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エクアドルのガラパゴス諸島・サンクリストバル島で唯一の1型糖尿病の少女を支援して(FUVIDAレポート)

 南米エクアドルで糖尿病患者さんを支援する Fundacion aprendido Vivir con Diabetes(FUVIDA)より、ガラパゴス諸島・サンクリストバル島に住む1型糖尿病患者さんのレポートが届きましたので、ご紹介します。

 国際糖尿病支援基金はFUVIDAの活動に賛同し、インスリン・フォー・ライフ(IFL)を通じて支援しています。






FUVIDA(Fundacion aprendido Vivir con Diabetes)エクアドル
Aracely Basurto Calderon
アラセリー・バスルト・カルデロン氏




 ある日、FUVIDAのフェイスブックを通して、ダルレニスさんという名の少女が私たちに支援を求めるメッセージを送ってきました。ダルレニスさんはガラパゴス諸島のサンクリストバル島で、たった1人の1型糖尿病の患者さんです。

 ガラパゴス諸島は、東太平洋上の赤道下にあるエクアドル領の島々で、ユネスコ世界自然遺産にも登録されています。主には火山灰や礫に覆われており、草木もなく海鳥やヨウガントカゲのような小型生物しかいない島もあれば、ゾウガメ、イグアナ、アシカが沢山住んでいる島もあります。

殆どの島は独自の生態系を守るため人の出入りが厳しく管理されていますが、一部は人々が生活できる島もあります。

 私はメッセージを受け取ったあとすぐに、ダルレニスさんとその家族を訪問するための資金調達に努めました。

 ダルレニスさんの生活は、エクアドルの他の小児1型糖尿病の患者さんと変わりはありません。
 ダルレニスさんは、ガラパゴス諸島にあるサンクリストバル島に住んでいます。島内にある保健所で診療を受けていますが、そこには糖尿病の専門医がいないため、年に一度、専門医の診察を受けるために、エクアドルのグアヤキル市に行かなければなりません。しかし、ガラパゴス諸島からの旅費はダルレニスさん一家にとって大きな経済的負担です。

 ダルレニスさんは血糖測定器を持っていないため、毎日朝・昼・晩と家から4ブロック離れたところにある保健所に血糖値を測りに行く必要があります。島の保健所なので、いつでもスムーズに看護師の対応を受けることはできません。しかし、そこの看護師たちは皆親切に診療してくれるとダルレニスさんは言います。

 毎朝学校へ行く前に保健所で血糖値を測定した後に一度家に戻り、専門医に処方された速効型インスリン0.12ml/dlの注射を打った後に学校へ行きます。彼女の朝ご飯は、糖尿病と診断されてからの4年間、毎朝リンゴか洋梨です。何故なら、島には手頃な値段で売られている果物が限られているからです。
学校が終わるとすぐに保健所へ行き血糖値を測ります。その後にまた家に帰り、昼食の前に0.14ml/dlのインスリンを注射します。

 午後は友達と遊んだり、学校の宿題をして過ごします。そして、夕食の前にもう一度保健所へ行き、血糖測定と0.16ml/dlのインスリン注射をします。このように、毎日、家と保健所を3回往復し、インスリン注射を毎日続けています。

 サンクリストバル島には糖尿病の専門医がいないため、ダルレニスさんがインスリンの量を調整するようなことはとても危険な行為です。そのため、専門医に指導されたインスリンの量は必ず守る必要があるのです。

 ダルレニスさんは、こんな出来事も話してくれました。
ある日のことです。ダルレニスさんは身体の異常とともに目が覚めました。ダルレニスさんのお父さんはすぐに彼女を保健所に連れて行きましたが、そのとき保健所には血糖値を測る機器が無いと言われてしまったのです。
お父さんはどうすることもできず、ダルレニスさんを連れて家に帰りました。ジュースを飲ませ、ダルレニスさんの状態が落ち着くのを待ちましたが、血糖値を測れないという不安から、意を決して別の島まで行くことにしました。

 2時間船に揺られ、ようやくガラパゴス諸島のサンタクルス島に着くと、すぐにその島にある保健所に向かいました。しかし、ここでもまた予期せぬことが待っていました。 血糖測定には予約が必要で、予約がないと対応ができないと言われてしまったのです。ダルレニスさんのお父さんは、彼女がどのような状態で目が覚めたか、どんな思いで船に乗りサンタクルス島まで来たのか、すがるように訴え続けました。その結果、ようやく診察を受けることができたのです。

 この出来事は、ダルレニスさんにとって数多い辛い経験のほんの一つに過ぎません。私は今回、ダルレニスさんやその家族と共に時間を共有できたことは、とても貴重な経験となりました。

 私は、ダルレニスさんと一緒に島のスーパーマーケットへ行き、食品の炭水化物量や糖質量の表示の見方を教えました。それにより、ダルレニスさんはどの食品を消費すれば良いかがわかるのです。
正しい血糖値コントロールの方法を知れば、それまで禁止されていた食品ですら食べることができるようになるのです。
そして何よりも重要なことは、今回、ダルレニスさんに血糖測定器を与えることができたことです。これは全ての1型糖尿病の子供たちが持つべきものだからです。

 「Life for a Children」と「Insulin for Lifeオーストラリア」の支援団体が、ダルレニスさんへ糖尿病療養に必要な血糖測定器や薬剤等を支援してくれました。

「Life for a Children」と「Insulin for Lifeオーストラリア」からの支援物資

 糖尿病とともに生きるということは、専門的な知識や薬剤、血糖値を考えたバランスの良い食事が必要不可欠です。一つでも正しい知識を欠くことにより、本人や家族は問題を抱え、絶望に陥ってしまいます。

 ダルレニスさんのような経験をしている糖尿病の子供達は他にもたくさんいます。現在のエクアドルは十分な医療体制を持っておらず、糖尿病の子供達の命は儚く、生き長らえる可能性は少ない悲惨な状況が続いているのです。

翻訳協力者:鈴木有様

【Spanish】
FUVIDA en Galápagos, apoyando a la única joven con diabetes tipo1 de la Isla.
http://www.fuvida.org.ec/2017/02/14/998/
Aracely Basurt Calderon (FUVIDA)

●関連サイト
Fundacion Vivir con Diabetes(FUVIDA)(エクアドル)
インスリン・フォー・ライフ(IFL)(オーストラリア)
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2017年03月
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(2024年12月現在)

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