厚生労働省は10日、全国の中高年者世代の50歳から59歳の男女を追跡して調べる「第3回中高年者縦断調査」の結果を公表した。健康維持に取り組んでいる人では、体の状態が「良くなっている」という回答が多く、糖尿病の人でも「心がけていること」があれば、病状が「良い」と感じる人が増えるという結果になった。
健康維持のために心がけていること
別にみた疾病の状況(糖尿病あり)
習慣改善を心がけると病状の自己評価は高くなる
厚生労働省「第3回中高年者縦断調査」2008年
健康維持のために心がけていること
厚生労働省「第3回中高年者縦断調査」2008年
「中高年者縦断調査」は、同一の対象者を継続して調べ、行動や意識の変化や過程をみる調査。得られた情報は、医療や福祉政策を立案するための基礎資料になる。第1回調査を2005年11月に実施し、今回で3回目となる。52歳から61歳の男女約3万人分を分析した。
この調査は同じ人を対象に毎年1回行われており、病気や習慣改善への取組みにより健康状態がどのように変化するかを、分かりやすく示している。総じて健康維持のために「心がけていること」があると答えた人の方が、「特にない」という人よりも、状態が良くなる傾向がみられる。
健康維持のために心がけていることとして、男性で多いのは「適度な運動をする」(20.6%)、「食事の量に注意する」(19.6%)。女性では「バランスを考え多様な食品をとる」(29.5%)、「食事の量に注意する」(27.7%)の割合が多い。自分の体について意識の高い人では、多くの項目で8割以上が健康状態が「良い」と回答し、「悪い」という人は2割前後と少ない。
一方で、心がけていることが「特にない」という人では、25%の人が健康状態が「悪い」と答えている。
高血圧や糖尿病などの慢性疾患のある人でも、「心がけていること」が多ければ、自分の体の状態に対する自己評価が高くなる。医師から診断されている疾病で多いのは「高血圧」(21.0%)、「高脂血症」(11.8%)。「糖尿病」は3位の8.1%。
病気の治療を開始した時期からの病状の変化をみると、食事や運動、体重、休養、ストレスなど、心がけていることがある人では、病状の変化が「良くなっている」と答える割合が増える。一方で、心がけていることが「特にない」という人では、糖尿病だけでなくどの病気でも、病状は「変わらない」が増え、「良くなっている」は減る。
糖尿病の治療では、食事と運動を中心とした生活習慣の改善は基本となる。食事は腹七、八分目にとどめる、運動を習慣的に行う、休養や睡眠を十分にとる、飲酒は要注意で喫煙は禁止。これらは糖尿病の人だけでなく、全ての人に勧められるライフスタイルだ。「心がけている」人には必ず恩恵がもたらされる。
これ以外の調査の主な結果は以下の通り―
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- 60歳以上の男性約2800人のうちの76.5%が「働き続けている」と回答。女性は60歳以上の約2900人のうち47.6%。
- 60から61歳の1割以上が退職しているが、男の77%は「ずっと仕事あり」と回答。退職して再び就業した人は1割台で、男性の6割、女性の4割は、離職せず仕事を続けていた。
第3回中高年者縦断調査(中高年者の生活に関する継続調査)結果の概況(厚生労働省)
[ Terahata ]