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2013年05月14日
救急救命士の処置拡大へ 「血糖測定」と「ブドウ糖溶液の投与」を追加
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- 血糖自己測定(SMBG)
厚生労働省の検討会は、救急救命士の業務を拡大し、現在は救急救命士の処置範囲に含まれていない「血糖測定」や「ブドウ糖溶液の投与」を認めるべきだとする意見をまとめた。厚労省は救急救命士法の省令を改正し、業務に追加する方針だ。救急救命士が病院に搬送する前に施せる処置範囲を拡げて、救命率の向上を目指す。
糖尿病の治療では、血糖値を下げる、あるいは上がりにくくする治療が行ったために、血糖値が下がり過ぎてしまう「低血糖」の問題が起こることがある。もっとも多いのは、糖尿病治療薬によるもので、インスリンとインスリン分泌を促すSU薬によって引き起こされる低血糖が多い。また、高齢者では、体調不良などで食事を摂らなかった際に低血糖を起こすケースが多い。 こうした低血糖は早期に発見し診断し、ブドウ糖を投与すれば劇的に回復する。厳格な血糖コントロールを目指す強化療法を行っている患者が増えており、低血糖は医療機関や患者だけでなく、社会でも対処すべき問題と考えられるようになってきた。 厚生労働省が昨年7月から行った実証研究の解析結果は、厚生労働省の「救急救命士の業務のあり方等に関する検討会」(座長=島崎修次・日本救急医療財団理事長)の会合で、野口宏・藤田保健衛生大救命救急医学講座客員教授から報告された。 この実証研究は、各地のメディカルコントロール協議会(MC協議会)の協力を得て、救急救命士によるブドウ糖溶液などの薬剤の投与などの実施について分析・評価を行ったもの。救急救命士の現場処置によって、低血糖性意識障害の可能性がある患者の意識レベルの改善がはかられたことがあきらかになった。 報告では、実証研究の中で救急救命士が行った「血糖測定と低血糖発作症例へのブドウ糖溶液の投与」について、評価項目の効果や有害事象を提示した。実証研究は、全国39地域の129の消防本部が参加し、昨年10月から今年1月まで行われた。 このうち血糖測定で低血糖(血糖値50mg/dL未満)が判明したのは276例、うち静脈路を確保した上で50%ブドウ糖溶液を投与したのは127例だった。このうち121例(96%)で意識レベルが改善された。一方、救急救命士が現場で処置しなかった場合の改善率は16%にとどまった。 救急救命士の評価では「血糖測定が、脳梗塞などの他疾患との鑑別や搬送先の選定に役立った」との回答が97%で、「ブドウ糖溶液の投与は、有意に主要評価項目が良く、想定された以上の有害事象の発生もこれまで報告されていない」と報告された。 この解析結果を受け、検討会で議論が行われ、委員からは「オンライン・メディカルコントロールの医師の具体的な指示の下、救急救命士による血糖測定及び低血糖の補正により、重度の後遺症を回避できる可能性がある」、「本人や家族等から治療歴などの聴取ができない場合は、糖尿病手帳や薬手帳等により、治療歴などの確認を行うべきだ」などの意見が出された。 救急救命士の業務のあり方等に関する検討会(厚生労働省)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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