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2017年フィリピンの糖尿病検査プログラム、糖尿病キャンプレポート(IFLレポート)

 オーストラリアで途上国の糖尿病患者さんを支援するインスリン・フォー・ライフ(IFL)では、毎年5月にフィリピン国内で行われる「糖尿病検査プログラム」や「サマーキャンプ」に参加し、現地の糖尿病患者さんへの支援活動を行っています。

 今年も2017年5月6日から14日にかけて、フィリピン各地で様々な催しが行われました。そのレポートがスタッフのニール・ドナラン氏より届きましたので、ご紹介します。

 国際糖尿病支援基金はこの活動に賛同し、インスリン・フォー・ライフ(IFL)を支援しています。








Insulin for Life(IFL)オーストラリア
Neil Donelan
ニール・ドナラン氏




2017年5月6日:ディポログ市での糖尿病検査プログラム

 フィリピン・ディポログ市内にあるコラソン・アキノ病院において、今年もセブ市の糖尿病患者支援団体「スィートアラート」(代表:アーミ・ガルシア 氏)主催の「糖尿病検査プログラム」が行われました。このイベントでは、ボランティアの糖尿病専門医やエデュケーターが検査を施し、糖尿病と診断された患者さんへは糖尿病療養に関する指導教育を行っています。

 今回は、青年期の若者と高齢者など175名の方が検査を受けました。この方々は糖尿病が疑われるものの正しい診断を受けていない状態でしたが、ボランティアスタッフのミリアン・デノポル医師夫妻が専門家の立場から、検査を受けた全員を糖尿病と診断しました。 その後で、患者さんたちにインスリンが支給され、糖尿病エデュケーターであるシェア・パニラガオさんが治療についてアドバイスをしました。この「血糖測定プログラム」は朝8時に始まり夕方4時に終了しました。

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 また、我々はダピタン・メディカルクリニックを訪問し、35名の糖尿病患者さんの検査や治療を行い、糖尿病に関するアドバイスをしました。 IFLは、インスリン、グルコメーターやテストチップを患者さんへ提供し、未使用のものは医療施設へ寄付しました。


2017年5月8日:バコロド市での糖尿病検査プログラム

 2日後、我々はバコロド市へ移動し、市内にある「バコロド・アドヴァンティスト・メディカルクリニック」を訪れました。この病院でも「糖尿病検査プログラム」を開催し、50名の糖尿病患者に無料で血糖測定をし、地元の医療従事者による糖尿病に関する療養指導も行われました。この地域ではインスリンが全く流通していない状況であったため、2017年3月より、IFLではバコロド市へインスリンを寄付しています。

 我々は、カトリックの尼僧が運営する子供のための収容施設を訪問し、大人と子供合計50名へ検査をしましたが、血糖値が高い人は誰もいませんでした。その後、他の孤児院を訪問し、29名の子供たちに石鹸、シャンプー、歯磨き粉、オムツ、その他消耗品を提供したところ、子供たちが歌でもてなしてくれました。

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2017年5月10日―12日:セブ市での糖尿病キャンプ

 今年のセブ市での糖尿病キャンプは、「クラウン・レガシー・スィーツ・マクタン」にて開催されました。主催者は、スィート・アラート、ヴィンセント・ソットー病院、ロシェ、アボット、イーライリリー、セブ市の保健部、IFLグローバルです。

 6才から24才までの15名の1型糖尿病患者がキャンプに参加し、ヴィンセント・ソットー病院のミリアン・デノポル医師を中心とした3名の医師を含め、糖尿病エデュケーター、看護師、栄養士、ボランティアといった医療スタッフ16名の他、ジェームズ・チン医師を始めとする多くのゲストスピーカーが参加し、患者さんや医療従事者を対象に講演会が行われました。

 このキャンプでは、セブ市やマニラ市から参加したボランティアの方々も多大な貢献をしてくださいました。
参加者のために、健康や栄養に重点を置き、子供たちは24時間いつでも血糖値を測定し、インスリン注射をし、医師や糖尿病エデュケーターによる「異なるタイプのインスリン使用」についてデモンストレーションも行われました。

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 我々は、「アレレ・オーストラリア」から寄付を受けた、HbA1cの測定器と70回分のテストキットを持ち込み、IFLスタッフで医療従事者であるレナ・ハンドリノスによって、全ての子供たちの検査が行われました。全体としてのHbA1cの平均値は10.3%と高値でした。他にIFLチームメンバーとして参加したのは、ケリー・グードレットさんとメドトロニック・オーストラリアのマリナ・スペンスさんで、彼らは図画工作に関わるグッズを子供たちに提供しました。

 台湾糖尿病エデュケーター協会から、クリスティン・スーさんとクアン・イー・リンさんが参加し、低血糖や合併症について、またストレスに対処する方法などを含めた糖尿病教育指導を行いました。
IFLでは、キャンプで必要な全てのインスリンと、その他の糖尿病治療に必要な物資の一部を寄付しました。


2017年5月13日:ドゥマグエテ市糖尿病検査デーと公開フォーラム
 ネグロス・オリエンタル病院が主催する、「ドゥマングエテ市検査デーと公開フォーラム」がセントポール大学にて開催されました。
クリスティンさん、クワン・イーさん、メリー・ハリスさん、レナさんと私は、準備のため5月12日に空路でドゥマグエテへ入りました。
約200名の糖尿病患者がプログラムに参加しました。プログラムは朝7時から夕方5時まで行われ、全参加者に無料で血糖測定を行いなした。このうち、糖尿病患者50名の血糖値が高かったため、レナさんがHbA1cの検査を行いました。
この日、ドゥマングエテ市の気温は非常に高温であったため、正確な数値結果が得られると推奨される温度「32度」に保つためにHbA1c測定器を氷で包装しました。

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 ドゥマグエテ副市長もこのプログラムに参加していました。
医師、栄養士たちが参加者に対し、患者さんに対して糖尿病に関して異なる視点で講演をしました。予定されていた講義が終わると、患者さんたちは医師たちと質疑応答の時間が設けられ、患者さんからの質問の中に、「それぞれ異なるインスリンが患者へ与える影響とインスリンを変更する危険について」というものがありました。IFLも糖尿病治療に必要な薬剤や機材の面で協力しました。


2017年5月14日: セブ市、ラプラプ市病院マクタン

 この日、我々はドゥマグエテからセブ市に戻りました。レナさん、クリスティンさん、クァンさんと私は、セブで最も貧しい病院である「ラプラプ市病院」を訪問しました。病院内には、血糖測定器もテストチップもインスリンもありませんでした。

 私はセブの糖尿病キャンプで出会った、糖尿病エデュケーターのメイエット・ナアノスさんとジュリー・メイ・バラゴットさんへ「病内にいる患者さんたちに検査をして欲しいか。」と尋ねたところ、「イエス」と答えました。

 我々は38名の赤ちゃん、子供、大人、またお見舞いに来ていた家族へ糖尿病検査の希望を募ったところ、全員が検査に同意する書類に署名しました。病気の夫を見舞いに来た43歳の女性を測定したところ、血糖値は25mmol(450mg/dl)を示したため、すぐに医師の処方により、我々が持って来ていたノボラピッドを注射しました。

 病院には糖尿病患者さんへの治療資材がないため、我々はインスリン、血糖測定器とテストチップをラプラプ病院へ寄付しました。

 不運なことに、我々が訪問した翌日、2名の患者さんが糖尿病からくる合併症のため他界してしまいました。この亡くなった患者さんは50代前半でした。
5月26日に67歳の女性が孫に連れられて同病院にやってきました。この女性が糖尿病エデュケーターに「目眩がする」と訴え、血液検査を受けたところ、血糖値が30.4mmol(550ml/dl)もありました。女性は救急救命室に運ばれ、我々が病院に寄付をしたノボラピッドが直ぐに注射されました。
我々が支援した物資により、多くの糖尿病患者さんの命が救われているのです。


スィートアラートの女性たちへの感謝

 私は、セブ市の経済的に恵まれない糖尿病患者の子供たちの幸せ、またケアのために多くの時間、お金、人生を捧げている4人のスィートアラートの女性たちジョセリンさん、アンさん、ヴェラさん、癌で数か月前に他界した方、そして18ヵ月前に心臓発作で他界されたチェリーさんに感謝を申し上げます。

まとめ

 フィリピンには1億人が住み、人口の20%にあたる2,000万人が糖尿病を患っています。それ以上に検査を受けたことのない人が沢山いると推定されています。フィリピンは、糖尿病危機に直面しているのです。

 我々は滞在中、500名に血糖測定を実施し、このうち70人名にはアレレ社の測定器でHbA1cを実施しました。完全な結果は近日中に得られることでしょう。
フィリピンでのIFLプログラムは毎年拡大しており、糖尿病に苦しむ人々への多くの助けが必要です。そのことは、大きな問題でありながらも、徐々に道は作られており、命が助かっているのです。

IFLの活動について、詳しくはウェブページでご確認ください。多くの途上国にて活動していることを紹介しています。
■Insulin for Life Groval(IFL)オーストラリア
http://www.insulinforlife.org/

謝辞

アーミ・ガルシアさん及びアーミさん率いるスィートアラートのボランティア・チームの皆さん 、ミリアン・デノポル医師、クラリタ・カディズ医師、シエラ・アラタンさん及びシエラさんのボランティア・チーム皆さんへ感謝いたします。

IFLオーストラリア&グローバルチームである、レナ・ハンドリノスさんとメリー・チャティ・ハリスさんには、ボランティアとして時間とエネルギーを注いでいただき、またフィリピンまでの旅費を自己負担していただきました。検査プログラムを開催した各地へ、支援物資を個人の荷物として運んでいただきました。

地元のボランティアの皆様、海外から参加していただいたボランティアの皆様にフィリピンや、そのほかの国々の糖尿病患者を支え、命を救うことに時間、お金、エネルギーを費やしていただいています。

メドトロニック・オーストラリアからケリー・グッドレットさんとマリナ・スペンスさんにご参加いただき、糖尿病教育の支援と子供たちのための楽しい活動を企画していただきました。

台湾糖尿病エデュケーター協会からクリスチン・スーさんとクアン・イーリンさんが参加して、セブのキャンプで検査と教育活動、ドゥマグエテとラプラプ市病院の検査プログラムを支援していただきました。

アレレ・オーストラリアには、HbA1c測定器とテストキットをご提供いただきました。
その他、日本の国際糖尿病支援基金を始めとする支援団体、または個人など貢献してくださっている方々に心より感謝申し上げます。

インスリン・フォー・ライフ・オーストラリア&グローバル
国際糖尿病連合インスリン特別対策委員会会員
ニール・ドナラン

【English】
Philippines Testing programs & Camp Report May 2017
http://www.dm-net.co.jp/idaf/ifl2017/english.pdf

●関連サイト
2016年フィリピンの糖尿病事情(IFLレポート)
インスリン・フォー・ライフ(IFL)(オーストラリア)
国際糖尿病支援基金

 国際糖尿病支援基金は、インスリン・フォー・ライフ(IFL)オーストラリアの活動を支援しています。

 IFLの活動にご賛同いただき、御参加いただける方は、下記口座(郵便局)までお振込み頂きますようお願い申し上げます。

 御協力頂きました方は、支援者としてこのホームページ上の「支援者名」のコーナーでお名前を発表させて頂きますが、本名での発表をご希望でない方は、振替用紙(郵便局)の通信欄にご希望のお名前をご記入ください。

振込口座(郵便局):
口座番号:00160−3−82542
加入者名:国際糖尿病支援基金口

2017年06月
国際糖尿病支援基金
  • これまでに寄せられた寄付金
    2,012万9,888円 
  • これまでに実行した支援金
    1,951万7,033円 

(2024年12月現在)

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