インスリンポンプ情報ファイル
インスリンポンプ療法の今とこれから
第3回 「CSIIで“糖尿病のある人生”をより豊かに」
陣内病院理事長・院長
陣内 秀昭 先生

7. 熊本地震を乗り越えて

ーー熊本地震からちょうど1年経ちました

Dr. 陣内:

熊本にこんな地震が来るなんて思いませんでした。1回目(4月14日)の地震の時は、たまたま某学会の評議委員会があって東京にいたんです。知人から「先生大丈夫ですか?」って電話がかかってきて、テレビつけたら大変なことになっていて・・・。翌日、飛行機に乗れたのですぐ帰りました。そうしたらその翌日(4月16日未明)本震に遭いました。最初の前震直後より、入院患者さんがこのまま施設内にいるのは危険との判断で帰宅・転医・転所していたため、幸い本震時には建物に誰もいなくて事なきを得ました。

病院の建物は床と柱は大丈夫でしたが、天井や壁が剥がれ落ちてしまったのでそこから3週間、病院裏のガレージで野外診察を行いました。出入りの卸さんが薬を確保してくれて助かりました。とにかく1型患者さんにインスリンを欠かすわけにはいかない、2型の患者さんもこれを治療中断のきっかけにしなっちゃいけないと自分に言いきかせて。職員も寝泊まりしている避難所から当院に通ってくれ、皆の協力でなんとか乗り切ることができました。

ーーご無事でなによりでした
Dr. 陣内:

患者さんはそんな時でもきちんと病院に来てくれたんですよ。1日150人くらい。道がなくなった地域の方はぐるっと迂回して4時間かけてきたという方もいましたね。地震前と同じだけ患者さんは毎日来ました。紙のカルテは無事でしたので、患者さんがくると建物にカルテを取りに行き、同じ処方で薬を出してお金は落ち着いたら払ってねと。基本的には処方だけですから、そのときは待ち時間が短いと好評でした(笑)

あの時は、励ましのお電話やメールをいただいて本当に嬉しかったです。この地震によって深刻な悪化につながった糖尿病患者さんは私のところにはいませんでしたが、この街に甚大な被害が出たことは確かです。熊本城を修復するにも20年はかかるようですから、本当の意味で乗り切ったと言えるにはまだまだ時間はかかるのだと思います。

2017年06月 公開