ニュース

2005年11月09日

OECD加盟国で肥満と過体重が増加

キーワード
 30カ国が加盟する経済協力開発機構(OECD)が、諸国の保健医療制度を比較した国際調査「OECD図表で見る医療(2005年版)」を発表した

 ここ数十年間に寿命が延びる一方で、医療費も増加傾向をたどっており、大半の加盟国では医療に関連する支出の伸び率が経済全体の成長率を上回っている。それぞれの国で医療の効率化を進める政策が必要とされている

入院日数の長さは日本が最も長い

 調査によると、病院での入院日数の平均は日本が20.7日と、加盟30カ国で最も長かった。同調査では、各国の入院日数を急性期病床で比較しており、結核や精神病など必然的に入院期間が長くなる場合を除いてある。日本はOECD平均の6.7日の3倍強で、最短はデンマークの3.6日だった。

 OECDによると、平均入院日数は医療の効率性の指標となる。平均入院日数が長いほど1人当たり医療費が高くなる傾向があり、全体の医療費が増大する一因となる。長期入院の是正は日本政府が取り組む医療構造改革でも大きな課題となっている

世界で過体重や肥満が増えている

 調査では、多くの国で医療制度は病気の治療に偏っており、病気の予防には熱心でないと指摘されている。現在の医療に関連する支出のうち、予防に充てられているのはOECD諸国平均で約3%に過ぎないという。

 肥満は糖尿病、高血圧、高コレステロール、心臓血管障害などの病気のリスク要因として知られており、医療費の大幅な増加につながるので特に懸念されている。調査では、多くのOECD諸国で子供と成人の過体重や肥満の割合が上昇していることが明らかになり、健康上の問題として取り上げられている。

 現在、OECDに加盟している10カ国(米国、メキシコ、英国、オーストラリア、スロバキア、ギリシャ、ニュージーランド、ハンガリー、ルクセンブルグ、チェコ)で50%以上の成人が過体重か肥満とされている。

 肥満になり始めてから関連する病気になるまで数年かかるため、過去20年間に肥満者率が上昇していることは今後の医療費の増大につながる懸念材料となる。

 成人の肥満者の割合(BMI 30以上)は日本は3%で、米国の31%と比べると差があるが、「国民健康・栄養調査」(2003年)では日本の指標であるBMI 25以上の肥満者の割合は、30〜60歳代男性で3割以上に及び、20年前に比べすべての層で肥満者が増えたと発表された

●詳細は経済協力開発機構(OECD)のサイトへ
 ニュースリリース(英文)
 エグゼクティブ・サマリー(日本語要約)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

play_circle_filled 記事の二次利用について

このページの
TOPへ ▲