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2013年04月08日

インターバル速歩 無理せず続けられる効果的な運動療法

キーワード
運動療法
 速歩きとゆっくり歩きを数分間で交互に繰り返す「インターバル速歩」が、2型糖尿病など生活習慣病のリスクの高い中高年も効果的に行える運動法として注目されている。

 「インターバル速歩」は、信州大学の能勢博教授(スポーツ医科学)らが、中高年者の健康増進の目的で開発した歩行法だ。高齢者や体力に自信のない人が安全・効果的に行える運動として考案された。

 インターバル速歩は、下半身を中心に軽いストレッチをした後、普通のウォーキングから始める。
(1) 散歩するときと同じくらいの、会話ができるくらいの普通の速度で、3分間歩く。
(2) 次に、「きつい」と感じる程度の速歩を3分間行う。足を大きく開き、腕を勢いよく後ろに振り、息が上がるほど速度で歩く。
(3) (1)と(2)を交互に繰り返す。

インターバル速歩は運動量を調整しやすい
 インターバル速歩には、一律のノルマが課されていない。1人ひとりの体力にあった回数をこなすよう指導が行われる。ふだん運動していない人や高齢者であれば、5回(30分)も続けたら、心地良い疲労感を感じられるようになるだろう。

 最大酸素摂取量(VO2max)70%以上の運動を3分間継続すると、血中の乳酸レベルが上昇し、「きつい」と感じるようになる。そこで、3分間の速歩の後、3分間の普通歩きを挟むことで、尿酸レベルが低下し、ふたたび速歩が可能になる。結果的に長時間の歩行を達成できるようになる。

 インターバル速歩の開発・研究は、信州大学医学部スポーツ医科学講座とNPO法人熟年体育大学リサーチセンターで行われている。

 週に平均約4.5日のインターバル速歩の効果を検証する介入試験が行われた。▽運動を行わないコントロール群(46人)、▽1日1万歩を目標とした普通歩行群(51人)、▽1日平均50分程度のインターバル速歩群(42人)を5ヵ月間追跡し比較した。

 その結果、インターバル速歩群でのみ膝伸展力(13%)、膝屈曲力(16%)、最高酸素摂取量(10%)が有意に上昇したが、普通歩行群とコントロール群では有意な群間差は認められなかった。

 同様に、収縮期血圧(10mmHg)と拡張期血圧(5mmHg)でも、インターバル速歩群でのみ有意な低下が確認された。

 さらに、インターバル速歩を行なった集団では、中高年に多い「膝関節痛」や、さらにはうつ病の指標となる「うつ自己評価尺度」のデータでも改善し、体力だけでなくメンタルヘルスの点でも効果を期待できるという研究も発表されている。

 ただし、速効性を期待してはいけない。5ヵ月以上続けることが肝心だという。

インターバル速歩により血糖値が低下 CGMによる血糖測定で判明
 2型糖尿病患者を対象とした介入試験もデンマークで行われた。コペンハーゲン大学保健科学部のKristian Karstoft氏らが、「Diabetes Care」2013年2月号に発表した。

 被験者を、▽運動を行わないコントロール群(8人)、▽普通歩行群(12人)、▽インターバル速歩群(12人)に分け、4ヵ月間追跡し比較した。歩行群と速歩群は、1回60分のウォーキングを週5回行った。

 試験に参加した2型糖尿病患者の年齢は57〜61歳、体格指数(BMI)は29.0〜29.7、試験開始時のHbA1cは普通歩行群が6.6%、インターバル速歩群が6.9%だった。

 4ヵ月後、インターバル速歩群ではVO2maxが16%上昇したほか、体格指数(BMI)と体脂肪が減少し、体重は4kg減少した。普通歩行群では、ほとんど変化はなかった。

 また、持続血糖モニター(CGM)による血糖測定も行った。インターバル速歩群では平均血糖値が14.4mg/dL(0.8mmol/L)、最高血糖値が50.4mg/dL(2.8mmol/L)それぞれ低下した。一方、普通歩行群では変化しなかった。

 また、β細胞機能を反映するディスポジション指数(DI値)は普通歩行群に比べ、インターバル速歩群が有意に高くなっており、血糖改善に寄与した可能性が示唆された。

 「運動は無理なく長く続けることが大切です。インターバル速歩はメリハリがあり飽きにくい運動だといえます。指導に専門的なテクニックも必要ないため、新しい運動療法の指導方法のひとつとして期待されます」と、Karstoft氏は述べている。

Effects of High-Intensity Interval Walking Training on Physical Fitness and Blood Pressure in Middle-Aged and Older People(Mayo Clinic Proceedings  2007年7月)
The Effects of Free-Living Interval-Walking Training on Glycemic Control, Body Composition, and Physical Fitness in Type 2 Diabetic Patients(Diabetes Care 2013年2月)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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