脳卒中になる確率を、簡単な計算で予測できます――。国立がん研究センターなどの研究グループは、40〜60歳代の日本人が今後10年間に脳卒中になる確率を自分で簡単に予測できる算定表を開発した。年齢や肥満、血圧、喫煙習慣、糖尿病など6つのポイントから点数化し、合計点数を求めると今後10年間の発症確率を予測できる。
算定表では、▽年齢、▽肥満度(BMI)、▽性別、▽喫煙習慣、▽糖尿病の有無、▽血圧と降圧薬を内服しているかを自分でチェックし、点数を合計して表と照らし合わせると脳卒中の発症確率がわかる。同時に血管の健康度を示す「血管年齢」も算出される。
例えば、48歳の男性で身長168cm、体重74kgで肥満度(BMI)が26、喫煙習慣あり、降圧薬服用なしで最高血圧が145、最低血圧が89、糖尿病ありの人は、それぞれの項目点数の合計が32点で、10年間に脳卒中を発症する確率は7%以上8%未満となる。
算定表は、茨城、新潟、高知、長崎、沖縄の5県で1993年に40〜69歳だった男女計1万5672人を平均14年間追跡した大規模調査「JPHC研究」にもとづくもので、実際に脳卒中になった人(790人)の危険因子を調べ、発症確率を求めた。
脳卒中は、脳の血管が詰まったり破れたりして、脳の機能が損なわれる病気の総称。脳卒中は日本人の死因の第4位で、患者数は123万人に上る。
脳卒中の危険因子となるのは高血圧、糖尿病、肥満、不整脈(心房細動)、喫煙、過度の飲酒、脂質異常症など。研究では、日本人の脳卒中の原因の上位となるのは、高血圧(35%)、喫煙(15%)、肥満(6%)、糖尿病(5%)と推計された。
人口寄与危険度割合は、あるリスク因子を完全になくすことができた時に、防ぐことが可能となる脳卒中発症者の割合のことで、リスク因子ごとに推定する。どのリスク因子への対策をより重点的に行うと、脳卒中発症者数をより減らせるかという指標となる。
算出法は、がん研究センター多目的コホート研究のサイトで公開されている。八谷寛・藤田保健衛生大教授(公衆衛生学)は「脳卒中予防で重要なのは、第一に高血圧対策、次いで禁煙といえます。この算定表を、生活習慣を見直し、健康診断を定期的に受け、改善していくきっかけにしていただきたい」と述べている。
多目的コホート研究「JPHC Study」(国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 予防研究部)
[ Terahata ]