景気の低迷している時期は、なるべく出費を抑えようと財布の紐をしめる人が多い。しかし、有料のスポーツジムに通うなど費用をかけられない人も、工夫をすれば健康的な生活を維持することは可能だと、米ハーバード大学医学部ダナ・ファーバー癌研究所(ボストン)の専門家らが発表した。
下記の方法を続ければ、無料または低費用で健康を維持し、同時にがんのリスクの軽減にもなるという。
ウォーキングをしよう
ウォーキングは運動靴の紐を結ぶのと同様に、いつでもどこでも行える運動だ。軽度から中程度の有酸素運動は、肥満や2型糖尿病の対策になる。最近の研究によると、習慣的な運動と肥満の予防は、がん発症のリスク軽減につながる現時点でもっとも確かな方法でもある。運動は結腸がんや乳がんなどの再発リスク軽減にも有用という報告がある。
お金や時間に余裕がなくても、日常で工夫すれば運動量を増やすことができる。なお、運動を始める前に主治医に相談することが勧められている。
- エレベーターやエスカレーターの代わりに階段を使う
- なるべく自動車を使わず、歩いたり、自転車に乗るようにする
- 仕事の合間にも体操やウォーキングの時間をつくる
- テレビを見ているときもエアロバイクなどを使用する
健康的な食生活
精製された砂糖や赤身肉を控えて、野菜や果物を十分にとり、適正なエネルギー量と体重を維持することが勧められる。有用な栄養素は色素や色の濃いところに特に多いので、野菜や果物は皮ごと食べた方が良い。カボチャ、サツマイモ、クルミ、ニンジンの皮、ホウレン
ソウなどに、抗酸化作用があるとされるリコピンやルテインなどのカロチノイド(色素)が豊富に含まれる。リンゴの皮に含まれるフラボノイドの一種であるクエルセチンは、がんを予防する効果があると期待されてい
る。
たばこを吸わない:禁煙は命と財布を救う
喫煙は、血管が収縮し血圧が上がる、心拍数が増える、脂質異常を引き起こす、結果として動脈硬化の進行が早まるというさまざまな弊害をもたらす。たばこを吸う糖尿病患者では、糖尿病腎症の発症が増えるという報告もある。
米国がん学会(ACS)によると、喫煙は予防が
可能なもっとも深刻な死因となっている。喫煙をしないことがお金の節約になるだけでなく、医療費を抑えることにもつながる。肺がん全体の80%の原因となっており、咽喉がん、膵臓がん、子宮、膀胱、また腎臓がんのリスクも増やす。はじめから喫煙しないのがもっとも良いが、禁煙による恩恵が期待できるので、たばこをやめるのが遅すぎるということはない。喫煙者が10年から20年、たばこをやめるだけで、肺がんの発症率を50%低下させることができる。
アルコールを控える
喫煙と同様に飲酒を控えれば、お金を節約することができる。アルコールは高血糖、脂質異常の誘因となる。飲酒によって食欲が増進するので、つい食べ過ぎてしまうおそれもある。飲酒により一部のがんのリスクが高くなるという報告もある。閉経後の女性が1日1杯の飲酒をすると乳がんリスクが増大する。
ダナ・ファーバー癌研究所
Staying healthy doesn't have to break the bank(英語)
[ Terahata ]