インスリンポンプSAP・CGM情報ファイル

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臨床レビュー:強化インスリン療法における低血糖:インスリンポンプ療法(CSII)と頻回注射法(MDI)のランダム化比較試験の系統的なレビューおよびメタ解析
ORIGINAL

Clinical review: Hypoglycemia with intensive insulin therapy: a systematic review and meta-analyses of randomized trials of continuous subcutaneous insulin infusion versus multiple daily injections.

Fatourechi MM, Kudva YC, Murad MH, Elamin MB, Tabini CC, Montori VM.

J Clin Endocrinol Metab 2009;94(3):729-40.

論文の要点
  • 研究のタイプ:メタ解析
  • データソース:2002年から2008年の間の電子的データベース
  • 研究の選択:CSIIとMDIのランダム化比較試験を選択
  • データ抽出:2名のレビュワーが二重に独立して研究の特徴・質・HbA1cの差・低血糖の情報を抽出した。
  • 結果:
    • 15の臨床研究が、中等度以上の研究の質で、かつ、ベースラインと研究終了時点のHbA1cが高値であると判断された。
    • 1型糖尿病患者を対象とした研究では、CSIIがMDIよりHbA1cが-0.2%(95%信頼区間:-0.3?-0.1%)低かった。
    • 重症低血糖および夜間低血糖に有意差はなかった。
    • 2型糖尿病患者では治療結果に有意差を認めなかった。
解 説

 CSIIとMDIのランダム化比較試験を対象としたメタ解析の論文は、2008年1月から2012年10月の間に発表されたものだけでも本論文を含めて4報ある(文献2-4)。それぞれのメタ解析において、検索対象とする文献の公表時期が異なっていることもあり、解析対象に含めている文献の数も異なるが、いずれにおいてもCSIIの方がMDIよりHbA1cが有意に低い(-0.2〜-0.4%)との結論に至っている。

 ただし、細部においてこれらの4報のメタ解析の結果は異なる。HbA1cの改善幅はCSII導入前のHbA1cが高いほど顕著であるとしたメタ解析(文献2)もあれば、研究開始時のHbA1cが最も高い報告が解析結果に影響しているとするメタ解析(文献3)もある。重症低血糖については、本論文と同様にMDIとCSIIで有意差がなかったとするメタ解析(文献1, 3)と、CSIIの方が少なかったとするメタ解析(文献2)がある。

 なお、実臨床においてCSIIはMDIで治療目標を達成できない場合の選択枝として用いられている側面があり、比較的均質な患者集団をMDIとCSIIにくじ引きで割り付けるランダム化比較試験とは状況が異なっている点にも注意する必要がある。

関連文献
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