世界保健機関(WHO)は9月25日の「世界ハートの日」(World Heart Day)を前に、世界の過体重の増加についての推計を発表した。世界の約6人に1人にあたる10億人以上が太りすぎで、これまでは高所得の先進国で肥満や太りすぎの増加が報告されていたが、低・中所得の国でも急増しているという。
肥満・過体重への対策は世界的な課題
WHOは肥満や過体重が増えた原因として、食生活が変化し摂取エネルギーが増えていること、脂肪・塩分・炭水化物のとりすぎ、労働形態の変化、交通の発達による運動不足なとを挙げている。有効な対策を施さなければ2015年には過体重の人は15億人に達すると予測している
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心疾患、2型糖尿病、高血圧などの病気の発症や進展に、肥満やそれに基づく代謝異常が深く関与するとされる。WHOは肥満や太りすぎは心疾患や脳卒中などの大きな原因であり、心疾患により世界で毎年1,700万人が死亡していると警告している。
WHOの慢性疾患・健康増進担当者は「肥満や太りすぎが引き起こす慢性疾患の多くが予防できる。体重を減らし、運動を習慣として続け、禁煙することで、心疾患や2型糖尿病などのおよそ80%、癌のおよそ40%を予防できる」と述べている
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BMI(肥満指数)は、〔体重(kg)÷身長(m)
2〕で計算される。BMI22くらいが長命であり、病気にかかりにくいという報告がある。WHOの調査では、BMI25以上30未満を過体重(太りすぎ)とし、30以上を肥満と判定している。
日本ではBMI25を肥満としている。厚生労働省が発表した国民健康・栄養調査(2003年)によると、BMI25の肥満者の比率は、男性で40歳代で34.4%、50歳代で30.9%。女性で60歳代で30.3%、70歳代で28.3%に上り、肥満者はいずれの年齢層においても1980年頃に比べ増えている。
世界保健機関(WHO)(英文/リリース)
[ Terahata ]