糖尿病の高齢者患者では、糖尿病のない人に比べ、転倒するリスクが大幅に高いことを示す調査結果が発表された。米コロンビア大学(ニューヨーク市)医療センターの研究者によるもので、医学誌「Journal of Gerontology」9月号に発表された
。
同市の高齢者向け介護施設(ナーシングホーム)に入居している糖尿病患者139人を、平均299日間追跡し、転倒の有無と転倒に関連する因子を調べた。米国では転倒は高齢者の事故死の主因となっている。
追跡期間中に49例の転倒が確認された。糖尿病のない場合の転倒率は平均30%だったが、糖尿病患者の転倒率は78%と高かった。多因子を解析し調整した結果、糖尿病が、平衡感覚の喪失や足元のふらつきと関連があることがあきらかになった。
介護施設の入居者で、平衡感覚の喪失、視力障害、車椅子といった医療的な処置が転倒の危険因子になることは、過去の研究でも指摘されているが、糖尿病についての知見は少ない。
研究者らは、高齢の糖尿病患者で転倒のリスクが高まる理由について、神経障害が進行し下肢の感覚が鈍るためではないかと説明している。
糖尿病を転倒の危険因子リストに加え、糖尿病や糖尿病合併症の治療に加え、転倒や骨折の予防・対策にも注意を払う必要があると指摘している。
[ Terahata ]