糖質が気になる人の甘味料かんたんガイド 糖質が気になる人の甘味料かんたんガイド

適正な血糖値を保つためには、糖質摂取量の管理は欠かせません。だからといって、お砂糖の量を極端に減らすと、「おいしくない」「物足りない」だから「続けにくい」といった悩みにつながりがち。そんなときには、お砂糖の代わりに「甘味料」を取り入れるのも一つの方法です。体にやさしい甘味料を選んで、おいしく楽に血糖の管理を続けていきましょう。

甘味料の基本を知ろう

そもそも「甘味料」って?

 「甘味料」とは、食品に「甘味(甘み)」をつけるために使われる物質のことを指し、食品表示では食品添加物に区分されます。
 甘さを出す「甘味料」はどれも糖質が多く、血糖値が上がるものなのでしょうか。答えはNO。実は甘いからといって必ずしも糖質が多いとは限りません。甘味料にも血糖値が上がりやすいものと、そうではないものがあることを知っておくと、糖質の管理に役立ちます。

実はこんなにある! 甘味料の種類

 ひとことで甘味料といってもたくさんの種類があり、甘さもカロリーも、製造過程もさまざま。甘味料の特徴をよく理解したうえで、個人の健康状態や好みに応じて適切な甘味料を選ぶことが大切です。また、摂取量や使用方法も考慮し、バランスの取れた食事を心がけることが血糖値の管理に役立ちます。

糖質系甘味料
名称 分類 砂糖を基準
にした甘さ
1gあたりの
カロリー
特徴
ブドウ糖 単糖類 0.6~0.7 4kcal 穀類や果実、はちみつに含まれる。素早くエネルギーになり、血糖値を上げる。
果糖 単糖類 1.2~1.5 4kcal 果実やはちみつに含まれている。
砂糖(ショ糖) 二糖類 1とする 4kcal 消化管でブドウ糖と果糖に分解・吸収され、血糖値を上げる。-
トレハロース 二糖類 0.5 4kcal 時間とともに硬化するのを抑制する効果があり、餅や団子などに使われる。
パラチノース 二糖類 0.5 4kcal 砂糖に酵素を作用させ、ブドウ糖と果糖の結合位置を変えることで作られる。
乳糖 二糖類 0.15~0.4 4kcal 哺乳類の乳汁に含まれている。
オリゴ糖
(フラクトオリゴ糖)
など
多糖類 0.3~0.6 2~3kcal 消化酵素で分解されず、腸内細菌の餌になり整腸作用や腸内細菌を増やす作用がある。
ソルビトール 糖アルコール 0.6~0.7 3kcal 口の中でひんやりとするので、ガムなどの清涼剤に使われる。
キシリトール 糖アルコール 0.6 3kcal 食後にキシリトール配合のガムなどを摂取すると虫歯予防に有効とされている。
エリスリトール 糖アルコール 0.7~0.8 ノンカロリー トウモロコシ由来のブドウ糖からつくられる。体内で吸収されずほとんどが排出される。
非糖質系甘味料
名称 分類 砂糖を基準
にした甘さ
1gあたりの
カロリー
特徴
羅漢果 植物由来甘味料※1 300 ノンカロリー 羅漢果というウリ科の多年生つる草木の植物から抽出される。
ステビア 植物由来甘味料※1 100~150 ノンカロリー ステビアという植物の葉や根から抽出される。
サッカリン 非植物由来甘味料※2 200~700 ノンカロリー 日本では食品衛生法に制限があり、食品にはあまり使われていない。
アスパルテーム 非植物由来甘味料※2 100~200 ノンカロリー 2種のアミノ酸から合成されている。
スクラロース 非植物由来甘味料※2 600 ノンカロリー 砂糖の一部を化学処理したもの。

※1いわゆる天然甘味料を指します。
※2いわゆる人工甘味料・合成甘味料を指します。
本ページではこのように表現しています。

甘味料の豆知識

 甘味料そのものを料理に使うこともあれば、すでに甘味料が含まれている食品や飲料を購入する場合もあるでしょう。甘味料について知っておきたいポイントを4つご紹介します。

ポイント1

糖質系甘味料と非糖質系甘味料がある

 甘味料は、「糖質系甘味料」と「非糖質系甘味料」の大きく2種類に分けられます。エリスリトールを除く糖質系甘味料は、体に吸収されると、甘味料の種類によって速さは異なりますが、多かれ少なかれ食後の血糖値を上昇させます。
 非糖質系甘味料には、ステビア、羅漢果(ラカンカ)などの植物由来※1の甘味料と、アスパルテーム、スクラロースなどの化学的につくられた非植物由来の甘味料※2に分けられます。いずれも砂糖の数十倍から数百倍の甘さがありますが、カロリーも砂糖と同等または低いため、非糖質系甘味料を用いることで、少ない量で甘くて低カロリー・低糖質な食品が実現できます。

ポイント2

糖質ゼロと糖類ゼロでは意味が違う

 「糖質」と「糖類」、実は違うものだというのをご存じでしょうか。
 糖質とは炭水化物から食物繊維を除いたものを指し、「単糖類」「多糖類」「糖アルコール」「植物由来※1・非植物由来甘味料※2」などが含まれます。一方、糖類には、ブドウ糖や果糖の「単糖類」と、砂糖や乳糖、水あめといった「二糖類」が含まれます。

炭水化物図

ポイント3

血糖値の上がりやすさの違い

 糖類は食後の血糖値を上昇させますが、血糖値が上がる速さがそれぞれ異なります。口から取り入れた糖は、最終的に最小単位のグルコース(ブドウ糖)まで分解(消化)されて小腸から吸収されます。血糖値を上昇させるのはこのグルコースなので、ブドウ糖は血糖値が最も上がりやすい糖といえます。
  二糖類や多糖類はグルコースまで分解されなければ吸収されないため、血糖値が上がるまでにブドウ糖よりは時間を要します。さらに二糖類の中でも、トレハロースやパラチノースは血糖値のピークが低く、血糖上昇・降下が緩やかです。
 また、果糖はブドウと同じ単糖類ですが、果糖単体では血糖値を上げません。しかし、肝臓の働きによって糖に変換(糖新生)されるため、結果、血糖値を上げます。糖アルコールは、比較的血糖値の上昇がゆるやかなものが多いです。

糖類

ポイント4

無糖、低糖、糖類オフ・・・表示の意味の違いは?

 糖類を「含まない」ことの表示や、「低い」や「低減された」ことを意味する表示には、それぞれ基準が定められています(食品表示基準)。たとえば、「糖類ゼロ」「無糖」といっても、まったく糖類が含まれていないわけではありません。 また、糖質には「含まない」ことの表示の基準はありますが、「低い」や「低減された」ことの表示に関しては基準がありません。販売者の責任において、比較対象商品に比べて低減されていれば「糖質○%オフ」「低糖質」と表示ができます。

消費者庁「食品表示法に基づく栄養成分表示のためのガイドライン」などをもとに作成
表示 基準
ゼロ・無・ノン・フリー 糖質/糖類ともに、食品100gあたりの量が0.5g(飲料なら100mlあたり0.5g)未満の場合
低、ライト、控えめ、ダイエット 糖類が、食品100gあたり5g(飲料なら100mlあたり2.5g)以下の場合
○%オフ、○%減、○gカット 糖類が、食品100gあたり5g(飲料なら100mlあたり2.5g)以上低減されていて、かつ低減された量の割合が25%以上である場合

甘味料の安全性について

食品添加物のひとつである甘味料は1900年頃から使用されるようになり、大戦中や戦後で砂糖の入手が困難であった時代にも甘味を得られるものとして人々の食を支えました。 1948年には食品衛生法で使用しても良い成分が指定され、現在では菓子や飲料をはじめ、パンやお惣菜など幅広く使用されています。

しかし最近、甘味料の一部に発がん性の可能性を示す声がWHOの専門機関(国際がん研究機関:IARC)から出てきました。これを受け、日本でも内閣府に設置されている食品安全委員会からも情報が発信されています。その他の添加物についても、今後もこのような研究・議論は行われていくと思われます。

<参照>
合成甘味料安全性に関する内閣府の見解
アスパルテームに関するQ&A 2023年7月19日更新

国の調査によると、国民の推定摂取量は許容量を下回っているので、過度な心配は必要ありませんが、食事全体のカロリーや栄養、味のバランスを考えた上で甘味料をうまく活用しましょう。

教えて麻生先生!
甘味料の
上手な選び方・使い方

血糖値のコントロールは、糖尿病や血糖値の健康管理において重要な要素です。甘味料の選び方と使い方は、血糖値を安定させる上で大きな役割を果たします。

甘味料の選び方

①自然な甘さを利用する

料理やトッピングにおいて、自然な甘さを活用しましょう。例えば、ヨーグルトをプレーンにして、トッピングにベリー類を加えることで、甘味を調整できます。また、煮物には芋類を使用することで、砂糖を加えないか、その量を減らすことができます。低糖質な果物や食物繊維の多い野菜に含まれる自然の甘さを利用することで、血糖値の急激な上昇を抑えることが可能です。

②血糖値への影響が少ない甘味料を選ぶ

糖質系甘味料の中でも、血糖値が急激に上昇しないものを選びましょう。また、血糖値の影響が少ない非糖質系甘味料や、自然派の方には植物由来甘味料※1が適しています。ただし、製品化することによって配分が異なることもあるので、成分表示や企業のウェブサイトを確認することをおすすめします。
※血糖値への影響は個人差があります。個々の健康状態に合わせて、医師や管理栄養士のアドバイスを受けることも大切です。

▶ 甘味料の種類については「実はこんなにある! 甘味料の種類」参照ください

甘味料の使い方

①適切な量を守る

甘味料を使用する際には、適切な量を守ることが重要です。過剰な甘味料の摂取は血糖値を上昇させる可能性があります。また、甘味料だけでなく、食材そのものの味を楽しむことも大切です。食材をよく噛んで本来の甘味を感じたり、かつおや昆布の旨味を活かした味付けにすることで、甘味に頼りすぎない食事習慣を築きましょう。

②食事のバランスを保つ

甘味料を使用した料理や飲み物でも、全体の食事バランスを考えることが大切です。過度に糖質の摂取を増やさないように心がけましょう。

③食物繊維を摂る

血糖値の急激な上昇を抑えるために、食物繊維を豊富に含む野菜や全粒穀物を食事に取り入れることをおすすめします。

④食事のタイミングを意識する

甘味料を含む食事や飲み物を摂る際に、食事のタイミングを考えてバランスを保つことが大切です。空腹時に血糖値の急激な上昇を防ぐために、食事を計画的に摂ることを心がけましょう。

甘味料の選び方と使い方を適切に考えることで、血糖値のコントロールをサポートし、健康な生活を維持することができます。また、食事の際にはゆっくりと時間をかけて食べ、よく噛むことで食べ過ぎを防ぎ、血糖値の上昇を緩やかにすることができます。定期的な運動やストレスの管理も血糖値コントロールに寄与するため、総合的なライフスタイルの見直しも検討してみてください。

麻生れいみ先生

麻生 れいみ 先生
管理栄養士・料理研究家・医療栄養学修士

東京医療保健大学院修了。日本健康食栄協会代表・全国アスリート臨床栄養協会理事・Nourish Lab主宰。自身の減量成功体験をきっかけに、栄養学を学び、企業の特定保健指導・栄養相談を務めるかたわら、病院の臨床研究において栄養療法を監修。
医療と予防医学、栄養学を深く結びつける役割を担うべく、料理研究を行う。

カロリー・糖質ゼロの自然派甘味料 ラカント

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