1型糖尿病の小児でのインスリンポンプ治療の早期開始は、血糖コントロールを改善する可能性があるという研究が医学誌「Journal of Pediatrics」オンライン版に3月15日付けで発表された。
対象となったのは、6歳未満で1型糖尿病と診断され5年以上にわたりコントロールを続けている小児患者66人。うち34人はインスリン頻回注射法(MDI)で、32人はインスリンポンプを用いた持続皮下インスリン注入(CSII)療法を始めた。
7年間の追跡期間中に、ポンプ療法を続けたグループは、有意にHbA
1c値をより低く保っていた。1年目は6.9%±0.9% 対 7.6%±1%(P=0.011)、4年目は7.4%±0.8% 対 8.1%±0.9%(P=0.006)、7年目は7.6%±0.5% 対 8.3%±0.8%(P=0.001)という結果になった。
また、ポンプ療法を続けた子供では深刻な低血糖の発生頻度が低い傾向がみられ、9.8例/100患者・年 対 22.3例/100患者・年という結果になった。MDIを続けたグループでHbA
1c値が高かった3人の子供はCSIIに切り替えることになったと研究者は報告している。
この研究はフランスのAmerican Memorial病院(コニャック・ジェイ)とChampagne Ardenne Reseau糖尿病協会の支援を得て行われた。
従来のインスリン注射による強化療法で良好な血糖コントロールを得られない場合などは、持続皮下インスリン注入(CSII)療法という選択もある。
米国糖尿病学会(ADA)によると、インスリン頻回注射からインスリンポンプに切り替える利点として次のことがある―
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- インスリン注射の必要がなくなる。
- より精密にインスリンを注入できる。
- HbA1cの改善を期待できる。
- 血糖値の変動が少なくなる。
- 糖尿病の管理がより簡便になる。高血糖や食欲を感じている場合、インスリンの必要量を計算し対応できる。
- 食事時間や内容により柔軟に対応できる。
- QOL(生活の質)の改善を期待できる。
- 深刻な低血糖が減る。
- 中間型や持効型インスリンで十分に改善できない場合も高い治療効果を期待できる。
- 運動時に炭水化物(捕食)をとりすぎなくとも済む。
Metabolic Control in Children with Diabetes Mellitus Who are Younger than 6 Years at Diagnosis: Continuous Subcutaneous Insulin Infusion as a First Line Treatment?
Journal of Pediatrics, published online 15 March 2010
[ Terahata ]