妊娠糖尿病の母親から生まれた児では自閉症発症リスクが高まる可能性が、米国の大規模縦断コホート研究から示された。
米カイザーパルマネンテ南カリフォルニア病院のAnny Xiang氏らが「JAMA」4月14日号に報告した研究結果。同氏は「妊娠早期の妊娠糖尿病による児の自閉症発症リスクは、妊娠糖尿病がない母親から生まれた児に比べて妊娠1,000例あたり7例多かった」と説明している。
検討では、1995〜2009年に同院で生まれた32万人強の米国人小児を約5.5年間追跡し、3,388人が自閉症と診断されていることを確認した。
分析の結果、妊娠26週までに母親が妊娠糖尿病を発症していた児の場合、そうでない母親の児に比べ、何らかの程度の自閉症を発症する率が42%高いことが分かった。
母親の年齢、教育レベル、体重など影響を与えうる他の因子を調整後もリスク上昇は存続した。
妊娠前に2型糖尿病と診断されていることと児の自閉症発症リスク上昇は関連していなかった。この理由についてXiang 氏は、2型糖尿病の母親では血糖コントロールがより良好である可能性があると推察している。
同研究は観察研究であって、妊娠糖尿病と自閉症の直接の因果関係を証明するものではない。この関連の背後にある機序もはっきりしないが、Xiang 氏は、妊娠糖尿病における高血糖状態が胎児にとって極めて重要な時期に脳の発達を阻害しているのではないかとして、「これから母親になる女性は、妊娠早期に血糖検査を受けるべきだ」と助言している。
米国疾病管理予防センター(CDC)によると、米国では68人に1人の児が自閉症を発症している。自閉症の児は一般に、他人との関わりや会話に問題を持つことが多い。
米コーエン小児医療センター(ニューヨーク州)のAndrew Adesman氏は、この研究に参加しない立場から、結果の解釈に注意を促している。
「妊娠初期あるいは中期における妊娠糖尿病と児の自閉症スペクトラム障害リスク上昇の関連が示唆されるが、それが本当だとしても、実際のリスクはかなり小さい。多くの研究者が自閉症の危険因子特定に努めているが、実に多様な因子が関わっているというのが実際のところだ」と同氏。
米国産科婦人科学会(ACOG)のガイドラインでは、妊娠女性は通常24〜28週で妊娠糖尿病の検査を受けるが、過体重や妊娠糖尿病の既往といった危険因子がある場合には、最初の妊婦健診時など早期のスクリーニングを考慮すべきとされている。
なお、Xiang 氏らは、妊娠糖尿病の母親から出生した児について、早期に自閉症スクリーニングを実施することも妥当だとしているが、Adesman 氏は、「そうした勧告は時期尚早。両親はどんな懸念についてもかかりつけの小児科医と常に情報を分かち合うべきだ」と述べている。
http://consumer.healthday.com/cognitive-health-information-26/autism-news-51/is-gestational-diabetes-linked-to-autism-698373.html
[2015年4月14日/HealthDayNews] Copyright© 2015 HealthDay. All rights reserved.
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