日本人間ドック学会と日本病院会は、全国の人間ドックを受診した約294万人を対象に調査を行い、「平成16年人間ドックの実施状況」にまとめ発表した。日本人間ドック学会と日本病院会が指定する人間ドック計860ヵ所からの回答をもとに集計したもの。
調査では、1年間に人間ドックを受診した人の88%に、肝機能の低下や肥満など、生活習慣病やそれにつながる異常が認められることが示された。検査で異常が多かった背景として、同学会は(1)生活習慣の欧米化、(2)専門の各学会が発表した検査値のガイドラインを採用した結果、基準範囲が従来より厳しくなったこと、(3)人間ドックを繰り返し受診する人が増え高齢化が進んでいること、(4)社会環境が変化しストレスが生活習慣を悪化させる原因となっていることを挙げている。
人間ドック受診者の判定別の状況では、「異常なし」と判定された人は全体の12.3%(男性 10.7%、女性 15.0%)で、前年より1.0ポイント減少した。20年前の1984年(29.8%)の調査と比べると17.5ポイント減少していた。健常者の比率は年齢が高くなるとともに減り、60代では男性 6.0%、女性 7.0%まで下がる。各年代ともに女性が男性を上回る傾向がある。
検査項目別にみると、最も異常が多いのは肝機能異常 25.2%で、次いで高コレステロール 23.9%、肥満 21.4%と続く。男性で異常が多いのは肝機能異常 31.0%で、肥満、高コレステロールと続く。女性では高コレステロール 24.2%が最も多く、肥満、肝機能異常と続く
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生活習慣に関連の深い6項目で異常が多い割合を年代別にみると、高コレステロールでは歯止めがかかったが、それ以外は前年より増加している。肝機能異常、肥満、高コレステロール、高中性脂肪は50代をピークに、60代以降は下がるが、高血圧と耐糖能異常は加齢とともに高くなる傾向がある
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肥満は、男性では40代で24.4%、50代で24.6%と年齢が上がると増えるが、60代以降は21.3%で減少する。女性では40代で15.5%、50代で18.0%で、60代以降も18.9%と増加する。
耐糖能異常では、男性では40代で11.5%、50代で20.0%、60代で22.2%。女性では、40代までは5.0%未満だが、50代で9.1%、60代で13.8%と加齢とともに増加する。
日本人間ドック学会と日本病院会は、生活習慣病は日常生活のストレスとの関連が深いとみており、人間ドック担当医が診療の際に用いる「ストレスチェック問診表」を年度末までに作成し、人間ドックの際の生活指導に活用できるようにしたいとしている
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●詳細は人間ドック学会のサイトへ
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