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2017年エクアドルの糖尿病サマーキャンプ報告



 南米エクアドルで小児糖尿病患者さんを支援するFundacion Vivir con Diabetes(FUVIDA)(エクアドル)では、今年も7月27日から30日にかけて糖尿病サマーキャンプを開催しました。

 国際糖尿病支援基金は、この活動の趣旨に賛同し、インスリン・フォー・ライフ(IFL)を通じてFUVIDAを支援しています。



2017年FUVIDA糖尿病サマーキャンプの報告





Fundacion Vivir Con Diabetes代表
president.Aracely Basurto Calderon
アラセリー バスルト カルデロン


 FUVIDAが主催している糖尿病サマーキャンプ「Dulces Amigos(ドゥルセス アミーゴス)」は、小児1型糖尿病患者とその家族を対象に、糖尿病教育を行うことを目的として毎年行われています。

 サマーキャンプ期間中は、糖尿病専門の医療従事者が24時間体制で付き、身体を動かすアクティビティやイベント、糖尿病に適した食物療法などの糖尿病教育が実施されます。参加者の疑問や不安などには医療従事者が直ちに応えてくれます。


サマーキャンプの事前準備
 サマーキャンプの準備は数ヶ月かけて行われます。
FUVIDAのチームが、キャンプを開催する場所や活動内容の特定、エクアドル国内外の糖尿病医療従事者の招致、また、ボランティアの参加者などを募集します。このボランティアは、過去にこの糖尿病サマーキャンプに参加した1型糖尿病の青年達が多く、彼らがキャンプに参加する子供達を指導します。

FUVIDAスタッフによる勉強会の様子

 次に参加する子供達のカルテの作成、ならびに写真や映像をソーシャルメディアへ使用してよいかなどの確認を行います。 続いて、キャンプの資金調達、関係者へインスリンの使用等の講習会を行います。 このような準備を我々のチームが担当するのです。

 2017年FUVIDAのサマーキャンプは、エクアドル共和国のサンタエレーナ県オロン市にある農場で開催しました。この場所は、エクアドル最大の港湾都市グアヤキル市から車で3時間のところにあり、海に隣接し、広大な自然を有しています。このような豊かな自然環境により、子供達やその家族は共同意識を持ち、伸び伸びと活動やアクティビティを行うことができました。

 参加者は、糖尿病の子供達やその両親、医療従事者やボランティアを含め73名でした。 関係者の中には、ISPAD(国際小児思春期糖尿病学会)のメンバーであり、サマーキャンプ中の医療責任者でもあるペリカンド医師や、必要不可欠なインスリン等の医療物資を提供してくださるインスリン・フォー・ライフ(IFL) オーストラリア支部のドネラン氏も参加してくださいました。 また、ボランティアとして、多くのエクアドル人医師達の協力を得ることができました。彼らは、参加した子供達に親切に対応してくれました。

 今年の糖尿病サマーキャンプのテーマは、「糖尿病の食物療法」でした。
この食事療法を行うにあたり、コスタリカで栄養士として、また自国で糖尿病キャンプを主催しているチンチージャさんや、エクアドルのサンチェスさんやクカロンさんといった栄養士の方々のご協力をいただきました。彼女達はキャンプ中の調理師への指導を始め、毎回の食事で、和やかな雰囲気とともに子供達への指導を行ってくれました。

 キャンプ中、子供達は年齢ごとのグループに分かれてアクティビティを行います。各グループのリーダーとして、ボランティアの青年達がいます。彼らも1型糖尿病であり、このキャンプの参加経験者として子供達を指導してくれます。
今回のサマーキャンプの各グループリーダーは次の通りです。
グループ1:ジャネスさん、グループ2:ポベダさん、グループ3:イスアティさん、グループ4:ロドリゲスさん、グループ5:アルバラドさん

各グループのリーダー達。彼らは1型糖尿病患者のボランティアスタッフです。

 さらに今回のサマーキャンプには、ボランティアスタッフのロクサーナさんの計らいで「La Legion 501 Ecuador」というエクアドルの演劇グループが参加してくれました。彼らはスターウォーズのコスプレで子供達と接し、和やかで楽しいひと時を与えてくれました。

糖尿病教育
 キャンプ中は、医療従事者やボランティアスタッフなどの関係者が決まった時間に子供達の血糖値を測り、カルテに記入していきます。カルテには各自に必要なインスリンの種類や量なども記載されています。
糖尿病患者にとって血糖値測定は非常に重要です。 血糖値測定は、集合場所からキャンプ地への移動の段階から行います。各自の血糖測定結果は、他の子供達やその両親、医療従事者や関係者で共有します。これによりキャンプでの共同意識が高まります。

 毎回の食事の時間も、貴重な糖尿病教育の機会です。各自が食事前に血糖値を測定し、それにより必要な炭水化物の摂取量をグループで話し合います。この時に参加者の疑問や質問は即座に医療従事者が対応します。そうすることで参加者の理解が深まります。

 また、糖尿病と生きていく上で運動の重要性を理解してもらうために、サマーキャンプでは身体を動かすアクティビティも積極的に取り入れています。
子供達はキャンプ中3時間毎に血糖値の測定をします。これにより各自が自身の血糖値の傾向を知ることができ、またその時々の血糖値によって、どのような対処が必要なのかを学ぶことができます。

 1型糖尿病は身体だけに影響がある病気ではなく、精神的にも大きな影響を及ぼすものです。従って、私たちは様々なイベントをサマーキャンプに取り入れています。
例えば、今年のイベントの中に「神々のゲーム」というものがありました。
このゲームでは、ボランティアスタッフが食べ物の神様やスポーツの神様など色々な神様を演じます。子供達は神々の場所を通過していきますが、神様ごとにいくつかの1型糖尿病に関するクイズが出されます。クイズに答えられないと、神様が用意した苦いジュースを飲まされたり、顔に落書きされたりといった罰ゲームがあります。
このような催しを通して、子供達は遊びながら、楽しみながら糖尿病を理解していきます。

 また「青い祭り」といったイベントも行いました。子供達とグループリーダーの中から優秀者が選ばれるのですが、今年は子供達からはムニョスさんとロサナさん、グループリーダーからは3歳から6歳のグループを担当したフェリックスさんと、14歳から18歳のグループを担当したチンチージャさんが選ばれました。

 今回のサマーキャンプでは、「スターウォーズ」が色々な場面で影響を与えていました。つまり、「Dulces Amigos」糖尿病サマーキャンプの世界には、アドベンチャーと学びが溢れていて、1型糖尿病に立ち向かうために子供達は、新しい「ジェダイ」として学び、成長していくということです。

このサマーキャンプで参加者が得られること

  • ・同じ病気を持つ人たちと過ごすことで、お互いを理解し合い、日々どのように1型糖尿病と向き合っていくかを学ぶ機会が得られる。
  • ・みんなが集まれば各自がもっと強くなれる。という考えのもと、共同意識が自然と芽生えてくる。
  • ・糖尿病専門の医療従事者に療養生活の疑問や状況を相談し、的確なアドバイスを得ることができる。
  • ・1型糖尿病により各自が抱え込んでいる不安や希望、経験などを共有する場を得ることができる。

サマーキャンプを通して参加者が得ること

  • ・サマーキャンプや関係者、仲間に対する愛情
  • ・自尊心と自立心の向上
  • ・1型糖尿病による困難な状況を解決する能力
  • ・適切なプログラムのもとであれば、糖尿病ではない子供達と同じように身体を動かし活動ができるという意識
  • ・運動による代謝コントロールの重要性と、不適切なプログラムによる運動がもたらす危険性の理解
  • ・実践を通したインスリン注射のテクニックの習得と、lインスリンを打つ場所の違いの重要性の理解
  • ・炭水化物量の計算方法や食品表示の読み取り方など、正しい栄養摂取に必要な方法の習得

謝辞
 サマーキャンプ「Dulces Amigos」は、私たちFUVIDAの活動に賛同する多くの個人の方々や団体のお陰で、行う事ができました。そして、エクアドルの1型糖尿病を持つ子供や若者と親たちに教育・学習・レクリエーション活動の機会を提供することへご理解いただいたことに感謝いたします。

今回のサマーキャンプ開催にあたり、多大なるご協力をいただいた方々に、この場を借りて感謝申し上げます。

・ジュリエ・ペリカンド医師: ISPAD(国際小児思春期糖尿病学会)のメンバーであり、豊富な知識と経験でキャンプでのイベントでご協力をいただきました。
・ニール・ドネラン氏:Insulin For Life オーストラリア支部のチーフスタッフ
過去10年にわたり、糖尿病療養に不可欠な医療物資を支援していただいています。
・日本の国際糖尿病支援基金会長の森田繰織氏、戸谷佳壽子氏
・グアヤキル市当局:チリとコスタリカからの専門医の交通費を支援していただきました。
・エクアドルの飲料会社Ajecuador、ならびにAgua Cielo:飲料水を始め、色々な支援をいただきました。
・ミスエクアドル協会
・様々な支援活動を通じてFUVIDAをサポートしてくださる方々
・Inalecsaを始め、Autolasa、Atun Real、Diakonia、Medtronic、Pepsi Cola、ogooliverRといった各企業にもご支援いただきました。
・日本の国土交通省にあたるLa Comisión de Transito del Ecuador:カルロス カバジョス少佐とハビエル イバラ少佐の派遣を始め、参加者の交通手段を提供していただきました。
・参加者に楽しいひと時を提供してくださった、エクアドルの演劇グループ「La Legion 501 Ecuador」の方々
・FUVIDAや関係者を信頼し、子供達を預けてくださったご両親
・ロクサーナ・ビスカイノ氏とハビエル・ハラミジョ氏:カメラマンとして写真や映像の撮影をしていただきました。
・ヒメナ・バカ氏にはキャンプの企画構成のご協力をいただき、マテオ レジェス氏には写真と映像のご協力をいただきました。
・サブリナ・バジャダレス氏、マリア・デル・カルメン氏、アンドレア・カブレラ氏にもご支援いただきました。
・バイロン・ チャシ氏、カチャ・オリバレス氏、ソフィア・メディナ氏、ピラル・デュエナス氏にもご支援いただきました。

翻訳協力:鈴木有様

【Spanish】
Campamento Dulces Amigos 2017
http://www.fuvida.org.ec/2017/08/07/campamento-dulces-amigos-2017/


●関連サイト
国際糖尿病支援基金
インスリン・フォー・ライフ(IFL)(オーストラリア)
Fundacion Vivir con Diabetes(FUVIDA)(エクアドル)

 国際糖尿病支援基金は、インスリン・フォー・ライフ(IFL)オーストラリアを通じて、2008年よりFUVIDAの活動を支援しています。

 FUVIDAの糖尿病サマーキャンプ活動にご賛同いただき、御参加いただける方は、下記口座(郵便局)までお振込み頂きますようお願い申し上げます。

 御協力頂きました方は、支援者としてこのホームページ上の「支援者名」のコーナーでお名前を発表させて頂きますが、本名での発表をご希望でない方は、振替用紙(郵便局)の通信欄にご希望のお名前をご記入ください。

振込口座(郵便局):
口座番号:00160−3−82542
加入者名:国際糖尿病支援基金口
※通信欄へ「FUVIDAサマーキャンプ支援」とお書き頂きますようお願い致します。

2017年09月
国際糖尿病支援基金
  • これまでに寄せられた寄付金
    2,012万9,888円 
  • これまでに実行した支援金
    1,951万7,033円 

(2024年12月現在)

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