インスリンポンプSAP・CGM情報ファイル

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第1回「CSII療法のあり方を考える」

聖マリアンナ医科大学 代謝内分泌内科 教授 田中 逸 先生

4. ポンプ選ぶ理由とは

潜在ユーザーについて

Q. 現在、日本のポンプ療法患者は約5,000名位だそうです。ですが、潜在ユーザーは数万人から30万人という数字もあるそうです
Dr.田中:

潜在的なユーザーは1万例を超えると思います。しかし主治医の先生から専門施設でのポンプ療法を勧められるとか、患者さんご自身が自ら専門施設を受診されるとか、何かのきっかけがないとなかなか導入には至りません。

導入したい理由はたくさんある

Q. 糖尿病ネットワークで、CSII体験談募集をしているなか、ポンプ導入のきっかけとして10数個の項目があがっています。患者さんからみた導入理由はたくさんあるようですね
インスリンポンプ療法 体験談

導入を希望される患者さんには様々なきっかけや理由があります。どうしても赤ちゃんを授かりたいとか、スポーツをもっと楽しみたい、海外旅行をしたい、4回の頻回注射が煩わしい、などなどです。いずれもよく理解できる理由です。このような短期的なことや身の回りのことももちろん大切ですが、CSIIの真の目的は何十年にわたって良好な血糖コントロールを維持すること、体調やADLをよい状態で保ち、合併症を最大限に予防することにあります。

中長期的な理由を考えてみよう

Q. 短期的な目的と長期的な目的を加味しながら導入を検討する必要があるということですね
Dr.田中:

そうですね。とても良い治療法にもかかわらず、日本のポンプユーザーが米国に比してまだまだ少ないのは、CSIIの認知度が低いこと、導入できる施設が多くはないこと、MDIに比して医療費がさらに高額になること、ポンプのレンタルシステムを構築する必要があること、など様々な問題があるからだと思います。また導入しても良好な血糖コントロールが得られない場合もあります。とくに内因性インスリン分泌がほぼ完全に枯渇している方や強度の自律神経障害を合併する方ではポンプの調整に難渋します。ですので、ポンプ希望で外来受診された患者さんには、「絶対大丈夫。必ずうまくいきます!」などと安請け合いはしないようにしています。そういう意味でも、改めて小児1型糖尿病の患者さんには是非試して頂きたい治療法だと思います。


2015年08月 公開

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