「備えあれば憂いなし」
2005年09月
先日、ギリシアのアテネで開かれたEASDの会合に出席し、6月のアメリカのサンディエゴで開かれたADA(米国糖尿病連合)の会合以来、3カ月ぶりにIFL(Insulin for Life)のスタッフ達と会いました。
米国を襲ったハリケーン・カトリーナの被災者達にIFLオーストラリアおよびドイツ(Insulin zum Leben)から救援物資として、インスリンの他、血糖測定器などを送ったという話になりました。IFLは、津波災害の時も大きな力を発揮し、今や世界的にその功績を認められています。
実際に私自身は、まだ大きな災害というものに遭遇していませんが、インスリンがなければ生き延びること自体が難しい身であるため、常に自分なりに「災害対策」はしているつもりです。
「災害非常袋」なるものが、最近、あちこちで販売されているようです。糖尿病ではない人たちは、「災害非常袋」の他にせいぜい水を多めに持ち出せばよいかもしれませんが、われわれのようにインスリンが必要な人間は、まず、インスリンの確保が第一です。
因みに私が実践していることは、「災害非常袋」の他に
- 就寝時、枕元にインスリン(ノボ フレックスペン1本以上とペン型注射器とカートリッジと使い捨て注射器2本)と低血糖用の砂糖(速効)とチョコレート(遅効)とペンライト(停電すると真っ暗になってしまう)と袋包装されたアルコール綿を水に濡れないようにビニール袋に入れてウエストポーチに入れて置いています。
非常用袋を持ち出せなくても、とにかくインスリンの確保が大事と考えています。水や食料は、時間が多少掛かっても、避難所で配られる可能性がありますが、自分が普段使っているインスリンまで、避難所で直ぐに配られる事は期待できませんので。 - 就寝時に限らず、家にいる時でもスリッパを直ぐに履ける状態にしておく。
硝子が割れて部屋の中で散乱すると、避難するために外へ出られなくなってしまう可能性があるので。 - 仕事中は、制服の胸ポケットにペン型注射器をボールペンとシャープペンシルと一緒に挿して入れています。いざと言う時、ロッカーまで取りに行ったり、お手洗いに行っていたりして机の引き出しから取り出せなかったりということも想定されます。
そして、幸か不幸か、職場の人たちは普段私が糖尿病であることを忘れてしまっているので、万が一、低血糖を起こしたり、他の原因で倒れて救急車で運ばれたりする事態が起きた時に胸ポケットにペン型注射器が挿してあれば、救急隊員の方々が「糖尿病用の注射器」と気付いてくれる可能性があります。
もちろん、低血糖用の砂糖は、ハンカチと一緒にポケットに入れています。 - オフの時もインスリンはペン型注射器と低血糖用の砂糖と共にいつも持ち歩いています。
できるだけ、胸ポケットのある服を着るようにし、ペン型注射器を挿しています。
余談ですが、アフリカのタンザニアを旅行した時もジーンズの上着の胸ポケットにペン型注射器を挿していたところ、バスの中で、偶然にもN社のインスリンメーカーの方から「ウチの製品?」と声を掛けられたことがあります。
救援物資が届く状態になっても、自分が使っているインスリンについては、きちんと製品名を言えるようにしておかなければなりません。
©2005 森田繰織