糖尿病は人間だけの病気ではない。人間に飼われているペットでも、世相を反映し糖尿病などの生活習慣病が増えている。最近では、ペット専用の血糖測定器も動物病院で使われるようになっている。
増えるペットの糖尿病 半数以上が肥満
ペットを取り巻く環境や生活は大きく変化している。国内のペット数は約2,100万頭をかぞえ、15歳以下の児童数約1,800万人よりも多い。栄養バランスの優れたドッグフードの普及や、室内飼育の増加、獣医学の進歩などを背景に、ペットの寿命は延び、高齢化が進んでいる。
一方で、高齢化や変化してきた生活習慣の影響を受け、糖尿病や心臓病、がんなどを発症するペットは増えている。ペットにおいても人間と同様、これらの病気は遺伝的な要因に加え、加齢や、生活習慣が発症の引き金となることが多い。
糖尿病を引き起こす要因として、まず挙げられるのは肥満だ。最近では、カロリーオーバーの食事や、室内飼育による運動不足などによって、肥満になるペットが増えている。
米国の調査によると、家庭で飼っている犬や猫の半数以上が肥満だという。ペット肥満防止協会(APOP)の調査によると、獣医に過体重や肥満と判定されたペットは、成犬で約4,100万頭(53%)、猫では4,700万匹(55%)に上った。同協会は5年前から毎年、ペットを対象に調査を実施しており、ペットの肥満の増加傾向はあきらかだという。
飼い主がペットの肥満に気付かないケースも目立つという。調査によると、過体重や肥満のペットの飼い主のうち、犬の飼い主の22%が、猫の飼い主でも15%が、標準体重だと思い込んでいた。
肥満や糖尿病の発症の引き金となるのは、若い頃からの不適切な生活習慣の積み重ねだ。人間と暮らすペットは、自分自身で生活習慣をコントロールすることはできず、具合が悪くても言葉を話せない。飼い主が、若齢の頃から適切な管理を実践していくことが大切となる。
ペットも定期的に健診を受けることが大切
アントセンス? VET
希望販売価格は、本体17万8,500円、
測定用カートリッジが4,725円。
生活習慣病を防ぐためには、飼い主による日常的な生活管理だけでなく、動物病院での健康管理も重要だ。動物病院は、病気の治療に加え、病気の予防や生活習慣の改善など、愛犬の健康管理をサポートしてくれる。
病気の早期発見・早期治療のために、動物においても人間と同様、病院で定期的に健康診断を受診することが望ましい。特にペットも高齢になると、生活習慣病を発症する可能性が高くなるので、健康診断の必要性はより高まる。
最近はペット向けの血糖測定器も、ペット診療で使われるようになっている。血糖値は検査を受けないと分からないので、血糖測定器が診療に使えるようになる便益は大きい。
医療用の検査機器などを販売している堀場製作所は、ペット向けの血糖値測定器「アントセンス?VET」を1月に発売した。
この機器は、ヒト用測定器をベースに動物病院向けに開発されたもので、はじめて農林水産省の認可を受けた。米粒ほどの血液1滴(5マイクロリットル)を測定部に滴下し、スタートボタンを押すだけで血糖値を高精度に測れる。
血液から血しょうのみを分離させる構造で、血しょう中のグルコースを酸化させて血糖値を測定する。動物により状態が異なる血球を取り除き、動物の種類を問わず高精度測定ができるのが特徴となる。
堀場製作所
[ Terahata ]