厚生労働相の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)は、平成18年度診療報酬改定を審議し、心臓、肺、肝臓、膵臓の4臓器の脳死移植について、新たに医療保険適用を認めることを了承した。新年度から実施する。
臓器移植について現行では、生体肝移植と腎臓移植は保険適用となっているが、それ以外の移植は高度先進医療として「特定療養費制度」の中で扱われ、高額な移植手術の技術料などは患者が自己負担している。
これまで膵臓移植の費用は、高度先進医療費だけで110万円以上となっており、これに入院費や検査費の3割負担が加えられ、患者の負担が大きかった。4月の健康保険の適用後は、手術費が10万円から20万円程度で済むようになる。
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第81回中央社会保険医療協議会
膵臓移植手術
脳死あるいは心停止ドナーから摘出した膵臓を、インスリン依存状態にある糖尿病患者に移植する治療法。移植した膵臓によりインスリンが補われ、患者はそれまで毎日必要だったインスリン注射が不要となり、網膜症や末梢血管障害といった糖尿病合併症から解放される。
中医協に提出された報告では、膵臓移植は安全性について一定のリスクを避けられないが、既に高度先進医療として実績があり、適切な施設要件が関係学会で定められていると評価された。
1997年10月の臓器移植法施行以来、脳死者からの膵臓移植は3例、膵腎同時移植は19例にとどまる。一方で、臓器移植ネットワークに登録し膵臓移植を待つ患者は、1月31日の時点で140人に上っている。
移植医療は、第三者の善意による死後の臓器提供があってなりたつ医療だが、脳死による死亡は年間死亡数の約1%と少なく、また日本では臓器提供意思表示カード(ドナーカード)を持っている人がまだ多くない現状がある
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臓器移植の審査に係る専門家会議委員意見抜粋
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臓器移植について、詳細は(社)日本臓器移植ネットワークのサイトへ
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