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40年間歩き続け、糖尿病と闘う男(フィリピンの糖尿病患者さん)

 途上国の糖尿病患者さんを支援するオーストラリアのインスリン・フォー・ライフ(IFL)は、フィリピンの糖尿病患者さんへの支援活動を行っています。

 IFLの支援先である、フィリピンのNegros Island Diabetes Association(NIDA)より、現地の糖尿病患者さんのレポートが届きましたので、ご紹介します。

 国際糖尿病支援基金はこの活動に賛同し、インスリン・フォー・ライフ(IFL)を通じて、2018年よりNIDAを支援をしています。



 フィリピン共和国の東ネグロス州アユンゴンに住むパブリト・ゼルナ氏(73歳)は、長年2型糖尿病と闘う人物として知られています。彼は40年間、糖尿病と闘うため、毎日、朝と昼、1日8Kmのウォーキングを日課としており、その若々しい姿から、「永遠の少年」とも呼ばれています。

 この「永遠の少年」は、33歳の時に血糖値が360mg/dlとなり、糖尿病と診断されました。この時は入院をすること無く、薬物療法(経口薬)のみで治療をしていましたが、彼が40歳の時に低血糖で病院に担ぎ込まれ、危うく命を落としかけました。それ以来、薬に頼ることが怖くなってしまいました。

 薬による低血糖の恐怖から、医師と相談したところ、汗ばむ程度のウォーキングを続けることが「糖を燃焼さること!」と言われ、この医師の言葉が心に響き、現在も3か月に1度通院し、検査を受けています。
40年間、毎日8kmのウォーキングを続けた結果、現在の血糖値は平均110mg/dlで、彼は血糖値が正常となっただけでなく、視力も向上し、持病の喘息も消え去ってしまいました。

 「永遠の少年」の日課は、朝の起床後、コップ2杯の水を飲んだ後、直ぐに入浴をします。糖尿病患者は毎朝の入浴を欠かしてはいけない、絶対にしなければならないことだと、永遠の少年は言います。
朝6時半から7時の間に、お粥、ゆで卵、ブロンガンと呼ばれる現地の青バナナ一切れの朝食を摂ります。飲み物は、毎食後に水を飲むだけで、コーヒーや牛乳は決して口にしません。

 朝8時、自宅から、約2Km南にある市街地まで歩き始めます。非常にゆっくりとしたペースで始めますが、知らず知らずのうちに普通の速さで歩いています。通行人たちが彼に挨拶をしたり、逆に彼のウォーキングを快く思わない人たちからなじられたりして、歩みを止めることもあります。近所の人たちの中には、目的もなく歩き回るウォーキングなんて、暇を持て余した金持ちの道楽と捉えていることもあり、応援している人ばかりではないのです。

 「永遠の少年」は、そんな中傷や冷たい視線を気にすることなく、ゆっくりと我が道を進み、折り返し地点である市街地を目指します。
市街地に着くと売店で小休止を取り、再び、自宅に向けて歩きます。太陽が昇り、暑くなってくると、木陰沿いを歩いて、強い日差しから身を守ります。衣服は汗でびっしょりになり、朝10時頃に自宅に到着します。帰宅後、直ぐに、服を着替え、妻の昼食づくりを手伝います。

 昼食と夕食は、ご飯一膳、魚料理(イヌン・ウナンと呼ばれる塩・酢・ニンニクを使って調理。グルタミン酸は不使用)、少量の塩で味付てた茹で野菜、ブロンガンです。肉類は獣肉ではなく、モリンガ(ワサビノキ)と少量の塩で味付けした鶏肉を食べます。

 「永遠の少年」が他の糖尿病患者さんたちと異なるのは、糖尿病で苦しんでいる人のもとへ駆けつけて、いつでも一緒に糖尿病と戦いたいという思いがあることです。常に、患者さんたちのところへ足を運び、テレビの前で何もしないでいることは止めて、いつも身体を動かすように勧めます。
糖尿病のある人生をめいっぱい楽むよう、落ち込んでいる人を励まします。

 「永遠の少年」が長年糖尿病と闘っているというサクセスストーリーは、彼の住む小さな町では、皆が知っています。
糖尿病は、個々の努力と継続的な運動で克服出来得るものと証明しています。但し、糖尿病の型や種類によるため一概には言えませんが、「永遠の少年」の糖尿病との闘病経験は、食事と毎日欠かさないウォーキングによって、克服できることを証明しているのです。
「永遠の少年」が勧める、糖尿病患者の毎朝の入浴は、医学的な根拠はないかもしれませんが、彼が検査で良い結果を出しているため、試してみる価値はあるかもそれません。また、科学的な根拠はありませんが、フィリピンで現地の人が食べているブロンガンは、糖尿病患者の血糖値を下げる可能性があります。黄色いバナナは絶対に避けて、青い(緑)バナナを食べるよう勧めています。

 「永遠の少年」パブリト・ゼルナ氏の物語は、フィリピンの糖尿病患者のサクセスストーリーとして注目しています。糖尿病は、世界中で多くの人が患っており、死因の第6位です。悲しいことに、糖尿病を患っている人たちの多くが、自身の病気のことを分かっていないのです。

 彼のサクセスストーリーは、糖尿病患者が糖尿病を理解せずにいることを言い訳としてはいけない。ことを示しています。彼のサクセスストーリーによって、私たちは、自己管理・食事療法・運動療法が糖尿病との戦うために必要な大切な要素であることを皆と共有したいと思っています。

【English】BoyZerna
http://www.dm-net.co.jp/idaf/ifl2018/BoyZerna.pdf

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インスリン・フォー・ライフ(IFL)(オーストラリア)
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 御協力頂きました方は、支援者としてこのホームページ上の「支援者名」のコーナーでお名前を発表させて頂きますが、本名での発表をご希望でない方は、振替用紙(郵便局)の通信欄にご希望のお名前をご記入ください。

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2018年07月
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  • これまでに寄せられた寄付金
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