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2015年フィリピンの糖尿病事情について(2)(IFLレポート)


 オーストラリアで途上国の糖尿病患者さんを支援するインスリン・フォー・ライフ(IFL)のスタッフが、フィリピン各地の医療施設の訪問と、5月20日にセブ市で行われた糖尿病キャンプへ参加しました。

 国際糖尿病支援基金はこの活動に賛同し、インスリン・フォー・ライフ(IFL)を支援しています。



2015年フィリピン糖尿病レポート(2)





Insulin for Life(IFL)オーストラリア
Neil Donelan
ニール・ドナラン氏




「2015年フィリピンの糖尿病事情について(1)」については、こちらをご覧ください。


セブ市での糖尿病キャンプ

 マリアン・デノポル医師の主導の元、セブ・ビンセント・ソット・メモリアル・メディカルセンターの一環として、セブ地区サンシャイン・糖尿病キャンプが行われました。キャンプのスポンサーは、フィリピン保健局、アムリ・ガルシア代表が率いる団体「スィート・アラート」、及びスィートアラートの婦人部の協力を得る形で、IFLより糖尿病治療薬剤、機材類を提供しました。

 この糖尿病キャンプは、今年もセブ市より車で30分ほど行った北にある、ダナオ市にて5月20日から5月22日に開催されました。参加者の内訳は、6歳から26歳までの18名の糖尿病患者(子供や青年)、参加者の親やコーディネーターが10名、キャンプの進行役・医師・看護師・エデュケーターが20名、外国人6名のほか、デュマグエテ市からクラリタ医師とマ・シエラ・アラタン医師と共に5名の子供とその親たが参加しました。

 昨年のキャンプでは、参加者たちは大半の時間を室内での講義に費やし、レクレーションや友人たちと交流をする時間があまりありませんでした。IFLと担当者たちは、前回のキャンプに対する感想や提案をもとに、より多くのレクレーションを取り入れる方が、糖尿病に関する講義を聴くよりも日常生活で実際に役に立つのではないか。との意見が出されました。これらの提案を幹部会で検討し、改善がなされ、今年は野外での活動を増やしたことにより、参加者たちも楽しむことができました。



2015年フィリピン・セブ島の糖尿病キャンプ

 子供たちは、年齢ごとに4つのグループに分けられ「運営管理人」がそれぞれ各グループに割り当てられました。 運営管理人とは、医師・看護師・研修を受けたエデュケーター・医学生から成り、患者である子供たちと、その親たちに糖尿病治療について教えることが仕事です。

 キャンプ期間中、昼間の時間帯は2時間ごとに血糖検査が行われ、血糖が安定しない人については夜の時間帯に4時間ごとに血糖検査が実施されました。IFLは、キャンプで必要なグルコメーター・テストチップ・ランセット・ペン型注射器用針・注射器・保冷器・ブドウ糖タブレットを提供しており、時には、糖尿病キャンプ以外の支援要請にも応えています。



(左)IFLのスタッフ (右)患者さんへ血糖測定について教えています

 糖尿病の子供をもつ親たちも、子供たちが合併症を起こすことなく、糖尿病と共に健康に生きていくために、食事療法や栄養についての重要性、糖尿病に関する治療、予防、意識についての勉強会も行われました。
参加者はダンス、体操、水泳、Tシャツペインティング、散歩、お絵かき。といったことを楽しみました。年齢に応じたゲームをしながら、糖尿病について学んだことをテストしました。緊急事態に対して、患者本人や親がどう対処するべきかということも学びました。アユミさんは日本の民族衣装を着て、折り紙を教えていました。

 この糖尿病キャンプを支援したスポンサー企業から、参加した子供たちへ人形、お面、塗り絵、鉛筆セットの提供されました。塗り絵は、糖尿病をストーリー仕立てで説明してあり、子供たちが楽しみながら糖尿病を学べるようになっています。これらの教材は英語で書かれてあるため、子供たちにとっては英語の勉強にもなりました。
 他のスポンサー企業もこのキャンプに参加し、ゲームを通じてチーム作りを教えてもらいました。参加した人々の友情や社会的ネットワークは、良い人間関係を築いていくスキルとなることが分かります。年長の子供たちと交流を通じたことが無かったり、日本やオーストラリアから来た外国人とあまり縁のない年少の子供たちは、我々との友情、キャンプ期間に築いた信頼という絆を深めました。



 参加者の親たちの何人かは、ジュビーさん、アユミさん、チャティーさん、ジャッキーさんたちから、ネイルペインティング、お化粧、ヘアスタイリングの施術も受けました。彼女らは、普段の生活の中でこのような余裕は無いのです。

 「もし、自分の人生の中でひとつ変えることができるとしたら、どんな事を叶えたいか?」という質問に対し、各自が回答をするということをしました。
 中には涙を誘わずにいられないものもありましたが、年齢に関係なく、それぞれの回答を参加たちが感情的に反応したため、興味深い演習ともなりました



参加者はTシャツのペイントなどの他に、それぞれの夢や目標を書きました。

 デュマグエテ市から参加していた12歳の少年カービー君に、数名の参加者を前にして、「キャンプに着いた時、最初はどのように感じたか?」と尋ねました。彼は「とても緊張したし、怖かったよ。なぜって、誰も知っている人はいないし、友達もいなかったから。でも、キャンプに来てから、同じ歳でセブから参加しているミグスと友達になった。」と言いました。彼は、キャンプに参加する機会が与えられて喜んでいました。彼は、糖尿病に対する考え方も、彼自身に対しる考え方も変わったのです。

 参加者たちにとって、この糖尿病キャンプはとても重要なことなのです。子供たち自身に対する考え方や世界観が変わることで、後の人生を変えることもあるのです。

「フィリピン・ナース・エデュケーター協会」のレイデン・フロリドさんには謝意を表します。レイデンさんには、人員を集めて組織する天性の素晴らしい力があります。また人に希望を与え、楽しませ、人を愛する天賦の力も兼ね備えています。レイデンさんに神様のご加護がありますように!

 来年のキャンプは5月11日から13日に、同じ場所(ダナオ市エルサルバドル)で行われる予定です。


ディポログ市

 セブでのキャンプの後、次のデュマングエテのプログラムまで時間的に余裕があったことと、ジュビーさん、アユミさん、ジャッキーさんからの希望もあり、予定外の旅でしたが、ディポログ市へ行きました。この旅は、フェリーで夜通し10時間程かかります。この冒険的な旅が、意外にもより多くの命を救うことにつながることになったのです。我々は、5月23日の朝に到着しました。アーミ・ガルシアの運転手がアリアナホテルより港まで我々を迎えに来ました。

 午後1時に、スウィートアラート・セブの代表のアーミ・ガルシアさんが講義や検査プログラムを含めた集会を開き、約100名の人々が集まり、我々も参加しました。
94名が血糖値を測定した中で8歳の少年、ジョニー君が、判定不能となるほどの高値を示しました。参加していた医師の一人とジュビーさんが彼の母親に即座に治療が必要であることを説明しました。幸いにも、集会でインスリンが入手できたので、ジョニー君にインスリン注射が施されました。彼の母親にジョニー君を彼女の主治医のところへ連れて行き、きちんとした診断と教育がなされなければならないと助言しました。


「スイートアラート」の活動について、地元の新聞で紹介されました。

 また、48歳の男性エドガーさんも高値を示したため、インスリン注射が施されました。彼は右足に感染症があり、直ちに病院へ行くよう助言がなされました。
 州知事が閉会のスピーチをし、アーミさんとIFLがディポログ市に関心を寄せて来てくれたこと、そして糖尿病治療を必要とする人たちの命を救う手助けをしてくれたことに謝意を表すと同時に、来年、今回よりも濃密なプログラムと1日だけの糖尿病キャンプが開かれる際に再会できることを楽しみにしているとも述べました。
アーミ・ガルシアさんは、2016年にディポログでも糖尿病キャンプを開催すべきとの意見を強調し、IFLへ来年5月に再びプログラムを実施することを訴えてきました。


デュマグエテ市

 ディポログを後にして、我々はフェリーにてデュマグエテ市へ向かいました。4時間の船旅でした。5月24日、ネグロス・オリエンタル病院のクラリタ・カディズ医師に会いました。翌朝9時に同病院にて300名の患者さんが集まり、私を始め、ジュビーさん、チャティさんからのプレゼンテーションがあり、糖尿病教育及び糖尿病管理の重要性を話し、多くの患者さんたちから質問を受けました。我々は、IFLがどのように組織され、どのような形で地元のコミュニティを支援しているのか、そして、今現在、苦しんでいる患者さんの命をタイムリーに救いたいということを説明しました。
 カディズ医師は、患者さんの何人かがIDFのライフ・フォー・チャイルドプログラムに受け入れてもらえることを熱望しています。私は、昨年、カディズ医師にこのプログラムについて話しました。カディズ医師は、支援対象に該当すると思われる子供たち19名のプロフィールを私に渡しました。私はそのことを思い出し、直ぐに同プログラムを担当しているグラハム・オグレ医師に渡すつもりでいます。

 この会合の後、午後1時に、また別の会合がカディズ医師とナガール・ガルシアさん、ボイシー・リムさん、マニュエルさん、アーノルド・トレスさんが率いる高齢者のボランティア患者団体によって開催されました。彼らは、デュマグエテで恩恵を受けており、我々の支援プログラムに感謝していました。私は、IFLプログラムの原動力について、フィリピンにとどまらず、ほかの国々においてもこのようなプログラムが運営されていることと、法的なかかわりについて彼らに説明しました。これらのプログラムは、過去には十分理解を得られなかったケースについても説明をしました。

 私は、デュマグテで初となる小児糖尿病キャンプ実施の可能性について話題を変えました。彼らは、2016年5月の実施を目指し、IFLからの支援獲得について熱心に話を聞き、また協力を申し出ていることを確認しました。
来年2016年に向けて、キャンプの実施計画を確認しました。集まっていた人たちは、このプロジェクトとしてカ、ディズ医師を支援することに合意しました。2016年5月4日から6日にかけて、デュマテ市での糖尿病のキャンプの開催が計画されています。これらの資金の幾らかは、地元で寄付を集めることになります。キャンプの成功に向けて、外国からの資金援助も必要となるかも知れません。
私たちはキャンプに適した地を設定することを目標としました。カディズ医師とアシスタントであるシエラ・アラタンさんに、できるだけ早くキャンプの場所と予算を確保することが必須であると強調しました。75名の参加予定で糖尿病キャンプを実施予定です。


セブ市
 我々は5月28日にセブ市へ戻りました。ジュビーさんの実家を訪ね、彼女の家族はリゾート地のホテルを手配してくれ真ました。我々が2日間そこで過ごし、チャティーさんとジャッキーさんはマニラへ行きました。
5月30日、我々はセブ市の中央にあるセンタースイーツホテルへ行きました。
午後4時にジュビーさんのお母様の計らいで、1型糖尿病患者である同ホテルのオーナー、エヴァン・メンドーザ医師に会いました。メンドーザ医師は、多くの経済的に恵まれない糖尿病の患者さんを支援しており、患者さんたちをIFLのプログラムに取り込むことができる可能性について話し合いました。

 私は、セブ市で行われているプログラムは、すべてIFLの意図のもとではなく、マリアン・デノポル医師とビンセント・ソット・病院、そしてスウィート・アラートとのつながりで運営されている旨を説明しました。
メンドーザ医師はデノポル医師を知っているとのことで、メンドーザ医師の患者さんたちを、デノポル医師のプログラムに受け入れてもらえるか尋ねるように伝えました。また、来年セブ市で開かれる、糖尿病キャンプへボランティアとして参加できるかどうか、メンドーザ医師に尋ねたところ、仕事の都合がつけば参加するとのことでした。


今後のキャンプの予定

 IFLではフィリピンにおいて「ライフ・セイビング・プログラム」を開始し、成功を収めています。IFLでは、これらのプログラムを今後5年に渡って実施し糖尿病キャンプを促進していきたいと考えております。現在のところ、2016年以降、フィリピン国内で4つの糖尿病キャンプの開催を予定しています。

デュマグエテ市:5月4日・5日・6日
ディポログ市:5月7日(1日のみ)
ダヴァオ市:5月8日(1日のみ)
セブ市:5月11日・12日・13日

フィリピンでは、多くの途上国同様に糖尿病の血糖コントロールが行き届いておらず、毎日、多くの命が失われています。


謝辞(大きな感謝を寄せて)

・スィートアラート:アーミ・ガルシアさん、ボランティアの皆さん
マリアン・デノポル医師、クラリア・カディズ医師、シエラ・アラタンさん
・IFLチーム:ジュビーさん、アユミさん、チャティーさん、ジャッキーさん
  IFLチームの皆さんには、費用の大半を自己負担で参加していただき、フィリピンでの活動に貴重な時間を割いていただきました。また、フィリピン各地行われたプログラムに必要な22キロにもなる支援物資を各自の荷物に入れて運んでいただきました。
・ジェリー・ゴアさん(英国の1型糖尿病患者である登山家・冒険探検家)とチャールズ・トゥーミーさんからは、本キャンプのためのスポンサーを募っていただき、資金面で協力を頂くと同時に多くの命を救うことに貢献していただきました。
・IFLオーストラリア&グローバルにも、雑費や必要物資の搬送でお世話になりました。日本の国際糖尿病支援基金からは、今回もまた、フィリピンに留まらず、各国の糖尿病患者の命を救うために、資金面を始め、各所で時間的を割いていただきエネルギーを注いでいただきました。
・キャンプのために糖尿病学習機材をご提供いただいた製薬会社、医療機器メーカー各社にも感謝申し上げます。


【English】
Insulin for Life Philippines Report 2015/Neil Donelan
http://www.dm-net.co.jp/idaf/ifl2015/english2.pdf


●関連サイト
2015年フィリピンの糖尿病事情(IFLレポート)(1)
2014年フィリピンの糖尿病キャンプ報告
インスリン・フォー・ライフ(IFL)(オーストラリア)
国際糖尿病支援基金

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2015年08月
国際糖尿病支援基金
  • これまでに寄せられた寄付金
    1,515万7,580円 
  • これまでに実行した支援金
    1,484万475円 

(2019年07月現在)

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