ケニヤ(3)ケニヤッタ・ナショナル・ホスピタルでお会いした患者さんたち
クレメント・ムウェレンギさん(34歳)
1983年。15歳の時に発病したので、病歴は18年になります。
眼底と腎臓に合併症が出ています。MixTard30を朝18単位、夕4単位、注射しています。
公立学校の教師で、歴史・地理・スワヒリ語を教えています。収入は月約13,000円です。家族は妻と6歳の子供がおり、妻も教師です。
入院中はインスリン代の負担はありませんが、入院費(食事・ベッド代)が1日約700円必要で、大きな負担となっています。来月中に復職しなければ失業し、妻の収入のみになってしまうので、非常に困っています。
ディビッド・ムクンディさん(56歳)
病歴は13年です。MixTardを朝44単位、夕22単位、注射しています。
日雇い労働者で、その日によって日当約100円の仕事だったり、120円と いう収入の良い仕事にありつける日もあります。仕事のない日もあります。
英語は少ししか話せません。普段はスワヒリ語を話しています。
家族は妻と子供3人ですが、子供達は成人しています。私の収入の状態では、他の医療機関で治療を受けることは、不可能です。
(左)ケニヤッタ・ナショナル・ホスピタルの総ての入院患者は、皆、同じ食事が提供される。
カレーライスの大盛状態で、明らかに炭水化物過多であり、バナナも食べていては、殆ど体を動かさない入院生活では、血糖値を下げることは非常に困難と患者としての経験から断言できる!
(右)提供されるインスリンは病状に関係なく、MixTard30のみ
昨日病院に運び込まれ、先程、ICUから出たばかりの患者さん。
48歳で警備員の仕事をしており、収入は月約5,000円で、妻と4人の子供あり。
かなりのヘビースモーカーでした。ケトアシドーシスを起こし、脱水症状になり、肺炎も起こしていて、インスリンを点滴で注入しています。現在の血糖値は23モル(523ミリ)です。意識も殆どない状態で、荒々しく息をしており、とても苦しそうでした。
ピーター君(11歳)
※写真中央:筆者も156?と日本人として小柄な方ですが、ピーター君、年齢の割にかなり小柄であることがわかります。
発病したのは9歳です。
合併症のため、手を曲げることが出来ません。
MixTardを朝28単位、夕14単位注射してます。血糖値は5.1モルです。
父は蒸発してしまい、生計を支えてくれていた母が死んでしまったため、兄弟3人で孤児院に預けられました。しかしながら、糖尿病の治療費の負担のため孤児院から引取りを拒否されています。
入院生活を送り続けなければならないため、学校にも行けません。算数の勉強だけは、病院内で家庭教師から教えてもらっている状態です。
アグネス・クワムボカさん(27歳)
※写真中央がアグネスさん。右はアグネスさんのお父様
写真左の女性看護師に抱かれているジェイソン君を3日前に無事に出産しました。 7年前からインスリン治療を始めました。因みに写真右のお父様も糖尿病です。
南スーダンで薬剤師のアシスタントとして仕事をしていましたが、出産の為に退職したため、今は無職です。
正式に結婚はしていませんが、ジェイソン君の父親とアグネスさんのお父様から経済的な支援を受けて生活しています。
アティエノ先生のお話では、
1型糖尿病患者が無事に出産を果たした成功例として非常に喜ばしいことと話してくださいました。
外来でインスリン注射の指導を受ける患者さん。 56歳で病歴は20年ですが、5ヶ月前よりインスリンを打ち始めました。
外来での指導も、1年に1-2回が限界とのことです。
子育てしながら糖尿病治療を続けています
外来で患者さんに指導内容を記録しているノート。手帳サイズのノートにすべて手書きの状態です。
©2011 森田繰織