生 愛媛県立中央病院糖尿病内科/現・県立今治病院内科
AYさんは大変几帳面な方で、自前の記録フォームを作って血糖値、ベーサルインスリン量、ボーラスインスリン量、毎日の出来事などを表にして、診察時に見せてくれます。低血糖や高血糖の原因は自分できちんと分析されるので、私は教えられることが多々あります。また、時々理由がわからないことなどを一緒に考えたりしているうちに、脂肪織炎の存在や針の深さによる吸収の違いなど新たな発見をしたのも、AYさんの体験の適切な分析があったからです。また、AYさんは、自らのインスリンポンプの体験をいやな顔をせずお話してくれるため、インスリンポンプの導入を検討している他の患者さんに大変役立っています。このような患者さんがいることは私にとって宝物です。