後発医薬品(後発薬、ジェネリック医薬品)は、特許が切れた新薬と同じ成分を使いながら安く利用できるので、医療費抑制の有効な対策として注目されている。厚生労働省は2008年4月から、医師が「後発医薬品への変更不可」としない限りは、薬局で患者に説明した上で後発薬に変更できるようにした。
後発薬処方の割合はわずか6.1%
医療費の抑制を狙う厚生労働省は後発薬の利用を後押ししているが、利用は進んでいない。厚労省の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)が、2009年3月に発表した48万6532枚の処方箋をもとに実施した調査では、後発薬を使うことのできる処方箋を病院や診療所で発行しても、薬局で実際に後発薬に変更されたケースは6.1%にとどまった。使用に「あまり積極的でない」薬局は3割を超え、薬剤師の消極的な姿勢もあきらかになった。
同調査では、後発薬の品質、情報提供、安定供給に対する不安が一部の医療関係者で根強いことが示された。後発薬の説明・調剤に積極的に取り組まない理由は、「近隣医療機関が使用に消極的」(40.2%)、「安定供給体制が不備である」(40.2%)、「品質に疑問がある」(40.2%)、「効果に疑問がある」(36.7%)が多かった。
患者側の認知度もまだ低く、後発薬についての説明を行ったにもかかわらず患者が後発薬の使用を希望しなかった理由は、「薬剤料等(患者自己負担額)の差額が小さい」(37.5%)、「後発薬に対する不安がある」(35.6%)が多かった。
糖尿病患者の7割は「後発薬もOK」
一方で、後発薬に対する期待は少なくない。糖尿病ネットワークが2006年5月に実施した調査によると、後発薬について糖尿病患者の45%は「積極的に使用したい」と回答し、「(先発薬と後発薬の)どちらでもよい」を合わせると74%が後発薬の利用を肯定的に考えている。同調査では医療者側が消極的になっており、患者から後発薬の相談を受ける割合は39%と少なく、「話題に上らない」という回答は55%と過半数を占める結果になった。
中医協の調査でも、先発薬と後発薬について「こだわらない」という患者が40%ともっとも多かったが、後発薬を使用した経験のある患者で「できれば後発品を使いたい」と回答した割合は、「使用経験なし」という患者の割合より高かった。調査報告では「患者の後発薬への意向は相対的に高い」としている。
厚労省は2012年度までに、後発薬の数量シェアを現状より2倍の30%以上にするという目標を掲げている。5月20日に開催された中医協総会では、「医師や薬剤師からの説明は患者の後発薬の認知や理解に重要な役割を果たしている」として「後発品の利用促進に関する意識を高めていく必要がある」と強調した。中医協はこれを受け、後発薬の処方・調剤を「医師と薬剤師の努力義務」としてより徹底させるため、保険医や保険薬剤師に対し内容の周知徹底や指導を行うことを了承した。
中央社会保険医療協議会 第144回総会(厚生労働省)
ネットワークアンケート-ジェネリック医薬品(GE薬)(糖尿病NET)
[ Terahata ]