腎臓病発症のリスクの高い人を早い段階で見つけ出し、早期治療を行おうと、特定非営利活動法人(NPO)「腎臓病早期発見推進機構」(高橋進理事長・日本大学大学院教授)は、腎臓病を早期に評価するためのプログラム(KEEP in Japan)を開始すると発表した
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腎臓病になる危険性の高い糖尿病、高血圧と診断された人とその家族を対象に、毎年少なくとも1回、血液、尿検査、身体測定などの定期的な検査を行う。異常があれば、専門医から食事など生活習慣の指導や治療を受けることができる。費用は無料。
このプログラムにより、参加者は慢性腎臓病の有無や病状のレベルを知ることができ、治療の時期を知ることができ、医師は患者に関する情報を得ることで、より的確で効率的な治療活動が可能になる。日本における腎臓病患者数を減らすことで医療費の軽減につながり、病気に対する社会の意識向上もはかれると期待している
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腎臓病が進行し慢性的な腎不全になると、人工透析を生涯受け続けるか、腎臓移植が必要になる。糖尿病が原因で透析療法を受ける人は増加しており、現在透析を受けている約25万人の3割が糖尿病性腎症による。最新の年間新規透析患者数でみると、3万4,000人中1万4,000人(2004年)と4割強に及び、透析導入原因のトップを占めている。
医療費の増加も深刻で、平成15年度では国民医療費約31兆5,000億円の中、透析医療に1兆円以上が費やされている。
同様の評価プログラムは米国腎臓財団(NKF:National Kidney Foundation)ですでに実施しており、糖尿病性腎症による腎不全や透析療法の減少に貢献しているとされる。今回のプロジェクトでは、NKFの判定基準により診断が行われる。
臨床検査として血清グルコース濃度、血清クレアチニン値、ヘモグロビン濃度、脂質(HDL、LDL)、末梢血液検査などが行われ、尿検査はアルブミン/クレアチニン比、微量アルブミン尿が行われる。血清クレアチニン値は、NKFの指定する米国の検査施設とのコラボレーションで行われる。
評価プログラムは6月から、日大板橋病院、東京女子医大東医療センター、埼玉医大の関連医療機関で開始された後、検査施設が全国に広がる見込み。
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詳細は(NPO法人)腎臓病早期発見推進機構(IKEAJ)のサイトへ
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