島根大学は、メタボリックシンドロームや糖尿病などの生活習慣病にかかりやすくする要因をあきらかにし、住民参加により効果的な予防法を開発するためのプロジェクト「疾病
予知予防研究拠点」を開始す
る。
調査は、自治体、地域の医療機関、地域住民、NPO法人などと共同して、出雲市や雲南市などの約5000人を対象に、5年から10年以上かけて実施する。生活習慣や遺伝との因果関係をさぐる調査は各地で行われているが、プロジェクトでは近所付き合いや地域コミュニティの性質が個人に与える影響まで調査。遺伝的体質から地域社会における人間関係(ソーシャル・キャピタル)まで、さまざまな要因が生活習慣病の発症にどのような影響を与えるかを追跡して調べ
る。
健康に影響を与える可能性のある要因について、医学部のほか法学部や教育学部など人文社会科学系の研究者らも交え総合的に検討する点がユニーク。島根県下数ヵ所で健康診断を実施し、生活習慣病の発症、死亡、要介護認定、血液検査、飲酒・喫煙などの生活習慣病などの項目に加えて、地域社会を「町内会活動が盛んで、きずなが強い半面、規律も強い集団」「関係の希薄な集団」などのグループに分けて追跡す
る。
2008年より文部科学省特別教育研究経費と島根大学プロジェクト研究推進機構の支援を受け実施する。プロジェクトリーダーの並河 徹・島根大学医学部教授(病態病理学講座)は、「集団を一定期間追跡するコホート研究は、島根のように人口の出入りの少ない地域で適している」としている。
島根大学
[ Terahata ]