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2017年11月20日
スマホアプリを用いることで血糖コントロールが有意に改善
「スマートヘルス」は、日々の血糖や血圧、体重、食事の量・内容、運動量など記録し、その変化を追跡し管理できる糖尿病のアプリケーション。友人や医療スタッフなどをパートナーとして登録すると、それらの人が記録を観察して随時サポートのアドバイスを送信することも可能となる。
このスマートヘルスを用いた介入研究の結果が昨年、第11回IDF(国際糖尿病連合)西太平洋会議で報告された。
HbA1c6.5%以上の糖尿病患者218名(年齢51.3±13.0歳、BMI26.6±4.4、HbA1c8.8±1.6%)を2群に分け、その1群(99名。うち1型糖尿病10名・11.9%)にはスマートヘルスを使用、もう一方の群(119名。1型6名・5.9%)はそれまでと同じ治療を継続し、6カ月間追跡した。ベースライン(試験開始時点)でこの2群間に、年齢、性別、罹病期間、BMI、HbA1c、空腹時血糖、血清クレアチニン、1型/2型の割合など、主な患者背景の有意差はなかった。
スマートヘルスを用いる群では、最初の3カ月の間に25回以上のSMBG測定値がアプロードされていた。また血糖値が100mg/dL未満にならないように、積極的に薬剤が調整された。
6カ月後のHbA1cは、スマートヘルス使用群でHbA1cが平均8.9%から7.3%に低下した。一方、従来の治療を継続した群は8.8%から8.3%への変化にとどまり、両群間に有意な差(p<0.001)がみられた(図)。また、スマートヘルス使用群での介入前後でHbA1cは有意に改善(p<0.001)していた。
また、空腹時血糖はスマートヘルス使用群が185.7mg/dLから148mg/dLに、従来の治療を継続した群が177.2mg/dLから166mg/dLとなり、試験終了時点で有意な群間差がみられた(p<0.01)。
試験期間中に重度な低血糖は発生していなかった。
スマートヘルスは、医療関連デジタル情報の信頼性などを評価している米国の組織「Healthline」からその有用性が認められ、2017年に糖尿病のベストアプリとして、アジアで唯一選出された。
前述のIDFでの報告から、スマートヘルスの使用は重症低血糖を増やすことなく短期間の血糖コントロールを改善できることが示されており、一定のエビデンスがあると言える。今後、より長期間の血糖コントロール改善・維持への有効性が明らかになることを期待したい。
2016年、スマートヘルスは、日本の厚生労働省にあたる台湾の衛生福利部と協力し、全国的にオンライン糖尿病ケア計画を推進。医療機関に対し、ICT(情報通信技術)を利用して、糖尿病患者に対するケアの効率化するよう呼びかけた。スマートヘルスの人工知能(AI)による自動データ整理・分析を利用することによって、医療スタッフは限られた時間内で、より患者一人一人に寄り添った指導を行うことができるようになる。実際、前記の介入研究でもスマートヘルスを利用した大多数の患者で血糖値が改善し、医療関係者からは従来のやり方と比べ糖尿病ケアにかける時間が短縮されたとの声が寄せられた。
H2 Ltd.は、デジタル医療を通じて慢性疾患を管理・ケアするための新しいモデルを構築することを目指し、すでに日本、台湾、香港、シンガポールにおいて政府や保険会社と共同で取り組みを開始しており、今後グローバルな糖尿病問題の解決に乗り出すとしている。
(提供:H2 Ltd.)
- スマートヘルスについて
- The short-term glycemic effects of a smartphone-based communication application management〔Diabetes Res Clin Pract 120 (s-1):130,2016〕
- Health2Sync partners with Taiwan's MOHW to launch online diabetes care program
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