インスリンポンプSAP・CGM情報ファイル

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第1回「CSII療法のあり方を考える」

聖マリアンナ医科大学 代謝内分泌内科 教授 田中 逸 先生

5. 普及体制を整えるには

ポンプ療法はどこで受けられるのか

Q. 現状でわかる数字をまとめてみたのですが、全国でポンプ導入施設が約700、そのうちコンスタントに導入・指導しているのが200施設くらいあるそうです。また、糖尿病内科を標榜する医療機関3,500(病院と診療所を足したもの)に当てはめると5軒に1軒くらい。とくにコンスタントに使っているところは18軒に1軒程度ということになります
Dr.田中:

全ての糖尿病専門医がポンプの導入可能というわけではありません。さらにポンプ導入に際しては、CSIIを熟知した看護師や栄養士、心理的なサポートができるスタッフが必要です。ポンプ、食事、運動は三位一体ですから、体調の変化や食事・運動の条件などに応じてポンプをどう調整したらよいかを日頃からアドバイスしておく必要があります。

Q. しっかりとした受け入れ体制が必要なんですね
Dr.田中:

そうですね。ですので、CSIIは限られた専門的な施設で導入すればよいかと思っています。そうすることで患者さんも集まりやすくなり、スタッフの修練、患者さん同士の情報交換にもプラスです。そのような施設を受診すれば導入も教育もできるという体制が大切ではないでしょうか。

Q. 糖尿病専門医が体制づくりにもっと積極的に関わるべきなのでは?
Dr.田中:

前述のように、実際は医師だけの力でできるものではありません。理想を言えば、ポンプの導入・管理体制が整ったセンターとなる拠点病院を各都道府県につくることでしょうか。がん拠点病院があるように、1型糖尿病の拠点病院的なもの、あるいは"CSII導入管理指定病院"のような名称が明示されていれば、一般内科医で1型糖尿病を最初に診た先生も患者さんを紹介しやすいし、専門的な治療を受けられるので患者さんも安心できると思います。

Q. 糖尿病学会のようなところで、糖尿病治療の拠点施設設置要望の声などはないんでしょうか
Dr.田中:

糖尿病学会のホームページには専門医のリストが掲載されており、ご参考にして頂いています。また、糖尿病内科や内分泌・代謝内科の診療部門を有している病院は全国に数多くあり、大半の施設で1型糖尿病の診療も行われています。しかし、そのような医療機関の全てがポンプ導入できるわけではありません。ですからポンプ導入の目的で紹介する場合にどこへ紹介すればよいか分からないといった声をしばしば耳にします。

取扱医療機関情報の公開

Q. 糖尿病ネットワークでも、ポンプの取扱医療機関リストを公開しています
Dr.田中:
インスリンポンプ取り扱い医療機関リスト

そうですね。これも大いにご参考にして頂けるリストだと思います。外科領域では年間の手術件数とその成績が問われますから、施設ごとの数字が公開されています。糖尿病の領域でも、各施設の年間CSII導入件数や患者数などが示せる仕組みがあるとよいですね。


2015年08月 公開

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