血糖自己測定30年
インスリン注射と血糖自己測定25年
SMBG用機器の進歩と普及
 SMBG のスタートに際して用いられた機器は弁当箱大の大きさで、電源は100ボルトをコンセントからとる方式であった。今で言うセンサーは試験紙片と呼ぶに相応しい形状で測定のための血液量も20μg/dl 以上を要した。そしてブドウ糖酵素反応を停止させ色調を得るために水洗いが行なわれた。これが25年以上を経た今日素晴らしい進歩をとげて糖尿病医療の自己管理に貢献している。

SMBG 用機器 ― 使用の状況
>>> 表1 SMBG 機器一覧表(2003年9月現在)

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 現在、わが国では表1に示すごとく多くの種類の血糖自己測定機器が市販供給されている。これらの機種の中からどれを選択するかに際しては、血糖測定原理(酵素法か、電極法か)、測定機器の形(装着型か一体型か)、そして特殊機能の有無(音声対応、指先外測定、血中ケトン体測定、パソコン対応機能など)が参考にされている。

 いずれも性能面での優劣はつけがたく、日本糖尿病学会に設置された「糖尿病関連検査の標準化に関する委員会」(富永真琴委員長)においても、現在使用されている SMBG 用機器には、測定精度等においてほとんど優劣のないことを明らかにしている。

SMBG 用機器普及のポイント
 このような進歩を踏まえて、SMBG の更なる普及は自己負担によるインスリン自己注射患者以外への適応に求められる。その場合の選択肢は表1に示した全ての機種に及ぶことになるが、選択のポイントは適正に指導されねばならない。

 すなわち、(1)価格がリーズナブルである、(2)使い勝手が良い(操作が簡単、メンテナンスが楽に出来る、機器が小型・軽量である、持ち運びしやすいなど)、(3)ニーズに合った付加価値(音声対応、パソコンへの接続など)が備わっている、(4)指先外測定やケトン体測定が可能であるなどである。

採血のための穿刺用具
 最後に穿刺用具の進歩についてもふれておく。古く注射針を用いていたのが今や限りなく疼痛の軽減のはかられた専用の穿刺器によっている。これが SMBG を容易にしてくれている。穿刺には穿刺用具(ペン型など)に穿刺針(ランセット)を装着するタイプ(装着型)と、穿刺用具を使わずにランセットのみで穿刺を行なうタイプ(単体型)がある。

>>> 表2 装着型穿刺器(穿刺用具と穿刺針・ランセット)
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>>> 表3 単体型ランセット一覧
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 表2には現在入手可能な装着型を、そして表3には単体型のランセットを示した。主流は装着型であるが、診療機関内で特に入院患者等の穿刺採血に際しては、感染防御などをも考慮して、単体型の使用が薦められる。

2003年11月


※2012年4月からヘモグロビンA1c(HbA1c)は以前の「JDS値」に0.4を足した「NGSP値」で表わされるようになりました。過去のコンテンツの一部にはこの変更に未対応の部分があります。

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