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ウズベキスタン(2) サマルカンド

2008年12月
  地方都市の1つサマルカンドは、古くからオアシス都市として栄え、モスクを始め多くの歴史的遺産があるため多くの観光客も訪れます。
サマルカンドでは、サマルカンド・ゼネラルホスピタルとサマルカンド・内分泌疾患研究所を訪ねました。

1.サマルカンド・ゼネラルホスピタル


サマルカンド・ゼネラルホスピタル外観

(左)病院入口脇の薬局 (右)待合室で順番を待つ患者さんたち

  写真左中央はモリサ・オザコバちゃん7歳。20日前にケトーシスを起こし、こん睡状態で救急救命室に運ばれて来ました。身長111?、体重15kg、5人兄弟の2番目で、お母さんは小児科の看護師です。空腹血糖は6mol、食後血糖は8mol。アクトラピッドが効かず、ヒューマリンRに切り替え、朝食8、昼食前8、夕食前6単位のインスリンを打っています。低血糖の恐れと心臓の機能への心配から数日前まで打っていた就寝前のMPH4単位は現在中止しています。将来はお医者さんになりたいそうです。



ボーベルジョン・ワファクロフ君 8歳
  3ヶ月前に糖尿病と診断されました。3ヶ月前までとても太っていましたが急に痩せてきました。2ヶ月前からインスリン治療を始めました。身長118cm、体重19Kg、3歳の妹がいます。祖父母も1年前に2型糖尿病を発病しました。両親はタジク系でタジク語しか話せません。食事と経口血糖降下剤の時は24molあった血糖値が11molまで下がりました。インスリンを打ち始めてから食前血糖が4molまで下がりました。アクトラピッドが効かず、今はヒューマリンRを朝食前・昼食前・夕食前各6単位、NPHを朝食前・就寝前各4単位打っています。尿糖も蛋白も出ているので、気をつけなければいけません。出生時の体重は2,700g、1歳で腸ヘルニアを手術し、人口乳で育ったことが発病の原因かもしれません。将来は、糖尿病専門医になって糖尿病と戦いたいとのことです。

マムラ・サイドバちゃん 6歳(写真左中央のピンクの服)
  入院中の病室に戻ったマムラちゃんはA型肝炎を発病し、グルコースを大量注入されました。甘いジュースの大量摂取を勧められ、A型肝炎で入院後15日目後に糖尿病を発病しました。現在も入院中です。お母さんは病院で清掃係として働いています。3人兄弟の末っ子で兄弟3人とも心臓に異常があります。食前血糖は6.4mol、食後は9.4molで、インスリンはヒューマリンR朝食前、昼食前、夕食前4単位、NPH朝食前、就寝前各4単位打っています。生まれた時に体重が4,000gあったことも原因の1つかもしれません。

写真中央:小児糖尿の専門医ナジア・カリモア先生

(左)処置室  (右)栄養指導室

日本の協力も
2.サマルカンド内分泌疾患研究所

  サマルカンド内分泌疾患研究所所長ソフィア・ガブチェンコ先生、同研究所内にあるサマルカンド地区糖尿病患者協会の会長で自らも糖尿病患者であるカリーナ・タティンツヤンさんのお話を聞き、患者さんたちと会わせてもらいました。
サマルカンド地区においては、診療報酬、検査料は無料ですが、インスリンは需要量の44%は公的負担で賄えるものの、残りの56%は全額自己負担で購入しなければ総てを賄うことが出来ない状況です。価格は1,000ユニットあたり、ランタス1,900ドルで、他の欧州のメーカー品は1,000ユニットあたり225米ドル、中国製・インド製は112米ドルです。注射器は総て自己負担で、グルコメーターもテストチップも総て自己負担です。
サマルカンドの患者さんの多くは、最新治療を求めて、1年に一度はタシケントへ行きます。その負担を減らすため、ズライコ先生が出張し、最新の治療情報を提供しています。

サマルカンド内分泌疾患研究所外観

所長のソフィア・ガブチェンコ先生

サマルカンド地区糖尿病患者協会の会長で自らも糖尿病患者であるカリーナ・タティンツヤンさん(写真左:右側)

集まってくれた患者さん達(カリーナさんのオフィスにて)

研究所付属病院内部

研究所の先生達に講義をするズライコ先生


オアシス都市として栄えたサマルカンドには多くのモスクが残っている。

©2008 森田繰織
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