インスリンポンプ情報ファイル
インスリンポンプ療法の今とこれから
第2回「インスリン療法としてのCSII導入の意義とコツ」
東邦大学医学部内科学講座 糖尿病・代謝・内分泌学分野 教授
弘世 貴久 先生

3. CSIIが向いている人は?

ーーでは、インスリン療法が適応となる患者さんの中で、CSIIのほうがよいのはどのような人ですか?
Dr. 弘世:

やはり1型糖尿病の方です。しかも発症したての人。ちょっと注射を始めてある程度落ち着いた、でもなかなか7%を切らないんだよね、というような。

1型診療の難しさは、インスリンを増やすと低血糖になる、そして戻す、では基礎を変えてみるか、そしてまた戻る、そんなことを繰り返して、仕方ないからこれでいきましょうかという雰囲気になってくることでしょうか。医者側も結局どういう介入をしていったらいいか、わからなくなるんです。そして、患者さんは結果がでなくて、だんだん嫌になってくるという悪循環に陥る。

あとは、CSIIといえば、暁現象が出てしまって、朝イチのコントロールができない人も向いていますね。そして、必要な時だけ、短期間でもCSIIを試してみる、という考え方はとても有用だと思います。例えば妊婦さん。

ーー確かに、妊娠のときだけ使う人は多いですね
Dr. 弘世:

いま当院で妊娠を希望している若い1型の女性患者さんが、CSIIに興味を持っています。基礎インスリンがいらない状況で、毎日3単位くらい打ってHbA1cはぴしっと5%台になるような人ですが、8週くらいで流産してしまったのです。現在、ベーサルは不要でボーラスを1日合計20単位打っています。妊娠すると早晩ベースも必要になってくるので、こういう人にはぜひ試してもらいたいと思っています。

ーー 2型糖尿病のインスリン療法適応者でCSIIの方はいますか?
Dr. 弘世:

当然ですが、内因性インスリン分泌が1型並みに低下している方は対象でしょう。ただし、当院の2型は高齢者が多いんです。平均で60代後半でしょうか。先ほども申しましたが、CSIIは病歴がフレッシュな方、できれば若い人がいいと思っています。2型インスリン患者さんでコントロールがうまくいっていない人の多くは、生活習慣が乱れていることが原因です。そうでなくて、食事や運動をがんばっても落ち着かないとか、別の理由があればCSIIを試してみてもいいですけどね。日常的に針を何度も刺す行為が嫌で、少しでも減らしたくてCSIIを試すという人もいます。

ーーCSIIだとチューブの交換は2〜3日に1回、ボーラスはボタン操作でできるので、針への負担は減るかもしれませんね
Dr. 弘世:

楽になりたくてやるものではないけれど、やった結果、楽になったということはあると思います。

2016年07月 公開