インスリンポンプを使用している1型糖尿病患者の基礎インスリン必要量は1日の総インスリン量の30%程度である
論文の要点
- 研究のタイプ:後ろ向きコホート研究
- 患者:インスリンポンプを使用中の内因性インスリン分泌が枯渇した日本人1型糖尿病患者35人 方法:国際的に標準的なプロトコルに従って入院中に絶食試験を実施し、基礎注入設定が妥当であることを確認した上で、基礎注入必要量を調べた
- 結果:1日の総インスリン量は31.6 ± 8.5 単位で、このうち基礎注入は8.7 ± 2.9 単位(1日の総インスリン量の 27.7 ± 6.9% )であった
解 説
欧米のインスリンポンプに関する文献では1日の総インスリン量の約40-50%を基礎注入に割り当てることが推奨されている(文献1-3)。Kuroda氏らは、国際的に標準的なプロトコル(文献4)に従って基礎注入の必要量を調べ、日本人患者において1日の総インスリン量の約30%を基礎注入に割り当てるのが妥当であったと報告した。
本報告は単一施設における比較的少人数の入院患者を調査したデータであり、この結果を通院中の患者全般に当てはめて良いかどうかについては慎重に検討する必要があるが、日本では総インスリン量の中で基礎注入が占める割合が欧米と異なる可能性があることに注意する必要がある。
関連文献
- 1) Davidson PC, Hebblewhite HR, Steed RD, Bode BW. Analysis of guidelines for basal-bolus insulin dosing: basal insulin, correction factor, and carbohydrate-to-insulin ratio. Endocr Pract 2008;14(9):1095-1101.
- 2) Walsh J, Roberts R, Bailey T. Guidelines for insulin dosing in continuous subcutaneous insulin infusion using new formulas from a retrospective study of individuals with optimal glucose levels. J Diabetes Sci Technol 2010;4(5):1174-81.
- 3) King AB. How much do I give? Reevaluation of insulin dosing estimation formulas using continuous glucose monitoring. Endocr Pract 2010;16(3):428-32.
- 4) Scheiner G, Boyer BA. Characteristics of basal insulin requirements by age and gender in Type-1 diabetes patients using insulin pump therapy. Diabetes Res Clin Pract. 2005;69(1):14-21.