英国で8月に摘発された米国行きの旅客機を標的にした同時爆破テロの未遂計画で、米国で旅客機に搭乗する乗客に対する安全管理が厳しくなっている。
米運輸安全局(TSA)の措置では、米国での搭乗前に、乗客は靴を脱ぎエックス線検査を受けることを義務付けられ、機内に持ち込める手荷物に液状やゲル状のものを入れることも禁止されている。これは、飲み物、シャンプー、日焼けローション、クリーム、歯磨き粉、ゲル状の整髪剤などすべてに及んでいる。
しかし、糖尿病の治療に使うインスリンや、医師の処方に基づく薬を持ち込むのは認めるよう制限が緩和された。インスリンは約225グラム(8オンス)まで持ち込みが認められる。
アメリカ糖尿病学会(ADA)のウェブサイトでは、糖尿病患者が航空機で旅行するときの注意点を次のようにまとめ公開している。
- インスリン製剤は、プレフィルド/キット製剤、カートリッジ製剤、バイアル製剤のどれであるかに関わらず、中身が何であるかがはっきりと分かるようにラベルが貼ってあることが重要。
- インスリン注射に使う注入器は予備も含めて余裕をもって持っていく。
- 注射針、血糖測定器、試験紙(センサー)、穿刺器、消毒用のアルコール綿、血糖測定器のテスト用試験紙を準備する。
- インスリンポンプで治療をしている場合は、インスリンポンプの備品も確認する。
- 低血糖が起きた場合のブドウ糖キャンデー、ペットシュガーなど。グルカゴン緊急キットを持っていくときには、中身が何であるかがはっきりと分かるようにラベルを貼ってあることが必要。
日本人が旅行する場合には、上記に合わせて「糖尿病カード、インスリン注射液携帯証明書、医師からの病状説明書(英文)、海外旅行保険証」といった書類を準備しておくといいだろう。
空港での検査に備えて
ADAのウェブサイトでは、糖尿病患者が空港で検査を受けるときに次のことに留意するよう注意を呼びかけている。
- エックス線の検査を受ける前に、もしも目視検査をまだ受けていないのなら、目視検査を要求したほうがよい。
- ポーチやバックに医薬品や備品を入れる場合は、他の小物から区別できるように分けて入れたほうがよい。
- 医薬品は、見ただけでそれが何であるかが分かるように、ラベルが貼ってあることが重要。
- 目視検査を受ける場合に、医薬品や備品が破損するのを防ぐために、自分で取り出し並べ指し示すことができるかどうか聞いてみよう。
- 医薬品や備品は、ラベルなどで視覚的にそれが何であるかが分かるようでないと、エックス線検査を免れないし、検査を受けなければ機内に持ち込めないことを肝に銘じよう。
●詳細は米運輸安全局(TSA)のサイトへ(英文)
Travelers with Disabilities and Medical Conditions
●詳細は米国糖尿病学会(ADA)のサイトへ(英文)
Traveling with diabetes supplies
[ DM-NET ]