糖尿病といかに向き合い、上手に付き合っていくか、患者さんとその家族は、常に悩みながら考え続けています。中でも毎日の食事は生きていくために必要で、そして何よりの楽しみでもあるかと思います。そして、“おやつ”は心の栄養であり、人とのコミュニケーションのきっかけにもなるのではと考えます。

 糖尿病ネットワークでは、2012年7月に糖尿病とおやつにまつわるエッセイを募集いたしました。多数の応募の中から厳正なる選定により、最優秀賞・優秀賞・激励賞の6作品を選ばせていただきました。ご応募いただきましたエッセイの作者は皆、おやつの時間をとても大切にしており、そのための工夫や努力を“楽しみ”に変えている方も少なくはありませんでした。これらの作品から、「糖尿病とおやつの上手な付き合いかた」を考えるきっかけにしていただけたら幸いです。 この場を借りて、ご応募いただきました皆様に御礼申し上げます。

糖尿病ネットワーク編集部

【募集概要】
募集期間:平成24年7月1日〜7月31日(1カ月間)
募 集:糖尿病ネットワーク「間食指導の情報ファイル」
審 査:浜野久美子先生、江崎グリコご担当者、糖尿病ネットワーク編集部
表 彰:最優秀賞1名(3万円)、優秀賞3名(1万円)、
     激励賞2名(80kdal カロリーコントロールカレー詰め合わせ)
主 催:糖尿病ネットワーク
後 援:江崎グリコ株式会社

 子供も大人も、糖尿病患者さんもそうでない方も、お菓子(間食)のない生活は、さぞかし味気ないものだと思います。日々の食事療法をきちんと行うこと自体、糖尿病患者さんにとっては相当の負担のはず。それに加えて、お菓子の禁止が強いられたら・・・。

 以前ある企業の会長さんで、糖尿病をしっかり管理して、お元気に百歳を迎えられたかた(百寿者というそうです)の記事を読んではっとさせられました。「生まれ変わったら、大福100個食べたい・・・」。企業のトップとしてご活躍、自己管理も強靭な意思で貫かれたからこその百寿でしょうが、糖尿病患者さんとお菓子の関係について、深く考えさせられました。こんな思いを患者さんがもっているとしたら、たとえ血糖値はよくても本当によい治療とはいえないでしょう。お菓子とのつきあいを今一度考えて、本当に満足のできる、糖尿病治療のサポートを目指して始まったのが糖尿病ネットワークの間食指導の連載です。

 今回応募いただいた作品には、お菓子に対するみなさんの熱い思いが込められていました。お菓子に惹かれる理由のひとつに、その "甘さ" があると思いますが、中にはおやつを冬は納豆、夏は豆腐で貫かれるという、ややはたからみると涙ぐましい努力をされているかたもいらっしゃいました。努力の甲斐あって血糖コントロールは良好のようですが、" 甘いもの" に惹かれる(私を含めた)大勢のかたには、少し厳しい方法でしょうか。栄養士さん顔負けの知識とデータをもって、おやつに取り組んでいらっしゃるかた、家族との絆をお菓子を通して取り戻されたかた。共通項はみんなお菓子大好き、でした。応募されたかたは"お菓子を食べつつも"HBA1cがよい方が多いのも印象的でした。一生懸命考え工夫する姿勢がやはりよい結果を生むのですね。

 患者さんのためのおやつ情報ファイル(80kcal おやつ名人)などを参考にして、ぜひ "おやつ名人" になりたいものです。我々医療スタッフも、みなさまの声をくみとり、優秀な "おやつコーチ" になりたいと思います。

関東労災病院糖尿病内分泌内科部長
浜野久美子

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