投稿者 | junさん |
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主治医 | 西村 理明 先生 東京慈恵会医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科 |
2010年2月 公開
プロフィール
年 齢 | 32歳 |
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性 別 | 女性 |
職 業 | 会社員/育児休業中 |
病 態 | 1型糖尿病 |
糖尿病歴 | 26年 |
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ポンプ療法歴 | 5年 |
ポンプを使い始めたのは5年前、仕事の過密スケジュールで生活時間が乱れ、倒れてしまったのがきっかけでした。それ以前にもポンプの使用を勧められたことはあったのですが、なんとなくハードルが高く感じてペンから切り替えられずにいました。ポンプを身体に装着することに何か手術に近いような大掛かりなイメージがあり、また症状が一段階進んでしまうような抵抗感があって・・・。
ところが、実際に切り替えてみるととても手軽。初期設定さえしっかりしてしまえば、食事前の注入は肌を出すことなくシンプルなボタン操作で済むし、数日ごとの交換も慣れれば簡単です。もっと早くポンプにしていれば良かった、と思ったほどです。
ポンプの一番の良さは「柔軟さ」だと思います。例えば平日と休日で異なる1日のリズムにも、パターン機能を使えば柔軟に対応できるところ。1ヵ月の中で血糖のリズムが狂う時期がある女性には、特にうれしい
ずっと仕事を続けながらの出産も、ポンプが無くては成し得なかったと思います。妊娠から出産後にかけて大きく波打つ血糖値の変化にも、柔軟に対応することができました。妊娠時に調整入院中に行った、CGM(持続血糖モニター:連続して血糖値を測定することができる機器)も非常にためになります。それまでは経験からの予測でしかなかった1日の血糖値の変化傾向がはっきりと見え、目からウロコでした。ここで大事なのは「私だけの」変化傾向が分かるということ。以降、ポンプの注入単位設定がとてもしやすくなりました
ポンプのマイナスポイントとして挙げるとすれば、これまた女性目線ですがワンピースやポケットの無い服を着る際身につけづらいこと。そして、やはり器械なので時としてエラーが生じることです。服については、少々不格好になってしまうのは否めませんが、なんとか工夫をして身につけています。またエラーについては、24時間受付のサポートセンターが迅速な対応をしてくれるので心強いのですが、ポンプが使用できなくなった場合の代替えとして、ペン型注射とその単位プランは並行して用意しておくべきだと、先日痛感したばかりです。
1型糖尿病を知らない人に話すとき、私はよく「自動か手動かの違い」と説明します。通常「自動」で体内分泌されるインスリンを、1型糖尿病では「手動」(注射)で打つ。そういった意味でポンプは「自動に限りなく近い手動」と言えるでしょう。手動(でのインスリンコントロール)をしっかり理解した上でポンプを使うことで、より自動に近づき、自然体な生活を送ることができると思っています。
主治医より
西村 理明 先生 東京慈恵会医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科
junさんは、なにごとにも前向きに取り組んでくださる方です。しかし、ある日を境に仕事が忙しくなり、血糖コントロールを良好に保つための時間がとれなくなってきました。血糖コントロールが悪化したので心配して、その解決策について幾度となく相談したのを、今でも覚えています。
この難局を打破するきっかけになったのが、インスリンポンプ導入だったのではないかと思います。ご自身でもおっしゃっていますが、あたかも自分の体の一部のようにポンプを使用され、ライフスタイルにあわせて基礎レートを選択されています。最近、無事出産されましたが、これからも、インスリンポンプをうまく使いこなして良好なコントロールを保ち、充実した人生を送っていただきたいと思います。