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第1回「CSII療法のあり方を考える」

聖マリアンナ医科大学 代謝内分泌内科 教授 田中 逸 先生

6. CSIIのこれから

ポンプを使う目的は何か

Q. 今日のテーマは、「私が考えるCSIIのこれから」ということですが、ここまでの話で様々な問題点があがりました
Dr.田中:

患者さんにとっても、医師・医療スタッフにとっても、CSIIのとらえ方は様々です。多くのメリットがありますが、コスト面も含めて様々なデメリットもあります。それらも踏まえた上で、私自身はCSIIの意義を「内科治療の中で最も良好な血糖コントロールを得ることが出来る治療法」ととらえています。しかし最良の治療法だからといって、全ての方でうまくいくとは限りません。実際に使い始めてみないと分からないことも多くあります。自分に合わなければ、うまくいかなければ、無理をして継続する必要はありません。MDIの方が合っていると思えば、いつでも戻ればよいと思います。

糖尿病治療の本当の目的と向き合おう

Q. ポンプ使用の目的として、未来の健康維持のためというのは新鮮で目からうろこでした。近い目的でのQOLとか低血糖を回避するということに行きがちだったので、長い目でみることの重要性に気付かされました。数十年後の血糖コントロールまで考えて導入を検討することがポイントであると
Dr.田中:

糖尿病は巨大な疾患群であると私は思います。糖尿病の合併症は三大合併症と動脈硬化症に加えて、悪性腫瘍やアルツハイマー病、歯周病、皮膚疾患、壊疽や重症感染症、病的骨折など様々あります。これらの疾患の真ん中に糖尿病があります。従って、糖尿病は非常に巨大な疾患群であると考えるべきです。この巨大な疾患群を形成しないようにするには、長期にわたる良好な血糖コントロールの維持が必須です。現時点で合併症がないからといって、10年20年後にも合併症が起こっていないという保証はどこにもありません。従って、ずっと先を見据えて、現在やれるべき最良のことを行うことが大切だと思っています。

田中 逸 先生プロフィール

田中 逸(たなか やすし)。医学博士

略 歴

昭和61年 滋賀医科大学卒業、同大学第3内科入局
平成 4年  医学博士
平成 6年  東京都済生会中央病院 内科
平成 7年  順天堂大学 内科学・代謝内分泌学講座 助手
平成 8年  同大学講師
平成14年 同大学助教授
平成19年 聖マリアンナ医科大学 代謝・内分泌内科 教授
平成26年 同大学病院 副院長

役 職

日本糖尿病学会 学術評議員、監事
日本内分泌学会 学術評議員
NPO法人川崎糖尿病スクエア理事長

資 格

日本糖尿病学会専門医、研修指導医
日本内分泌学会専門医、研修指導医


2015年08月 公開

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