松本市とNPO法人熟年体育大学リサーチセンターは、信州大学大学院医学研究科の研究成果に基づき考案した、早歩きと遅歩きを交互に繰り返す運動法である「インターバル速歩」を、松本市の24地域の市民約510名を対象に半年間実施し、生活習慣病や介護予防に関連する指標を実施前と後とで比較検討する共同事業を行った。速歩による効果を大規模データで実証した研究は世界でも例がない
。
インターバル速歩は、3分程度の速歩(目標消費エネルギーを超える速さの歩行)と3分程度のゆっくりとした歩行を約1時間繰り返すことで、速歩をより長時間実施してもらうことを期待して考案された反復運動法。参加者にまず体力測定や血液検査などを受けてもらい、初期体力に基づき個別運動処方を作成する。体に適度な負荷を与えられる70%程度の力で歩いてもらうことを目指している。
空腹時血糖値の変動
男性 n=132 女性 n=262 全体 n=394 |
インターバル速歩を開始した初期と5カ月後とで、生活習慣病の関連として、メタボリックシンドロームの診断基準を準拠に血圧、中性脂肪、HDLコレステロール、空腹時血糖などを検査し比較した。合わせて体重、体脂肪率も記録した。
その結果、血圧は収縮期血圧で9.6mmHg、拡張期血圧で7.1mmHg低下し、空腹時血糖は男性7.39mg/dL、女性4.55mg/dL、全体で5.50mg/dL低下した。体重は男性1.4kg、女性1.4kg低下し、体脂肪率は男性2.8%、女性2.6%低下した。その他、解析したほぼすべての指標が改善されたという。
また、週4日以上インターバル速歩を行い、1日の平均速歩時間が25分以上の参加者88名を抽出し、大腿筋の等速性筋力を解析したところ、全体で8.8%の改善がみられた。最大酸素摂取量は全体で18.1%増加した。
身体の各部位の痛みについて、マシントレーニングでは約12.5%の悪化が指摘されている(昨年度の厚労省モデル事業)が、この歩行法による痛みの増加は5%以下に抑えられた。簡便な運動法であり、効果と安全性が高いので生活習慣病対策に加え、介護予防やうつ
予防など、広く役立ててもらうことが期待されるとしている。
事業の一部は、経済産業省平成17年度「サービス産業創出支援事業」および「電源地域活性化先導モデル事業」の委託を受け、熟年体育大学リサーチコンソーシアム(信州大学、松本市、NPO法人熟年体育大学リサーチセンター、キッセイコムテック、三洋電機)によって共同で進められた。
●詳細はNPO法人熟年体育大学リサーチセンターのサイトへ
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