厚生労働省は、健診(健康診査)のあり方を根本から改革する案を公表した。2型糖尿病など生活習慣病全般の危険因子となる「内臓脂肪症候群」の
予防に重点をおき、健診で患者や予備群を効率良く見つけ出し保健指導を適確に行うことを重視した内容になっている。生活習慣病にかかる医療給付費の増大を抑える狙いがある
。
試算によると、現在約28兆円の医療給付費は放置すれば、2025年度に2倍以上の56兆円に膨れ上がる。このため同省は、昨年10月の医療制度改革案を受けて、25年度の医療給付費を48兆円に抑制するよう、医療給付費の約3分の1を占める生活習慣病の予防に重点をおくと
表明していた。
特に糖尿病、心疾患、脳卒中などの予防を重点的な目標として、内臓脂肪型肥満、糖尿病、高血圧症、高脂血症の「
予備軍」を中心に、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の概念を導入した健診・保健サービスを提供するとしている。
同省が専門家検討会で示した改革案によると、メタボリックシンドロームの指標を重視した「健診プログラム」が作成される。生活習慣病の早期発見・治療を進めるとともに、その予備群についても、運動や栄養指導を行い、危険度に応じた段階別の指導法を導入する。
糖尿病対策
2002年度国民医療費は31.1兆円で、生活習慣病は9.9兆円を占める。糖尿病性腎症など合併症を含んだ糖尿病の医療費は1.8兆円と概算される。将来に透析療法など高額な医療の増加につながることから、糖尿病と糖尿病合併症を早い段階で発見し、予防することが必要としている。政府は糖尿病患者と
予備軍を今後10年間で25%減少することを目標としている。
そこで糖尿病対策として、大規模な戦略研究である「糖尿病予防のための戦略研究」が、2005年度から5年間に行われている。
発症予防の取組みに加え、診断・治療までを含んだ総合的な対応も重要だ。厚労省の検討会では、これまで健康科学総合研究事業や循環器疾患等総合研究事業などで行われてきた研究や調査を統合し科学的な知識を築き上げ、有効な
予防法を実用化することが課題とされた。
●詳細は福祉医療機構のサイトへ
第1回標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会資料
関連情報
糖尿病予防のための戦略研究
糖尿病予備群の健診実施後の保健指導を9割に
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[ Terahata ]